系統でまき時と夏越しの難しさが変わる
プリムラは種からも育てられますが、苗を買うより半年ほど長く手をかけることになります。どの系統も発芽と小さな苗の時期に暑さが苦手なので、まき時は涼しい時期に芽を出させられるかで決めます。春にまくか、暑さが和らいだ初秋にまくのが基本です。
初めてならマラコイデスが育てやすい系統です。初秋にまいて翌春に咲かせる一年草として扱えるので、苗で夏を越させる必要がありません。ジュリアンやポリアンサ、オブコニカは春にまくと苗のまま夏を越させることになり、ここが一番の山場です。
| 系統 | まき時 | 花の時期 | 育苗の山場 |
|---|---|---|---|
| ジュリアン・ポリアンサ | 3月〜4月 | 12月〜翌4月 | 苗のまま夏を越させる |
| マラコイデス | 9月中旬〜下旬 | 翌3月〜4月 | 夏越しは不要。冬は霜よけ |
| オブコニカ | 4月〜5月 | 12月〜翌4月 | 苗の夏越しと冬の室内管理 |
暖地では春まきを少し早め、寒冷地では秋まきを少し早めると、涼しいうちに発芽させられます。
植え付けの時期と苗の大きさ
自分で育てた苗は、十月下旬から十一月に花壇や鉢へ植え付けます。目安は本葉が六枚から八枚に増え、ポットの底から白い根が見えるころです。小さいまま植えると冬の寒さで根が浮き、春に花が上がりません。
植え付けの深さや株間は、買った苗と同じ扱いで構いません。秋まきのマラコイデスは株が小さいうちに冬を迎えるので、地植えにせず一回り大きな鉢に移し、霜の当たらない場所で冬を越させます。
- 根の回りを確かめる
- ポットをそっと抜いて、根が土の周りを白く包んでいれば植え付けの合図です。まだ土が崩れるようなら、二週間ほど待ちます。
- 植える前に外に慣らす
- 室内や日陰で育てた苗は、植え付けの一週間前から日中だけ戸外の日なたに出し、寒さと日差しに慣らします。急に出すと葉が焼けて傷みます。
- 芽を埋めずに植える
- 株の中心の芽が土の表面より少し高くなるように植えます。芽を埋めると水がたまって腐るので、株元に土を盛らずに平らに整えます。
細かい種は覆土せず底面から湿らせる
プリムラの種は粉のように細かく、光が当たることで発芽が進む好光性の種です。上から土をかぶせると芽が出ないので、覆土はしません。上から勢いよく水をかけると種が流れて片寄るので、水は鉢の底から吸わせる底面給水にします。
用土は肥料分の少ない市販の種まき用土を、袋を開けたばかりの新しいもので使います。前の年の土や庭土を混ぜると、芽が出た直後に根元から倒れる立ち枯れが起きやすくなります。容器は浅い平鉢か育苗トレーで、水を張れる受け皿と組み合わせます。
- 用土を先に湿らせる
- 平鉢に種まき用土を入れて表面を平らにならし、受け皿の水で底から吸わせて全体を湿らせておきます。乾いた土にまくと種が水をはじきます。
- 紙の上から種を落とす
- 種を白い紙に出し、二つ折りにした紙の縁を指で軽くたたいて少しずつ落とします。一か所に重ならないよう、表面全体に散らします。
- 覆土せず軽く押さえる
- 種の上に土はかぶせず、手のひらか板で表面を軽く押さえて種と土を密着させます。押さえないと水を吸うときに種が浮いてしまいます。
- 底面給水で湿らせ続ける
- 受け皿に一センチほど水を張って底から吸わせ、表面が湿ったら水を捨てます。水を張りっぱなしにすると土の中が息苦しくなり、芽が腐ります。
発芽は涼しさと明るい日陰で
発芽の適温は十五度から二十度で、育苗中の苗は夜の最低温度が五度を下回らない場所で育てます。二十五度を超えると種は眠ったようになって芽を出さず、そのまま腐ることもあります。春まきは五月の暑さが来る前に発芽させ切り、秋まきは日中の暑さが和らいでからまくのが確実です。
芽が出るまでは二週間から四週間ほどかかり、系統や種の古さで差が出ます。光は要りますが直射日光に当てると表面が乾き、温度も上がりすぎるので、明るい日陰に置きます。三週間たって変化がなくても、温度が合っていればもう少し待つ価値があります。
- 明るい日陰に置く
- 北側の窓辺や軒下など、直射日光の当たらない明るい場所に置きます。室内なら窓から一メートルほど離した棚が目安です。
- ラップで乾きを防ぐ
- 鉢の上を食品用ラップか透明な板で覆い、表面の乾きを防ぎます。毎朝一度外して水滴を払い、蒸れすぎないようにします。
- 芽が出たら覆いを外す
- 芽が半分ほど見えたら覆いを取り、数日かけて少しずつ明るい場所に慣らします。覆ったままだと茎が細く伸びて倒れやすくなります。
本葉二枚から三枚で鉢上げする
本葉(双葉の次に出る葉)が二枚から三枚になったら、一株ずつ小さなポットに移す鉢上げをします。プリムラの苗は根が細く、込み合ったまま置くと根が絡んで、移すときに切れてしまいます。葉が隣と触れ合い始めたころが移し時です。
鉢上げ後の一週間は根が水を吸いにくいので、明るい日陰で休ませます。肥料はその後から始め、草花用の液体肥料を規定の倍に薄めて十日に一度ほど与えます。濃い肥料は細い根を傷めるので、薄く回数で効かせます。
- 竹串で根ごと掘り上げる
- 竹串か割り箸を株の横に差し込み、下からすくうように持ち上げます。持つときは葉をつまみ、茎はつままないようにします。茎が傷むとそこから腐ります。
- 小さなポットに植える
- 草花用の培養土を入れた二号から三号のポリポットに植えます。株の中心の芽が埋まらない深さにし、周りの土を指で軽く寄せます。
- 一週間は日陰で休ませる
- 植えたら底から流れるまで水をやり、一週間ほどは直射日光の当たらない場所に置きます。葉がぴんと立ったら根付いた合図です。
育苗中の置き場所と夏越し
鉢上げした苗は、季節に合わせて置き場所を変えます。春まきの苗は梅雨から夏を苗のまま越させることになり、暑さと蒸れで株の中心から腐るのが一番の失敗です。夏は風が通る明るい日陰に置き、水は朝だけ与えて夕方には葉が乾いている状態にします。
秋に涼しくなったら日の当たる場所に戻して株を締めます。マラコイデスとオブコニカは寒さに弱いので、霜が降りる前に軒下か室内の明るい窓辺へ移します。ジュリアンとポリアンサは戸外に置いて寒さに慣らしておくと、植え付けたあとに傷みにくくなります。
| 時期 | 置き場所 | 水と肥料 |
|---|---|---|
| 鉢上げ〜5月 | 日の当たる戸外。雨の当たらない棚 | 表面が乾いたら与える。液肥は十日に一度 |
| 6月〜8月 | 風の通る明るい日陰 | 朝だけ与える。肥料は止める |
| 9月〜10月 | 日の当たる戸外に戻す | 液肥を再開して株を育てる |
| 11月以降 | 寒さに弱い系統は軒下か室内 | 乾いたら午前中に与える |
発芽しない・夏に溶けるときの立て直し
プリムラの種まきでつまずくのは、芽が出ない、出た芽が倒れる、夏に苗が溶けるの三つです。どれも温度と水の持ち方が原因のことが多く、症状を見れば手当てが決められます。夏に溶けた株は戻らないので、苗は必要な数より多めに育てておくと安心です。
| 症状 | 考えられる原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 一か月たっても芽が出ない | 覆土した、二十五度を超えた | 覆土せずにまき直し、涼しい時期を待つ |
| 芽が根元から倒れる | 古い土、受け皿の水の張りっぱなし | 新しい種まき用土に替え、水は吸わせたら捨てる |
| 茎がひょろ長く伸びる | 光不足、覆いのかけすぎ | 覆いを外し、明るい日陰に移す |
| 夏に株の中心から溶ける | 高温と蒸れ、夕方の水やり | 風の通る日陰へ移し、水は朝だけにする |
| 葉が黄色く小さい | 肥料切れ、根詰まり | 液肥を再開し、一回り大きなポットへ移す |
種まきの手順
プリムラは、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
プリムラの種まきでよくある質問
プリムラの種はいつまく?
ジュリアン・ポリアンサ: 3月〜4月。マラコイデス: 9月中旬〜下旬。オブコニカ: 4月〜5月。
プリムラの種はどうやってまく?
容器は浅い平鉢か育苗トレーで、水を張れる受け皿と組み合わせます。
プリムラの種まき後の水やりは?
乾いた土にまくと種が水をはじきます。
プリムラの種まきに使うもの
草花の種は野菜より小さいものが多く、覆土の厚さで発芽が決まります。光を好む種はほとんど土をかけません。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ないもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L。
粗い土だと、細かい種が粒の隙間に落ちて深く埋まってしまいます。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいもの。
好光性の種は土をかけないので、ジョウロだと流れます。発芽まではすべて霧で与えます。
- セルトレイ・浅鉢探す言葉「セルトレイ 育苗 128穴」
- 規格の目安
- 128 穴のセルトレイか、深さ 5cm 前後の浅い育苗箱。
種が小さいほど深い容器は要りません。浅いほうが土が乾きすぎず、温度も上がりやすくなります。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式、長さ 10cm 前後。
草花は発芽まで 2 週間以上かかるものもあります。まいた日を書いておかないと、待つか諦めるかを判断できません。
- 種が大きい草花なら、ポットに直接まけばセルトレイは要りません。
- 温室やヒーターマットは、暖かい時期にまくなら要りません。
プリムラの長く咲かせるコツは作物ページに
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