植え付け時期を系統で調整する
ピーマン・トウガラシはどれも南方の作物で、地温が十五度を下回ると根が動きません。関東の露地なら五月上旬から中旬が共通の適期です。ただし系統によって寒さへの強さが少し違います。
パプリカは低温にとくに弱く、五月中旬まで待つほうが確実です。逆に鷹の爪などの辛味種は比較的丈夫で、五月上旬でも問題なく立ち上がります。
| 系統 | 植え付けの適期 | 低温への強さ |
|---|---|---|
| ピーマン | 5月上旬〜中旬 | 普通 |
| パプリカ | 5月中旬 | 弱い。急がないほうがよい |
| ししとう・甘長 | 5月上旬〜中旬 | 普通 |
| 辛味種 | 5月上旬 | 比較的強い |
良い苗の見分け方
どの系統でも見るところは同じです。茎が太く、節と節の間が詰まっていること。葉の色が濃すぎず薄すぎないこと。そして葉裏に虫がいないこと。この三つを確かめれば大きな失敗はありません。
一番花のつぼみが見えているくらいがちょうどよい大きさです。すでに実がついている苗は無理をしており、植えたあとの伸びが鈍ります。売れ残って徒長した苗は避けてください。
- 茎の太さを見る
- 根元が鉛筆ほどの太さで、節の間が短い苗を選びます。ひょろ長い苗は植えたあとに倒れやすくなります。
- つぼみの状態を見る
- 一番花のつぼみが見えている程度が適期です。実がついている苗は株が小さいまま無理をしています。
- 葉裏を確かめる
- 葉の裏に小さな虫や白い斑点がないか見ます。持ち込むと畑全体に広がるので、怪しいものは避けます。
- 接ぎ木を検討する
- 同じ場所でナス科を続けているなら接ぎ木苗を選びます。土の病気に強く、長く穫れます。
土作りと株間
植える二週間前に苦土石灰を混ぜ、一週間前に完熟堆肥と元肥(植え付け前に土に混ぜる肥料)を入れて耕します。石灰と肥料を同時に入れると効きが乱れるので、日をずらすのが基本です。
株間は系統で変えます。パプリカや万願寺のように大きく茂るものは五十センチから六十センチ、ピーマンや辛味種は四十五センチから五十センチが目安です。詰めて植えると中が蒸れて病気が出ます。
| 系統 | 株間の目安 | 鉢の容量 |
|---|---|---|
| ピーマン | 45〜50センチ | 15リットル以上 |
| パプリカ | 50〜60センチ | 20リットル以上 |
| ししとう・甘長 | 45センチ | 15リットル以上 |
| 辛味種 | 45〜50センチ | 10リットル以上 |
植え方の手順
植え穴にはあらかじめ水を注ぎ、引いてから苗を置きます。根鉢は崩さず、上面が畑の土と同じ高さになる浅めの深さにしてください。この仲間は根が細く、切れると回復に日数がかかります。
深植えは禁物です。茎が土に埋まると湿って傷み、立ち枯れの原因になります。接ぎ木苗なら接いだ部分を必ず土から出してください。
- 穴に水をためる
- 根鉢が入る穴を掘り、いっぱいに水を注ぎます。水が引いてから苗を置くと初期の乾きに強くなります。
- 根鉢を崩さず置く
- ポットから抜いた土は崩さずそのまま置きます。細い根が切れると活着が数日遅れ、その差が夏まで残ります。
- 浅く植える
- 根鉢の上面が畑の土と同じ高さになるように置きます。深植えすると茎が湿って傷み、立ち枯れを招きます。
- 仮支柱を立てる
- 五十センチほどの細い支柱を斜めに挿し、茎を八の字でゆるく結びます。風で根元が揺れるのを防ぎます。
植え付け直後の共通の管理
植えてから二週間は根が動きません。この間は水を控えめにし、行灯(苗を囲む筒状の風よけ)で夜の冷えと風を防ぎます。五月の関東はまだ朝晩が冷えるので、この一手間で立ち上がりが変わります。
パプリカは一番花を摘んで株を先に大きくします。ピーマンや辛味種は摘まなくても構いませんが、株が小さいうちに実をつけると伸びが鈍るので、気になるなら摘んでください。
- 行灯で囲う
- 支柱三本を苗の周りに立て、袋を巻いて筒にします。上は開けたままにして、夜の冷えと風を防ぎます。
- 敷き藁をする
- 株元に藁や刈り草を敷き、乾きと泥はねを抑えます。泥はねは病気を葉へ持ち上げる主な経路です。
- パプリカは一番花を摘む
- 色づきまで長いパプリカは最初の花を摘み、株を大きくすることを優先します。結果的に収量が増えます。
立ち上がらないときの原因
植えて二週間たっても新しい葉が出ないなら、根が動いていません。この仲間で共通して多いのは、低温と水のやりすぎ、そして肥料が根に触れていることです。あわてて肥料を足すと逆に悪くなります。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 葉が紫がかって止まる | 地温が低い | 行灯で囲い、水を控えて地温を上げる |
| 葉が黄色く垂れる | 水のやりすぎ | 土が乾くまで与えない。畝を高くする |
| 下葉が縮れて枯れる | 元肥が根に触れた | 株元から離して水を多めに流す |
| 夕方も戻らずしおれる | 根が切れている | 支柱で固定し、日よけをして休ませる |
六月に入っても伸びない株は、無理に残さず植え替えたほうが早いことがあります。夏の収穫量はこの立ち上がりでほぼ決まります。
ピーマン・トウガラシの育苗に使うもの
苗を自分で作るか、買うか。作るなら次のものが要ります。買うなら、ここは飛ばして定植の準備へ進んでかまいません。
- セルトレイ・ポリポット探す言葉「セルトレイ 128穴」
- 規格の目安
- 128 穴は小さい種向き、72 穴は根を張らせたいとき。ポットなら直径 9cm が標準です。
穴が小さいほど場所を取らず、大きいほど植え傷みしにくくなります。定植までの日数が長い作物ほど大きい容器を選びます。
- 育苗用の受け皿・トレイ探す言葉「育苗トレイ 受け皿」
- 規格の目安
- セルトレイがそのまま載る大きさ。底面から吸わせられる深さがあるもの。
上から水をやると苗が倒れます。受け皿に水を張って下から吸わせると、茎が締まった苗になります。
- 園芸用ヒーターマット探す言葉「園芸 ヒーターマット 育苗」
- 規格の目安
- 20〜30W、表面温度 20〜25℃ 前後。サーモスタット付きだと安心です。
春先の種まきで発芽がそろわない原因はほぼ地温です。室温ではなく、土の温度を上げる必要があります。
- 苗を買って育てるなら、育苗資材は一式要りません。
- 暖かい時期の種まきなら、ヒーターマットは要りません。
ピーマン・トウガラシの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はピーマン・トウガラシの育て方にまとめています。
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