系統別の増やし方と時期
アイリスは種からでも育ちますが、咲くまで三年かかり、親と同じ花が咲かないことも多いので、家庭では株分けか分球が基本です。根茎の系統は株分け、球根の系統は自然にできた子球を分けます。どちらも株が増えて混み合ってきたら、というのが時期の目安です。
| 系統 | 増やし方 | 時期 | 一株から |
|---|---|---|---|
| ジャーマン | 根茎の株分け | 花後〜7月上旬、または9月 | 三〜五株 |
| ハナショウブ | 根茎の株分け | 花後すぐの6月下旬〜7月上旬 | 二〜四株 |
| ダッチ | 分球 | 葉が枯れた6月の掘り上げ時 | 二〜三球 |
| アヤメ、カキツバタ | 根茎の株分け | 花後か9月〜10月 | 二〜四株 |
株分けは三年に一度が目安です。毎年分けると株が小さくなり、花が付くまでの回復に時間がかかります。
ジャーマンアイリスの根茎を分ける
ジャーマンアイリスは根茎が扇状に広がり、中心の古い部分は花を付けなくなります。外側の若い根茎で、葉が付いて根が出ているものを切り分けます。切り口は清潔な刃で、切ったら半日から一日、日陰で乾かしてから植えます。これが軟腐病を防ぐ要点です。
- 掘り上げて土を落とす
- 株全体をスコップで掘り上げ、根茎を傷つけないよう手で土を落とします。水で洗うと傷みやすいので乾いたまま扱います。
- 若い根茎を選ぶ
- 葉が扇状に付き、白い根が出ている外側の根茎を残します。中心のしわしわの古い部分は捨てます。
- 刃で切り分ける
- 根茎の節目で、一つに葉が一扇付くよう切ります。刃は使うたびに火であぶるか消毒液で拭きます。
- 葉を切り詰めて乾かす
- 葉を十五センチほどに切りそろえ、切り口を上にして日陰で半日から一日乾かしてから植えます。
ハナショウブは花後すぐに分ける
ハナショウブは花が終わった直後に新しい根が動くので、六月下旬から七月上旬に分けるのが伝統です。この時期を逃すと真夏の暑さで弱るため、遅れたら十月まで待ちます。古い根茎は黒く固く、新しい根茎は白い根が付いています。新しい部分だけを二、三芽ずつに分けます。
- 花茎を切ってから掘る
- 咲き終わった花茎を根元で切り、株をスコップで掘り上げます。根が多いので大きめに掘ります。
- 古い根茎を折り捨てる
- 黒くて固い古い根茎は手で折り取ります。白い新根の付いた部分だけが翌年咲くので、そこを残します。
- 二、三芽ずつに割る
- 手で割れる所で、芽が二つか三つ付くように分けます。小さく分けすぎると翌年は咲きません。
- すぐ植えて水をためる
- 切り口を乾かさず、すぐ湿った土に植えます。鉢なら受け皿に水を張り、夏のあいだ切らさずに管理します。
ハナショウブは連作を嫌います。同じ場所に植え直すなら、土を新しく入れ替えます。
ダッチアイリスは自然にできた子球を分ける
ダッチアイリスは葉が枯れる六月に掘り上げると、親球の横に小さな子球が付いています。親球と同じくらいの大きさなら翌年咲き、小さいものは一、二年葉だけ育ててから咲きます。掘り上げたら風通しのよい日陰で乾かし、十月に植え直します。
- 葉が三分の二枯れたら掘る
- 葉が黄ばんで倒れ始めたら掘り上げます。完全に枯れるまで待つと場所が分からなくなります。
- 子球を手で外す
- 親球に付いた子球を手で軽くひねって外します。無理に引きちぎると傷から腐るので、外れないものは付けたままにします。
- 大きさで分けて保存
- 親球と同じ大きさのものと小さいものを分け、ネットに入れて日陰に吊るします。小さいものは別の鉢で育てます。
- 十月に植える
- 涼しくなったら球根の高さの二、三倍の深さに植えます。大きい球は花を、小さい球は葉を育てる鉢に分けます。
分けた株の植え付けと養生
株分けした直後は根が少なく、水を吸う力が弱っています。ジャーマンは乾かし気味、ハナショウブは湿らせ気味と、それぞれの系統の水管理を守りながら、強い日差しだけは一、二週間避けます。葉が立ち上がってきたら根付いた目安です。
| 系統 | 植え付け後の水 | 日差し | 根付きの目安 |
|---|---|---|---|
| ジャーマン | 植えた日にたっぷり、以後乾いたら | そのまま日なた | 二週間で葉が立つ |
| ハナショウブ | 毎日、受け皿に水 | 一週間は半日陰 | 新しい葉が出る |
| ダッチ | 植えた日にたっぷり、以後乾いたら | 日なた | 年内に葉が出る |
| アヤメ | 乾いたら | 一週間は半日陰 | 二週間で葉が立つ |
株分けに失敗したときの見分けと手当て
分けた株が枯れる原因は、切り口からの腐り、小さく分けすぎ、時期の間違いのどれかです。葉が根元から倒れれば腐り、葉は元気だが翌年咲かなければ分けすぎ、夏に急に枯れたなら時期の間違いと見分けます。腐り以外は翌年以降に回復します。
| 症状 | 疑う原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 葉が根元から倒れ臭う | 切り口から腐った | 掘り上げて腐りを切り乾かして植え直す |
| 葉は元気だが翌年咲かない | 分けすぎで株が小さい | そのまま二年育てて待つ |
| 夏に急に枯れた | 真夏に分けた | 根茎が固ければ秋まで待つ |
| 冬に株が浮き上がる | 遅い植え付けで根が張らない | 土を寄せて春に植え直す |
分けた株の一部を別の鉢に予備として植えておくと、片方が腐っても系統を失いません。
アイリスの挿し芽・株分けに使うもの
挿し芽は、肥料分のない清潔な土に挿すのが基本です。培養土に挿すとうまくいかないのはそのためです。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒・鹿沼土)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用、または「挿し芽・種まき用」と書かれた土。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L、育苗箱 1 枚で 2L 前後。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプか、液に浸すタイプ。
根の出にくい種類で成功率が変わります。出やすい草花なら無くても十分です。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。斜めに一度で切るのが基本です。
- 3 号ポット・育苗箱探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)のポットか、浅い育苗箱。
根が出るまでは小さい容器のほうが管理しやすく、乾き具合も見えます。
- 発根しやすい草花なら、発根促進剤は要りません。水に挿すだけで根が出るものもあります。
- 密閉できる容器があれば、挿し芽用の温室は要りません。
アイリスの長く咲かせるコツは作物ページに
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