警戒すべき相手は月ごとに入れ替わる
病害虫は年間を通じて等しく来るわけではありません。五月から六月はアブラムシとコナジラミが飛来し、ウイルスを持ち込む時期です。梅雨は疫病と灰色かび病、七月から八月は実に穴を開ける蛾の幼虫とハダニ、八月以降はうどんこ病が中心になります。
この順番を知っていれば、いま何を見るべきかが決まります。実を一つずつ点検するより、時期に応じて葉裏、新芽、株元と見る場所を切り替えるほうが、はるかに早く異変に気づけます。

| 時期 | 警戒する相手 | 見る場所 |
|---|---|---|
| 5〜6月 | アブラムシ、コナジラミ | 新芽と葉裏 |
| 梅雨 | 疫病、灰色かび病 | 下葉と株元、花がら |
| 7〜8月 | 蛾の幼虫、ハダニ | 実の付け根、葉裏 |
| 8〜9月 | うどんこ病、青枯病 | 葉の表、日中のしおれ |
尻腐れはカルシウム不足ではなく水の問題
実の先端が黒くくぼむ尻腐れは、果実にカルシウムが届かないことで起こります。ただし多くの場合、土のカルシウムが足りないのではなく、乾燥で水の流れが止まって運べていない状態です。石灰を追加してもたいてい止まらないのはこのためです。
対策は水の安定です。マルチや敷きわらで乾湿の差を抑え、極端な乾燥のあとの大量の水やりを避けます。窒素とカリを与えすぎるとカルシウムの吸収が妨げられるため、追肥(育てている途中で足す肥料)の量を見直すことも同じくらい効きます。
すでに黒くなった実は元に戻らないので、早めに取り除いて株の負担を減らしてください。第一花房と第二花房に集中して出やすく、水管理を整えれば三段目以降は落ち着くことが多い症状です。
- 出やすい段を知る
- 第一花房と第二花房に集中して出ます。三段目以降も続くようなら、水の管理がまだ直っていない証拠だと考えてください。
- よく似た症状と分ける
- 実の底が黒く硬くくぼむのが尻腐れで、灰色のかびが付くのは灰色かび病です。かびが見えるなら、水ではなく湿度の問題です。
- プランターでの出方
- 鉢は乾湿の差が大きく、地植えより出やすくなります。受け皿に溜めず、朝夕に鉢底から流れるまで与えるほうが安定します。
応急処置としてカルシウム剤の葉面散布は使えますが、効くのは散布後に育つ実だけです。根本は水の管理にあります。
裂果は皮が追いつかないときに起きる
裂果には、ヘタの周りが輪状に裂けるものと、縦に走るものがあります。どちらも、乾いた株が急に水を吸って中身が膨らみ、皮が伸びきれずに裂ける現象です。完熟に近い実ほど皮が硬くなっているため、収穫直前の実から裂けていきます。
予防は三つです。雨が続く時期は色づいた実を早めに穫ること、株元を覆って土の水分を安定させること、そして果実の上の葉を残して直射日光を避けることです。強い日射は果皮を老化させ、伸びにくくします。
裂けるかどうかは皮の張りで見当が付きます。色の回った実を指の腹でそっと触ってみて、ぱんと張って弾力が消えていたら限界が近い合図です。雨の前日にこの手ざわりの実だけ先に穫れば、被害はほとんど出ません。
- 雨の予報が出たら
- 色づいた実を前日に穫ってしまうのが最も確実です。少し早くても室内に置けば追熟し、裂けた実を捨てるより無駄がありません。
- 裂けた実の扱い
- 食べられますが日持ちしません。その日のうちに使い、傷んだものは株の下に落とさず持ち出して処分します。
治せない病気を入れない設計にする
黄化葉巻病と青枯病は、発生してから治す手立てがありません。黄化葉巻病はタバココナジラミが媒介し、新芽が縮れて黄色く巻きます。防虫ネットとシルバーマルチで寄せつけないこと、抵抗性のある品種を選ぶことが唯一の備えです。
青枯病は、日中に急にしおれて朝には戻る症状を数日繰り返し、そのまま枯れます。土壌中の細菌が原因なので、抜き取ったあとその場所でナス科を三年から四年作らないこと、接ぎ木苗を使うことで避けます。
| 病気 | 出る症状 | できること |
|---|---|---|
| 黄化葉巻病 | 新芽が縮れて黄色く巻く | 防虫ネットと抵抗性のある品種 |
| 青枯病 | 日中しおれ朝に戻るのを繰り返す | 接ぎ木苗と三年から四年の輪作 |
| 疫病 | 葉と実に暗い水浸み状の斑が出る | 雨よけと下葉かきで葉を濡らさない |
| うどんこ病 | 葉の表に白い粉が広がる | 風通しと発病葉の早めの除去 |
抜いた株は畑の隅に積まず、袋に入れて持ち出します。残しておくと翌年の畑に菌と害虫の卵を返すことになります。
予防は風と雨のコントロールに集約される
ミニトマトの病気の多くは、葉が濡れている時間の長さと結びついています。株間を確保し、わき芽(葉のつけ根から出る芽)と下葉を整理して風を通せば、雨上がりに葉が乾く時間が短くなり、疫病や灰色かび病の入り口が減ります。
- 株間を確保する
- 1本仕立てで40センチ、2本仕立てで50センチ以上あけます。詰めた株は雨上がりに葉が乾かず、病気の入り口になります。
- 泥はねを止める
- 梅雨入り前に敷きわらかマルチで地面を覆います。土から跳ね上がる水が、下葉に病原を運ぶ主な経路です。
- 株の上だけ雨よけ
- 簡易な屋根を掛けると葉が濡れず、土の水分も安定します。病気と裂果と尻腐れの三つに同時に効きます。
- 見る場所を決める
- 新芽、葉裏、下葉、株元の四か所を順に見ます。実を一つずつ点検するより、はるかに早く異変に気づけます。
生理障害は症状から原因をたどる
病気ではないのに実や葉がおかしくなる症状は、たいてい水、光、肥料、温度のどれかに原因があります。薬剤の出番はなく、環境を直せば次に育つ実から正常に戻ります。逆に原因を取り違えると、同じ症状が季節の終わりまで続くことになります。
| 症状 | 主な原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 実の先が黒くくぼむ | 乾湿差でカルシウムが届かない | マルチと均一な水やり |
| 実が裂ける | 急な吸水と果皮の老化 | 早めの収穫と上の葉を残す |
| 実の肩が白く硬い | 強い日射と高温 | 葉を残し寒冷紗で光を落とす |
| 花が咲かずに落ちる | 窒素過多か35度を超える高温 | 追肥を止め涼しくなるのを待つ |
八月に実が付かないのは肥料不足ではありません。高温で花粉が働かないためで、慌てて追肥すると樹ボケを重ねることになります。
ミニトマトの収穫までのコツは作物ページに
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