系統別の植え付け深さと間隔
アイリスの植え付けで最も多い失敗は深さの間違いです。ジャーマンアイリスの根茎は日に当たらないと花芽ができず、深く埋めると腐ります。ダッチアイリスの球根は浅いと冬に持ち上がって凍みます。最初に系統を確かめ、下の表の深さで植えます。
| 系統 | 植える深さ | 株の間隔 | 時期 |
|---|---|---|---|
| ジャーマン | 根茎の上半分が地表に出る | 三十〜四十センチ | 9月中旬〜10月 |
| ダッチ | 球根の高さの二〜三倍 | 十センチ | 10月〜11月 |
| ハナショウブ | 根茎が隠れる程度 | 三十センチ | 花後すぐか10月 |
| アヤメ | 根茎が隠れる程度 | 二十〜三十センチ | 9月〜10月 |
関東平野部の目安です。寒冷地は二週間ほど早く、暖地は二週間ほど遅らせて、根が張ってから冬を迎えられるようにします。
ジャーマンアイリスは根茎を日に当てて植える
ジャーマンアイリスは根茎の背中を日に焼かせるのが正解です。植え穴の中央に小さな山を作り、山の上に根茎をのせて根を両側へ広げ、根だけを土で覆います。葉は三分の一ほどに切り詰めて風で揺れないようにします。
- 土に石灰を混ぜる
- 植える二週間前に苦土石灰をひと握り混ぜます。酸性の土を嫌うので、雨の多い日本の庭では特に効きます。
- 中央に山を作る
- 直径二十センチほどの穴を掘り、中央に土を盛ります。山の高さは根茎の上半分が地表に出る高さに合わせます。
- 根茎を山にのせる
- 根茎を山の上に置き、根を左右に広げて下ろします。根茎の背中は土をかぶせず、日に当たるままにします。
- 葉を切り詰めて水やり
- 葉を十五センチほどに切り、扇の形に整えます。植えた直後にたっぷり水をやり、以後は乾いたときだけにします。
根茎の葉が付く側を株の広がる方向へ向けると、翌年以降の伸びる先を自分で決められます。
ダッチアイリスは球根を深めに
ダッチアイリスは十月から十一月に球根を植えます。深さは球根の高さの二倍から三倍、鉢なら球根の頭の上に五センチほど土がかぶる深さです。植えると年内に葉が伸びて冬を越し、四月に花茎が上がります。冬に出た葉を寒さで傷めないよう、霜の当たりにくい場所に置きます。
- 固くて重い球根を選ぶ
- 手に持って重みがあり、押しても凹まない球根を選びます。カビの点や柔らかい部分があるものは避けます。
- 尖ったほうを上に
- 球根の尖った側を上にして置きます。逆さでも芽は出ますが、曲がって出るため花茎が弱くなります。
- 深さを測って埋める
- 地植えは十センチ、鉢なら五センチの深さに置き、土をかぶせて軽く押さえます。間隔は十センチほどです。
- 冬の葉を守る
- 年内に出た葉は冬のあいだ緑のまま残ります。強い霜の予報が出た日は不織布を一枚かけておくと葉先が枯れません。
ハナショウブは花後すぐの植え替えが基本
ハナショウブは花が終わった直後の六月下旬から七月上旬に株分けと植え替えを行うのが伝統的な方法です。この時期は新しい根が動き出しており、真夏を迎える前に活着します。秋の十月にもできますが、翌年の花はやや少なめになります。
- 花茎を切ってから掘る
- 花が終わったら花茎を根元で切り、株を掘り上げます。古い根茎は黒ずんで固いので、新しい白い根の付いた部分を残します。
- 二、三芽ずつに分ける
- 芽が二つか三つ付くように手で割ります。刃を使うなら清潔なものを使い、切り口を乾かさずすぐ植えます。
- 湿った土に浅く植える
- 根茎が隠れる程度の深さで、株間三十センチに植えます。鉢なら六号以上に一株、受け皿に水をためて管理します。
- 夏は水を切らさない
- 植え替え後の夏は毎日水をやります。受け皿の水は二日に一度取り替え、腐らせないようにします。
鉢植えの土と鉢の選び方
鉢植えでは系統ごとに鉢の種類も変えます。乾かしたいジャーマンやアヤメは素焼き鉢、湿らせたいハナショウブはプラスチック鉢に受け皿という組み合わせが扱いやすくなります。ダッチは球根が小さいので五号鉢に三球、六号鉢に五球が目安です。
| 系統 | 鉢の種類 | 土の配合 | 一鉢の株数 |
|---|---|---|---|
| ジャーマン | 素焼き鉢七号以上 | 赤玉土六、腐葉土三、軽石一 | 一株 |
| ダッチ | 五〜六号鉢 | 草花用培養土 | 三〜五球 |
| ハナショウブ | プラスチック鉢六号以上と受け皿 | 赤玉土五、腐葉土三、田土二 | 一株 |
| アヤメ | 素焼き鉢六号以上 | 草花用培養土に軽石一割 | 一株 |
植え付け後に葉が枯れるときの原因
植えて二、三週間で外側の葉が枯れるのは、古い葉が役目を終えただけで問題ありません。中心の若い葉まで黄ばむときは深さか水の間違いを疑います。根元を触って柔らかければ腐り始めており、早く掘り上げて乾かします。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 外側の葉だけ枯れる | 植え替えの疲れ | そのまま様子を見る |
| 中心の葉が黄ばみ根元が柔らかい | 深植えか水の多すぎ | 掘り上げて乾かし浅く植え直す |
| 葉先から茶色く枯れ上がる | 乾きすぎ(ハナショウブ) | 受け皿に水を張る |
| 株が風で倒れて根が見える | 葉を切り詰めていない | 葉を短くし土を寄せる |
ジャーマンアイリスの根茎の腐りは、切り取ったあと切り口を日に当てて乾かすだけで止まることが多いです。慌てて捨てないでください。
アイリスの植え付けに使うもの
苗も球根も、植えたあとに動かすと根が傷みます。植える日にそろえておくものだけを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視の配合。14〜25L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、65cm プランターで 12〜15L、花壇なら 1 ㎡ あたり 20〜30L。
花壇でも、土が固いところは掘り上げて培養土を混ぜたほうが根が張ります。
- 腐葉土探す言葉「腐葉土 園芸」
- 規格の目安
- 葉の形が残っている完熟のもの。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 花壇 1 ㎡ あたり 5〜10L を掘り上げた土に混ぜます。
土をふかふかにして、水もちと水はけを同時に良くします。花壇の土づくりの基本です。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 マグァンプ」
- 規格の目安
- 粒状で 1 年ほど効くタイプ。植え穴の底に入れて使います。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 5〜10g、花壇 1 ㎡ あたり 50g 前後。
根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。触れると濃さで傷みます。量は袋の表示に従ってください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス 目盛り」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm。目盛り付きなら球根の深さを測れます。
球根は「球の高さの 2〜3 倍の深さ」に植えるのが基本で、目分量だと浅くなりがちです。
- 球根植え器は、球根をまとめて植えるようになってからで十分です。移植ごてで足ります。
- 鉢を毎回買い替えなくても、古い鉢を洗って日に当てれば使えます。
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