剪定する時期と切ってよい量
ヤマボウシは放っておいても自然に整った樹形になる木で、強い剪定は必要ありません。十二月から二月の落葉期に、混み合った枝と不要な枝を抜く程度にとどめます。花芽は七月から八月に枝先で作られるので、秋以降に枝先を切ると翌年の花がなくなります。
| 時期 | できる作業 | 注意 |
|---|---|---|
| 12月〜2月 | 不要枝の間引き、樹高調整 | 枝先の丸い花芽は残す |
| 3月〜5月 | 枯れ枝の除去のみ | 樹液が動くので太枝は切らない |
| 6月中旬〜7月上旬 | 花後の徒長枝の切り戻し | この後は花芽ができるので切らない |
| 8月〜11月 | 原則しない | 枝先を切ると来年の花が減る |
一度に切る量は全体の二割まで。切り過ぎると翌年に徒長枝(勢いよく真上に伸びる長い枝)が多発します。
花芽と葉芽の見分け方
冬の枝先を見ると、丸くふくらんだ芽と細くとがった芽があります。丸くて先に小さな四枚の包葉が折りたたまれているのが花芽で、細長いのが葉芽です。花芽は枝の先端に一つ付くので、先端を切るとその枝は花を持たなくなります。
- 枝先を手で触って確かめる
- 指で芽をなでて、ぷっくり丸く硬いものが花芽です。細く平らなら葉芽です。冬に花芽の数を数えておくと、春の花の量が予想できます。
- 花芽のある枝は残す
- 混み合っていても花芽のある枝はできるだけ残し、葉芽だけの枝や内向きの枝から先に抜きます。花芽の枝を切るなら分岐点から切り、途中で止めません。
- 花芽が少ない年の判断
- 枝先に花芽がほとんどないなら、前の夏に乾燥や剪定で花芽ができなかった年です。冬は剪定を最小限にし、夏の水やりを見直します。
抜くべき不要枝の種類
ヤマボウシは枝が水平に段になって広がるのが持ち味です。その段を乱す枝を落とすと、自然な姿を保ちながら風通しがよくなります。切り口は枝の付け根のふくらみを残して切ると、ふさがりが早くなります。
迷ったら、その枝を切ったときに段の重なりがきれいに見えるかを想像します。段と段の間に空間ができる枝は残し、空間を埋めてしまう枝から抜くと、切り過ぎずに整います。
| 枝の種類 | 見た目 | 扱い |
|---|---|---|
| 徒長枝 | 真上に一メートル以上伸びる太い枝 | 付け根から切る |
| ひこばえ | 株元から出る細い枝 | 見つけ次第すべて切る |
| 交差枝 | 他の枝とこすれ合う枝 | 弱いほうを付け根から切る |
| 内向き枝 | 幹の内側に向かって伸びる枝 | 付け根から切る |
| 枯れ枝 | 折ると乾いて軽い音がする | いつでも切ってよい |
高さを抑える切り方
放任すると十メートル近くなるので、庭では三〜四メートルで止めたくなります。ただし幹の途中でぶつ切りにすると切り口の周りから徒長枝が噴き出し、樹形が崩れます。高さを抑えるときは主幹を横枝の分岐点で切り替えます。
- 切り替える横枝を選ぶ
- 止めたい高さの少し下で、外向きに伸びる元気な横枝を探します。その横枝の付け根のすぐ上で主幹を切ると、横枝が新しい先端として自然に続きます。
- 太枝は三段切りで
- 直径三センチを超える枝は、まず付け根から二十センチ離れた下側に切れ込みを入れ、次に上から切り落とし、最後に付け根で切り直します。皮がむけるのを防げます。
- 切り口を保護する
- 直径二センチ以上の切り口には癒合剤を塗ります。ヤマボウシは切り口から枯れ込みやすく、放置すると数年後に幹の空洞につながります。
花後の切り戻しと株立ちの整理
六月の花が終わった直後は、花芽ができる前の短い時期です。この時期なら枝先を切っても翌年の花に影響が少なく、伸び過ぎた枝を整えられます。株立ちの木は幹を三〜五本に絞ると、一本ずつに日が当たって花付きがよくなります。
- 伸び過ぎた枝を軽く戻す
- 花が終わってすぐ、輪郭からはみ出した枝を外向きの葉の上で切ります。七月中旬を過ぎたら花芽の形成が始まるので手を止めます。
- 株立ちは細い幹から抜く
- 幹が六本以上あるなら、冬に最も細いものと内側で交差するものを地際から切ります。一年に一本ずつにすると木への負担が少なくなります。
切り過ぎて花が咲かなくなったときの立て直し
強く切った翌年は徒長枝ばかりで花がない、という相談がよくあります。徒長枝には花芽がつきにくいので、その年は花をあきらめ、二年計画で枝を落ち着かせます。肥料、特に窒素を控えることも枝の勢いを鎮めるのに効きます。
- 徒長枝を半分残す
- 噴き出した徒長枝を全部切るとまた噴き出します。冬に半分を付け根から抜き、残りは三分の一ほどの長さに詰めて枝分かれを促します。
- 肥料と水を控えめに
- 翌年は追肥(育ちの途中で足す肥料)をやめ、水も雨任せにします。生育が落ち着くと、残した枝の先に二年目の夏から花芽が戻ります。
- 三年目に通常の剪定へ
- 枝先に丸い花芽が戻っていたら回復です。以後は不要枝を抜くだけの軽い剪定に戻し、二割以上切らない習慣を守ります。
ヤマボウシの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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