自分の花粉では実が付きにくい
文旦は自家不和合性(自分の花粉では実が付きにくい性質)が強いかんきつです。一本だけでも花はたくさん咲きますが、受粉樹がないと六月にほとんど落ちてしまいます。花が咲いてから慌てないよう、先に周りを確かめます。
| 状態 | 実の付き方 | 次にすること |
|---|---|---|
| 受粉樹が5メートル以内にある | 自然に付く | 何もしなくてよい、摘果に集中する |
| 受粉樹が10メートル以上離れている | 年によってむら | 開花中に花粉を採って人工授粉する |
| 受粉樹がない | ほとんど付かない | 鉢の受粉樹を用意して開花期に隣に置く |
| 近所にかんきつがある | 少し付く | 人工授粉で補うと安定する |
受粉樹の選び方
受粉樹は文旦と同じ五月上旬に咲き、花粉が多いかんきつを選びます。夏みかんや小夏、はっさくが定番です。文旦同士でも系統が違えば受粉しますが、開花のずれが出る年があるので、別の種類を組み合わせるほうが確実です。
鉢植えで受粉樹を育てると、開花期だけ文旦の隣に寄せられます。花粉の多い小夏は木が小さく、8号鉢でも十分に花を付けるので、ベランダでも組み合わせやすいです。
- 開花期が重なるか見る
- 文旦の花が咲く五月上旬に受粉樹も咲いているかを確かめます。二年目以降は前年の記録で判断できます。
- 花粉の量を確かめる
- 咲いた花のおしべに指を触れて、黄色い粉が付くかを見ます。温州みかんは花粉が少なく、受粉樹には向きません。
- 距離を五メートル以内に
- 地植えなら文旦から五メートル以内、鉢なら開花中は一メートル以内に置きます。虫が飛ぶ距離なら受粉します。
人工授粉の手順
受粉樹が遠い、雨が続いて虫が飛ばないというときは、人の手で花粉を付けます。文旦の花は大きく、めしべも太いので初心者でも扱いやすいです。晴れた日の午前中に行います。
- 受粉樹の花を摘む
- 開いたばかりの花を摘み、花びらを取っておしべだけにします。おしべの先が黄色く粉を吹いているものを選びます。
- めしべにこすり付ける
- 文旦の花の中央にある太いめしべの先端に、おしべを軽くこすり付けます。一つの花で五輪から十輪に付けられます。
- 咲いたら三日以内に
- めしべが受粉できるのは開花から三日ほどです。全部の花に付ける必要はなく、枝先の充実した花を選んで付けます。
- 付けた花に印を
- 受粉した花に毛糸などで印を付けておくと、摘果のときにどの実を残すか判断しやすくなります。
花粉は冷蔵庫で三日ほど保てます。受粉樹が先に咲いたら、おしべを紙に包んで保存しておきます。
生理落果を見極める
文旦は六月に、付いた実の多くが自然に落ちます。これは生理落果と呼ばれる木の調整で、病気ではありません。落ち終わった七月上旬に残った実を数えてから摘果を始めます。
六月の落果が激しすぎるときは、受粉不足か木の栄養不足です。落ちた実を割って種があるかを見ると切り分けられます。種がなければ受粉不足、種があるのに落ちるなら栄養や水の問題です。
| 落ちた実の見た目 | 疑う原因 | 来年の対策 |
|---|---|---|
| 小さいまま黄色く落ちる | 受粉不足 | 受粉樹を近づける、人工授粉をする |
| 親指大まで育って落ちる | 水切れか肥料切れ | 六月の乾燥時に水を、五月に追肥を |
| ほとんど残らない | 前年の実のならせすぎ | 隔年結果の年、今年は木を休ませる |
| ほぼ全部残る | 問題なし | 七月に摘果して数を絞る |
摘果は一枝一果が目安
文旦は実が大きいぶん、一つの実に必要な葉の数が多く、葉果比(実一つに対する葉の枚数)は八十枚から百枚が目安です。多く残すと全部が小玉になり、木も疲れて翌年花が付きません。
- 七月上旬に一回目
- 生理落果が終わったら、一枝に実が二つ以上付いている場所を見て、小さいほう、傷のあるほうを落とします。ハサミで軸を切ります。
- 八月に二回目
- 実がピンポン玉より大きくなったころ、葉の枚数を数えて八十枚に一個まで減らします。木全体で若木は五個から十個、成木でも三十個程度が目安です。
- 残す実の位置を選ぶ
- 枝の先端や下向きの実より、枝の中ほどで上向きに付いた実を残します。日が当たり、垂れても枝が折れにくい位置です。
- 落とした実は使う
- 摘果した青い実は皮に香りがあり、絞って酢の物や魚料理に使えます。捨てずに、輪切りにして風呂に入れるのも香りがよくおすすめです。
実が付かない年の切り分けと立て直し
受粉樹があるのに毎年実が付かないときは、木の側に理由があります。若すぎる、前年になりすぎた、冬に寒さで傷んだ、のどれかが多く、花の付き方と葉の色で見分けます。
| 木の姿 | 考えられること | 立て直し |
|---|---|---|
| 花は咲くが葉が少ない | 前年のならせすぎ | 今年は実を全部落として葉を増やす |
| 花がほとんど咲かない | 若木か強剪定 | 切らずに待つ、肥料は控えめに |
| 葉が黄色く花も少ない | 冬の寒さか根の傷み | 防寒を強め、春に根の状態を確かめる |
| 花は多いが全部落ちる | 受粉樹の花期がずれた | 別の種類の受粉樹を足す、人工授粉をする |
植え付けから四年目までは実が付かなくて当たり前です。五年目以降で毎年付かないなら、上の表で切り分けます。
文旦の受粉に使うもの
1 本では実らない木があります。自分の木がそれに当たるなら、道具の前に相手の品種が要ります。
- 授粉用の毛ばたき探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたき。梵天と呼ばれる授粉専用のものもあります。
花から花へ軽く触れて回ります。強くこすると花が傷むので、撫でる程度で十分です。
- 授粉用の花粉探す言葉「授粉用 花粉 果樹」
- 規格の目安
- 品種の合う花粉。石松子(増量材)と混ぜて使うものが多いです。
受粉樹を植える場所がないときの代わりです。品種の組み合わせが合わないと実らないので、そこを先に確かめます。
- 綿棒・小筆探す言葉「綿棒 授粉 園芸」
- 規格の目安
- 普通の綿棒か、細い筆。
花の数が少ないときは、1 輪ずつ確実に付けられます。品種を変えるときは新しいものに替えます。
- 1 本で実る品種なら、受粉の道具は要りません。まず自分の品種を確かめます。
- 受粉樹を近くに植えられるなら、人工授粉そのものが要らなくなります。
文旦の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は文旦の育て方にまとめています。
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