系統ごとの性格を知る
ピーマン・トウガラシはどれもナス科の同じ仲間で、育て方の骨格は共通しています。違うのは辛味の有無と実の大きさ、そして色づくまでの日数です。この三つで必要な株数も収穫の仕方も変わります。
家庭菜園でよく作られるのは、ピーマン、パプリカ、ししとうなどの甘長系、そして鷹の爪などの辛味種です。まず自分がどれを何株必要としているかを決めてから苗を買うと、穫れすぎや足りなさを避けられます。
| 系統 | 穫るタイミング | 家庭での目安株数 |
|---|---|---|
| ピーマン | 緑のうち。花から20日ほど | 2〜3株で十分すぎる |
| パプリカ | 色づくまで50〜60日 | 2〜3株。数は少なめ |
| ししとう・甘長 | 青いうちに次々 | 2〜3株 |
| 万願寺・伏見など大型甘長 | 青いうち。実は大きい | 2株ほど |
| 鷹の爪など辛味種 | 赤く完熟させる | 1〜2株で一年分 |
同じ売り場に並んでいても辛さはまったく違います。札に「辛味種」「甘とう」などの表記があるので、必ず確かめてから買ってください。
甘味種と辛味種の違い
甘味種は実を若いうちに次々穫るので、収穫が長く続きます。辛味種は赤く完熟させてから穫ることが多く、そのぶん株の負担が大きくなります。この違いが、水と肥料のやり方にそのまま出てきます。
甘味種は水も肥料も切らさず、株を苦しめないのが基本です。辛味種はやや乾かし気味に育てると辛さが乗ります。同じ畑で両方を作るなら、水やりの範囲を分けておくと管理しやすくなります。
- 用途で分ける
- 毎日の料理に使うなら甘味種、保存して一年使うなら辛味種を選びます。用途が決まると株数も自然に決まります。
- 水の与え方を変える
- 甘味種は切らさず、辛味種はやや控えめにします。同じ畑なら畝を分けて、水やりの範囲を区切ります。
- 収穫の仕方を変える
- 甘味種は若採りを続け、辛味種は赤くなるまで待ちます。混ぜて同じ扱いにすると、どちらも中途半端になります。
交雑をどう考えるか
辛味種と甘味種を隣り合わせに植えると辛くなる、という話をよく聞きます。実際には、その年に実る果実の辛さは変わりません。花粉が混ざっても影響するのは種のほうで、実そのものは母株の性質のまま育ちます。
問題になるのは、その実から採った種を翌年まいたときです。甘長系のつもりでまいた種から、辛い実がなることがあります。種を採って翌年に使うつもりなら、辛味種とは離して植えてください。
| 場面 | その年の実 | 採った種からできる実 |
|---|---|---|
| 甘味種と辛味種を隣に植えた | 変わらない | 辛くなることがある |
| 種を買って毎年まく | 変わらない | 問題なし |
| 自家採種を続けたい | 変わらない | 10メートル以上離すか袋かけをする |
市販の苗の多くは一代交配種で、採った種からは同じものが育ちません。毎年同じ味を求めるなら、苗か種を買うのが確実です。
ししとうが辛くなる理由
ししとうや甘長系を作っていると、たまに強烈に辛い実が混じります。これは交雑のせいではなく、株が受けたストレスが原因です。水切れ、高温、根詰まり、肥料切れが続くと、辛味成分が作られやすくなります。
つまり辛い当たりを減らしたいなら、水と肥料を切らさず、株を苦しめないことです。鉢で作っている場合はとくに出やすいので、容量の大きい鉢を選んで水を切らさないようにしてください。
- 水を切らさない
- 土の表面が乾いたら与えます。とくに鉢では真夏の水切れが辛い実の主な原因になります。
- 鉢を大きくする
- 一株につき十五リットル以上の容量にします。根詰まりも辛味を強くする引き金になります。
- 肥料を切らさない
- 二週間から三週間おきの追肥(育ちの途中で足す肥料)を続けます。肥料切れも株のストレスになります。
- 若いうちに穫る
- 大きくなりすぎた実は辛くなりがちです。指の長さになったら穫るくらいの早採りを心がけます。
作る場所に合わせて選ぶ
ベランダの鉢で作るなら、実の小さい系統が向きます。ししとうやミニパプリカ、鷹の爪は鉢でも十分に穫れます。大玉のパプリカは根の量が要るので、二十リットル以上の鉢を用意できなければ地植えにしてください。
露地で場所に余裕があるなら、甘味種と辛味種を一株ずつ組み合わせると使い道が広がります。畝を分けて水やりを変えられるようにしておくのがこつです。
| 容器 | 向く系統 | 必要な容量 |
|---|---|---|
| 10リットル前後の鉢 | ししとう・鷹の爪 | 1株まで |
| 15リットルの鉢 | ピーマン・ミニパプリカ | 1株まで |
| 20リットル以上 | パプリカ・万願寺 | 1株まで |
| 露地 | すべて | 株間45〜60センチ |
選び方を間違えたときの立て直し
買ってから「思っていたものと違う」と気づくことがあります。辛味種を大量に買ってしまった、パプリカを植えたが色づきを待てない、といった場合でも、穫り方を変えれば無駄になりません。
| 場面 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 辛味種を植えすぎた | 使い切れない量になる | 赤く完熟させて乾燥保存すれば数年分になる |
| パプリカの色づきが待てない | 株が疲れて実が続かない | 緑のうちに穫ってピーマンとして使う |
| ししとうが辛い | 当たりはずれが出る | 水と肥料を切らさず、若いうちに穫る |
| 株数が多すぎた | 毎日穫れて食べ切れない | 青採りして冷凍する。株を減らしてもよい |
どの系統も緑のうちなら食べられます。色づきや辛味を待つのは楽しみのためであって、義務ではないと考えると気が楽になります。
ピーマン・トウガラシの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はピーマン・トウガラシの育て方にまとめています。
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