切る時期と量を決める
剪定は三月上旬から四月上旬、新芽が動く直前に行います。冬に切ると切り口から寒さが入って枯れ込み、夏以降に切ると翌年の花芽を落とします。柑橘は葉で養分をためて実を作る木なので、一度に切る量は葉全体の二割までにとどめます。
ポンカンは実の多い年と少ない年が交互に来る隔年結果(実の多い年と少ない年が交互に来ること)が起きやすい柑橘です。実の多い年は少し強めに、少ない年は軽めに切ると波がならされます。
| 時期 | 切ってよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 3月上旬〜4月上旬 | 適期 | 芽吹き前で回復が早い |
| 5〜6月 | 夏枝の摘心のみ | 花と幼果を落とさない |
| 7〜10月 | 避ける | 翌年の花芽が作られる |
| 11〜2月 | 切らない | 切り口から寒さで枯れ込む |
前年に実が多かった木は、三月に混んだ枝を多めに抜いて、今年の花を減らします。
若木は開心形に仕立てる
植えて一〜三年目は、主枝を三本選んで中心を開いた開心形に仕立てます。幹の高さ三十〜五十センチから三方向に伸びる枝を主枝にし、それ以外は付け根から抜きます。中心が開いていると内側まで日が入り、実が色づきやすく、収穫も楽です。
- 主枝を三本選ぶ
- 斜め四十五度ほどの角度で三方向へ伸びる枝を選びます。真上に伸びる枝は実がつきにくいので避けます。
- 主枝の先は切らない
- 主枝の先端を切ると内側から枝が吹いて混み合います。先端は伸ばしたままにし、側枝を整えます。
- 台木の芽を必ず切る
- 接ぎ木部分より下から出た葉の形の違う枝は、台木のカラタチです。トゲが長く勢いが強いので、見つけ次第付け根で切ります。
鉢植えでは主枝の高さで幹を止め、高さ一メートル前後に抑えると冬の移動が楽です。
成木は春枝を残して抜く
柑橘の枝には春枝、夏枝、秋枝があり、翌年に花がつくのは主に春枝です。細めで短く葉が密についた春枝を残し、太く長く伸びた夏枝と秋枝を減らします。切るのは内向きの枝、重なる枝、下向きに垂れた枝、細く弱い枝で、付け根から抜きます。
- 枝を見て伸びた時期を判断
- 節間が短く葉が密な枝は春枝、節間が長くトゲが目立つ太い枝は夏枝か秋枝です。春枝は残し、夏枝と秋枝は半分に切るか抜きます。
- 内向きと重なる枝を抜く
- 幹の中心に向かう枝と、上下に重なって同じ方向へ伸びる枝は、太くて葉の多い方を残してもう一方を抜きます。
- 下がった結果枝を更新する
- 実をつけて垂れ下がった枝は、翌年は弱い実しかつきません。付け根近くから出ている若い枝の位置で切り戻します。
- 切り口には癒合剤
- 親指より太い切り口には癒合剤を塗ります。柑橘は太い切り口から枯れ込むことがあります。
迷った枝は残します。翌年の姿を見てから切っても遅くありません。
夏枝の摘心で花を増やす
六月から七月に勢いよく伸びる夏枝は、放っておくと翌年の花がつきにくく、実の養分も奪います。柔らかいうちに先を摘む摘心(枝の先を摘んで伸びを止めること)をすると、脇から短い枝が出て翌年の結果枝になります。
| 枝の姿 | 扱い | 目安 |
|---|---|---|
| 六月に二十センチ伸びた柔らかい枝 | 先を五センチ摘む | 指で摘める硬さのうち |
| 七月に四十センチを超えた枝 | 半分で切る | 翌年脇から結果枝が出る |
| 八月以降に伸びた枝 | そのまま | 秋枝は春に処理する |
| 実の近くから出た太い枝 | 付け根で抜く | 実の養分を奪う |
摘心は一本ずつ手で行います。ハサミで一斉に刈り込むと切り口が多くなり、木が弱ります。
枝の混み具合を見る目安
剪定を終えた木は、内側に立って見上げたときに空が三割ほど見える程度が目安です。まったく見えなければ切り足りず、半分以上見えるなら切りすぎです。葉が重なって影を作っている枝を優先して抜くと、実の色づきと甘みがそろいます。
| 姿 | 判断 | 手当て |
|---|---|---|
| 空がまったく見えない | 混みすぎ | 内向き枝と重なり枝を抜く |
| 空が三割ほど見える | 適正 | そのまま |
| 空が半分以上見える | 切りすぎ | 翌年は軽めにする |
| 外側だけ葉が茂る | 内側に日が入らない | 外側の重なり枝を抜く |
枝を抜いた後の内側の枝に直射日光が急に当たると、幹が日焼けすることがあります。太い枝の上面に日が当たるなら新聞紙などで一時的に覆います。
切りすぎたときの立て直し
強く切りすぎると、翌年は太い夏枝ばかり伸びて花がつかず、葉が落ちて弱った姿になります。慌ててさらに切らず、一年は伸びるままにして、翌春に混んだ枝だけを抜く程度で様子を見ます。二年目には落ち着いて花がつきます。
| 姿 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 太い枝ばかりで花がない | 切りすぎ | 一年切らずに落ち着かせる |
| 内側が暗く実が小さい | 抜く枝が足りない | 春に内向き枝を抜く |
| 切り口から枯れ込む | 冬に切った | 春に緑の部分まで切り直す |
| トゲの長い枝が伸びる | 台木の芽を放置 | 付け根で切り接ぎ木部分を確認 |
実が多すぎた翌年に花が咲かないのは剪定の失敗ではなく隔年結果です。六月の摘果で実を減らして波をならします。
ポンカンの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
ポンカンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はポンカンの育て方にまとめています。
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