系統で採る時期が違う
文旦は系統によって収穫期が十月から三月まで幅があります。共通するのは、木に付けたまま完熟させず、色づいたら早めに採って寝かせるという考え方です。木に置きすぎると寒さで傷み、苦みも出ます。
| 系統 | 収穫のころ | 食べごろ | 採る目安 |
|---|---|---|---|
| 水晶文旦 | 10月〜12月 | 採って2〜4週間後 | 皮が黄緑から黄色に変わったら |
| 土佐文旦 | 12月〜1月 | 採って1〜2か月後 | 皮が全体に黄色くなったら |
| 晩白柚 | 12月〜1月 | 採って1か月後 | 皮の香りが強くなったら |
| 安政柑 | 1月〜3月 | 採って2〜3週間後 | 皮が濃い黄色になったら |
初霜の予報が出たら、色づきが足りなくても採る判断をします。凍った実は追熟しません。
採り方と傷を付けない工夫
文旦の実は重く、皮は厚いですが傷には弱いです。落とすと見た目に変化がなくても中で傷み、追熟中に腐ります。一つずつ両手で受けて、軸を短く切ります。
- 晴れた日の午後に採る
- 朝露や雨で濡れた実は追熟中にかびやすくなります。乾いてから採り、採ったあとも濡らしません。
- 軸を二度切りする
- まず実から離れた場所で切って実を外し、次に軸を皮の際で切り直します。長く残った軸はほかの実を傷付けます。
- 両手で受けて置く
- ハサミを持つ手と反対の手で実を支え、切ったら地面に落とさず箱へ静かに置きます。重ねる場合は二段までにします。
- 傷のある実を分ける
- 皮に傷や虫の食い痕がある実は別にして、先に食べるか加工に回します。追熟には無傷の実だけを使います。
野囲いで一か月寝かせる
採ったばかりの文旦は酸が強く、皮の油分で苦みもあります。冷暗所に一か月以上置くと酸が抜けて甘みが際立ちます。産地では野囲いと呼び、土の上に並べて藁をかけるやり方ですが、家庭では段ボールで代用できます。
寝かせる場所は五度から十度で、風通しがあり、直射日光の当たらないところが目安です。暖房のある部屋では乾燥して皮がしぼみ、冷蔵庫では冷えすぎて酸が抜けません。
- 新聞紙で一つずつ包む
- 水分の蒸発を抑え、実同士が触れて傷むのを防ぎます。包んだ実を段ボールに一段か二段で並べます。
- 玄関か北側の部屋に置く
- 十度前後で安定する場所を選びます。ベランダなら発泡スチロールの箱に入れ、夜の冷え込みを和らげます。
- 一週間に一度確かめる
- 箱を開けてかびや軟らかい実がないかを見ます。一つでも傷んだ実があれば取り除き、周りの実の包み紙を替えます。
- 皮を押して食べごろを判断
- 皮を指で押して少し弾力が出て、香りが柔らかくなったら食べごろです。硬く張っているうちはまだ酸が強いです。
食べごろの見分けと保存
追熟を終えた文旦は、ゆっくり味が変わっていきます。食べごろを過ぎると皮がしぼみ、果肉がぱさつきます。家族で食べきれる数を見ながら、順番に使います。
| 状態 | 味の目安 | 扱い |
|---|---|---|
| 皮が硬く香りが鋭い | 酸が強い | まだ寝かせる |
| 皮に弾力があり香りが穏やか | 甘みと酸の釣り合いがよい | 食べごろ、二週間以内に |
| 皮がしぼみ始めた | 甘いが水分が減る | 早めに食べるかジャムに |
| 皮に茶色い斑点、柔らかい | 傷み始め | 傷んだ部分を除いて加工 |
追熟後は冷蔵庫の野菜室で二週間ほど保てます。むいた果肉は冷凍して、解凍せずにシャーベットのように食べられます。
厚い皮の使い道
文旦は皮が二センチ近くあり、実の半分は皮です。捨てると量が多いですが、白い部分に苦みが少なく、砂糖で煮ると菓子になります。皮の外側の色付いた部分は香りが強く、削って料理にも使えます。
- 白い部分を煮こぼす
- 皮を一センチ幅に切り、水から三回ゆでこぼして苦みを抜きます。ゆでるたびに水を替えます。
- 砂糖で煮て乾かす
- 皮と同じ重さの砂糖で水気がなくなるまで煮て、網の上で一日から二日乾かします。仕上げに砂糖をまぶします。
- 外皮を削って香り付けに
- 色付いた表面だけをおろし金で削り、焼き菓子や酢の物に使います。冷凍すれば一か月は香りが残ります。
うまく実らなかったときの原因と直し方
採った実が小さい、酸が抜けない、中がぱさぱさというときは、木の側と追熟の側のどちらかに原因があります。実を割って中を見ると、来年直すべき場所がわかります。
| 実の姿 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 全部が小玉で皮ばかり厚い | 実のならせすぎ、若木 | 夏の摘果を強くし、一枝一果に |
| 寝かせても酸が抜けない | 採るのが早すぎた、追熟場所が寒い | 皮が全体に色づくまで待ち、十度前後で寝かせる |
| 果肉がぱさついて汁がない | 秋の水切れ、寝かせすぎ | 9〜10月の水やりを増やし、追熟は二か月以内に |
| 果肉が白く苦い | 霜に当てた | 初霜の前に採り終える |
| 実の中に種が多い | 受粉樹の花粉が多い | 味には影響しない、そのままでよい |
若木の初なりは皮が厚く味も薄いのが普通です。三年ほどなり続けると果肉の割合が増えて味が乗ってきます。
文旦の収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
文旦の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は文旦の育て方にまとめています。
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