方法ごとの違いと向き不向き
ヤマボウシは種からよく発芽し、実生が最も確実な増やし方です。ただし親の性質は受け継がず、開花まで五〜八年かかります。園芸品種の性質をそのまま増やすならさし木ですが、発根率が低く時間もかかります。目的に合わせて選びます。
| 目的 | 向く方法 | 開花まで |
|---|---|---|
| とにかく増やしたい | 実生 | 5〜8年 |
| 同じ花色や斑入りを残したい | さし木 | 3〜4年 |
| 早く花を見たい | 接ぎ木苗を買う | 2〜3年 |
斑入りやピンク花の品種は実生では親の性質が出ません。同じ花を残したいなら必ずさし木か取り木を選びます。
種の採り方と保存
九月から十月に赤く熟した実を採り、果肉を洗い落とすと五ミリほどの種が数粒出てきます。乾かすと休眠が深くなって発芽が遅れるので、湿らせたまま冷蔵庫で冬を越させ、春にまきます。採ってすぐ秋にまく方法でも構いません。
- 熟した実を選ぶ
- 触って柔らかく、皮が赤く割れ始めた実を選びます。緑や橙色の実は種が未熟で発芽しません。
- 果肉を洗い落とす
- ボウルの水の中でもみ、果肉を落として種だけにします。水に沈む種が充実したもので、浮く種は捨てます。
- 湿らせて冷蔵保存
- 湿らせた水ごけか川砂と一緒に密閉袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で二月まで保存します。乾かさないことが発芽のかぎです。
種まきと苗の育て方
三月に冷蔵しておいた種をまきます。発芽は四月下旬から五月で、まいた種の半分ほどが出れば上出来です。一年目の苗は高さ二十センチほどで、直射日光と乾燥に弱いので半日陰で管理します。
冷蔵を省いて秋にまく場合は、洗った種をすぐに三号ポットにまき、屋外の日陰で冬の寒さに当てます。自然の寒さが休眠を解くので、春に同じように発芽します。ただし冬の乾燥で失敗しやすいため、ポットは落ち葉で覆っておきます。
- 赤玉土の小粒にまく
- 育苗箱か三号ポットに赤玉土の小粒を入れ、種を一センチの深さに一粒ずつまきます。乾かないよう腰水か毎日の水やりで管理します。
- 本葉四枚で鉢上げ
- 本葉が四枚になったら四号ポットへ移します。根が細く切れやすいので、土ごとそっと持ち上げて植え替えます。
- 二年目に地植えか大鉢へ
- 翌年の落葉期に高さ三十センチを超えていたら、地植えか七号鉢に移します。実生苗は根が深く伸びるので、鉢は深めを選びます。
さし木の手順
六月中旬から七月上旬、今年伸びた枝が少し硬くなったころに行います。発根率は三〜五割程度で、密閉して湿度を保つことが成否を分けます。斑入りやピンク花の品種はさし木でしか同じ性質を残せません。
鉢上げは翌年の三月、芽が動く前に行います。根がまだ少ないので、根を崩さず土ごと四号ポットに移し、一年は半日陰で育てます。
- さし穂を作る
- 今年の枝の先端を十〜十五センチ切り、下半分の葉を取り、残す葉も半分に切って蒸散を減らします。切り口は鋭い刃物で斜めに切り直します。
- 水あげと発根促進剤
- 一時間ほど水に浸けてから、切り口に発根促進剤を付けます。ヤマボウシは発根しにくいので、この一手間で成功率が変わります。
- 密閉して明るい日陰へ
- 赤玉土の小粒か鹿沼土に挿し、透明な袋をかぶせて湿度を保ちます。直射日光の当たらない明るい場所に置き、土を乾かさないようにします。
- 発根の確認
- 二か月ほどして軽く引いて抵抗があれば発根しています。袋を少しずつ開けて外気に慣らし、翌春までそのまま管理してから鉢上げします。
取り木という選択肢
さし木がうまくいかないときは取り木が確実です。四月から五月、親木の枝の皮をはいで水ごけで包み、発根させてから切り離します。時間はかかりますが、親と同じ性質の大きめの苗が一度に得られます。
取り木は親木の枝が一本減るので、樹形を乱さない位置の枝を選びます。内側の混み合った枝を使えば、冬の剪定を兼ねて増やせるので一石二鳥です。
- 枝の皮を環状にはぐ
- 鉛筆ほどの太さの枝を選び、幅二センチほど樹皮を一周はぎます。はいだ部分に発根促進剤を塗ります。
- 水ごけで包んで待つ
- 湿らせた水ごけで厚く包み、透明な袋で覆ってひもで止めます。乾いたら注射器で水を足し、秋に白い根が透けて見えたら切り離します。
うまくいかないときの原因と直し方
種が発芽しない、さし穂が黒くなる、苗が夏に枯れるのがよくある失敗です。それぞれ原因が違うので、どの段階で止まったかを見て次に生かします。ヤマボウシは急がず、一年ずれても翌年にやり直せる木です。
| 場面 | よくある原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 種がまったく出ない | 種を乾かした、未熟な実を使った | 熟した実から採り湿らせて冷蔵 |
| さし穂が黒く腐る | 土の過湿と高温 | 鹿沼土に替え、風通しのある日陰へ |
| さし穂が枯れる | 湿度不足で蒸散した | 葉を半分に切り袋で密閉する |
| 苗が夏に枯れた | 直射日光と乾燥 | 半日陰で毎日水やり、鉢は二重に |
ヤマボウシの挿し木・接ぎ木に使うもの
木を増やす方法は挿し木と接ぎ木で、要るものが違います。まず自分の木がどちらで増えるかを確かめます。
- 挿し木用土(鹿沼土・赤玉土小粒)探す言葉「挿し木 用土 鹿沼土」
- 規格の目安
- 鹿沼土か赤玉土の小粒、単用。肥料分のないもの。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木 ルートン」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプ。
木は草花より根が出にくく、種類によっては差がはっきり出ます。
- 接ぎ木用ナイフ探す言葉「接ぎ木ナイフ 園芸」
- 規格の目安
- 片刃で、刃の平らなもの。よく研げるもの。
接ぎ木は切り口の面が合うかどうかがすべてです。普通のカッターでは平らな面を作れません。
- 接ぎ木テープ探す言葉「接ぎ木テープ 園芸」
- 規格の目安
- 伸びて自然に劣化するタイプ。幅 20〜30mm。
接いだところを密着させ、乾燥を防ぎます。外し忘れると幹に食い込むので、劣化するものが安全です。
- 挿し木で増える種類なら、接ぎ木の道具は要りません。
- 苗木を買うほうが早く実を付ける木も多く、増やすのは趣味の範囲と割り切る選択もあります。
ヤマボウシの上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はヤマボウシの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。