自分の育て方に合った夏の過ごし方を選ぶ
ムスカリの休眠期は六月から十月までの五か月間です。この間、球根は土の中か保管袋の中で次の花芽を準備します。地中海沿岸の乾いた夏に合わせた植物なので、日本の高温多湿の夏をいかに乾かして過ごすかが管理の中心です。
どの方法でも共通するのは、葉が枯れたら水を止めることと、秋に植え直すか水やりを再開するまで土を湿らせ続けないことです。休眠中に湿った土に置かれた球根は、見た目は無事でも中が傷んで春に芽が出ないか、出ても小さな花しか付きません。
| 育て方 | 夏の管理 | 向いている条件 |
|---|---|---|
| 花壇に植えっぱなし | 水をやらず、株元をマルチングで覆う | 水はけがよく、夏に耕さない場所 |
| 鉢に植えっぱなし | 雨の当たらない日陰へ移し、水を切る | 鉢を置く軒下がある |
| 掘り上げて保管 | 乾かしてネットで吊るす | 鉢植え全般、夏に別の草花を植えたい花壇 |
| 樹の下で自然に増やす | 何もしない | 落葉樹の下で夏は木陰になる場所 |
花壇で植えっぱなしにする夏
葉が枯れたら水やりを止め、株元に腐葉土やバークチップを二〜三センチ敷いて土の温度上昇と乾燥を抑えます。夏の花壇に水をやると球根が蒸れて腐るので、隣に夏の草花を植えている場合は、ムスカリの上だけ避けて水をやる工夫が要ります。
- 札を残す
- 何も生えていない場所を耕してしまう失敗が最も多いので、球根の場所に札を立てておきます。
- 株元を覆う
- 葉が枯れたら腐葉土を二〜三センチ敷きます。土の温度が下がり、雨のはね返りも減ります。
- 夏の草花の水やりを分ける
- 隣に夏の草花を植えるなら、ジョウロの口をそちらの株元だけに向け、ムスカリの上に水がたまらないようにします。
梅雨に長雨が続いて球根が腐るのを心配するなら、花壇の土に軽石や川砂を混ぜて水はけを上げておきます。ムスカリ自体は多少の雨なら耐えます。
鉢に植えっぱなしにする夏
掘り上げる手間を省くなら、葉が枯れた鉢をそのまま雨の当たらない涼しい日陰へ移し、秋まで水をやりません。鉢の土は完全に乾いた状態で構いません。九月下旬になったら表面の土を少し入れ替え、十月に水やりを再開すると新しい根が動き出します。
鉢の土は二年に一度は入れ替えたいので、植えっぱなしは一年目だけにして、翌年は掘り上げて新しい土で植え直すと球根の状態も確かめられます。
- 軒下の日陰へ移す
- 西日の当たるコンクリートの上は鉢の中が五十度近くになります。北側の軒下など、日が当たらず雨も入らない場所を選びます。
- 水は一滴もやらない
- 土が乾ききって心配になっても与えません。球根は乾いた土の中で休んでいます。湿ると休眠が乱れて腐ります。
- 十月に土を足して再開
- 表面の土を二センチほど取り、新しい培養土と少量の粒状肥料を足して水をやります。ここから翌春に向けて動き出します。
掘り上げた球根の保管
掘り上げて乾かした球根は、ネット袋や紙袋に入れて風通しのよい涼しい日陰に吊るします。物置や玄関の棚など、直射日光が当たらず雨に濡れない場所で、三十度を超え続けない場所が理想です。月に一度は袋を開けて、柔らかくなった球根やカビの出た球根を取り除きます。
保管場所の温度が三十五度を超える日が続くと球根の中の花芽が傷むことがあります。真夏は家の中で最も涼しい北側の部屋に移すと安心です。
| 場面 | 保管方法 | 注意 |
|---|---|---|
| 玄関や廊下の棚 | ネット袋で吊るす | 月一回点検して傷んだ球根を除く |
| 屋外の物置 | 紙袋に入れて棚の上 | 床に直置きすると湿気で腐る |
| 冷蔵庫 | 不要 | ムスカリは低温処理しなくても咲く |
| ビニール袋 | 使わない | 蒸れてカビが出る |
休眠中の球根の状態を見分ける
保管中の球根は外から見ただけでは中の状態が分かりにくいですが、手で触って固さを確かめれば良し悪しは判断できます。少ししぼんでいても固ければ問題ありません。
- 固さで判断する
- 親指と人差し指で軽くつまみ、固ければ健康です。へこむ、ぶよぶよする球根は中が腐っているので捨てます。
- カビは拭き取る
- 表面に青や白のカビが出たら乾いた布で拭き、風に当てます。中まで柔らかくなければ使えます。
- 根が出ていたら植え時
- 十月ごろ底から白い根の先が見えたら、植える準備が整った合図です。予定より早くても植えて構いません。
休眠期のトラブルと立て直し
休眠期の失敗はほとんどが湿気と高温です。腐った球根は戻せませんが、生き残った球根を選び直して秋に植えれば翌年は咲きます。
| 症状 | 原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 球根が柔らかく異臭がする | 湿気による腐敗 | 捨てる。他の球根に移る前に袋から出す |
| 球根が紙のように軽い | 高温で乾きすぎた | 捨てる。保管場所を涼しい場所へ変える |
| 保管中に芽が伸びた | 秋の気温低下で目覚めた | すぐ植える。芽は折らないように |
| 植えっぱなしの鉢で春に芽が出ない | 夏の高温多湿で腐った | 掘って固い球根だけ植え直す |
ムスカリの冬越しに使うもの
寒さそのものより、凍って溶けるのを繰り返すことで傷みます。土を凍らせないことが目的です。
- バーク堆肥・腐葉土(マルチング用)探す言葉「バーク堆肥 マルチング」
- 規格の目安
- 40L 前後の袋。株元に 3〜5cm の厚さで敷きます。
- 数量の目安
- 株元の直径 40cm 分で 5L 前後。
土に布団をかけるのと同じです。春には鋤き込めば土壌改良材にもなり、片付けが要りません。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 防寒 べたがけ」
- 規格の目安
- 目付 20〜30g/㎡。厚いほど保温しますが、光も遮ります。
かけたまま水をやれて、日中の光も通します。ビニールと違い、内側が蒸れません。
- 鉢用の断熱材探す言葉「発泡スチロール 鉢 保温」
- 規格の目安
- 発泡スチロールの箱か、鉢を包むプチプチ。
鉢は地面より先に凍ります。地面に直に置くか、鉢ごと包むかで越冬できるかが変わります。
- 球根の保存ネット探す言葉「球根 保存 ネット袋」
- 規格の目安
- 目の粗いネット袋。
寒さに弱い球根は掘り上げて越冬させます。風の通るところに吊るし、密閉しません。
- 耐寒性のある宿根草は、地上部が枯れても根は生きています。掘り上げずに株元を覆うだけで足ります。
- ビニールで覆いっぱなしにすると、晴れた日に蒸れます。不織布のほうが失敗しません。
ムスカリの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はムスカリの育て方にまとめています。
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