一年の流れを先に見る
シシトウは一年で作り切る果菜です。四月に土を作り、五月に植え、六月から十月まで穫り続けます。作業そのものは難しくありませんが、八月の切り戻しと肥料を切らさないことが収穫期間を決めます。
| 月 | 主な作業 | 見ておく点 |
|---|---|---|
| 4月 | 土づくり、苦土石灰と堆肥を入れる | 植える二週間前までに済ませる |
| 5月 | 苗の植え付け、仮支柱、風よけ | 遅霜が終わってから植える |
| 6月 | わき芽かき、三本仕立て、支柱立て | 一番花の下の芽を取り切る |
| 7月 | 追加の肥料、敷きわら、収穫の本番 | 水切れで辛い実が出ていないか |
| 8月 | 切り戻し、日よけ、早採り | 落花が増えたら株を休ませる |
| 9月 | 誘引の結び足し、二度目の最盛期 | 切り戻し後の新しい枝が伸びたか |
| 10月 | 収穫の続き、霜前に採り切る | 夜温が10度を切ったら終わりの支度 |
四月から五月の準備
四月は土づくりの月です。ナス科を続けて作る場所では病気が出やすいので、接ぎ木苗にするか場所を変えます。五月の連休が過ぎたら苗を植え、仮支柱と風よけで守ります。
苗を買う日も決めておくと慌てません。連休前後は品ぞろえがよい一方で売り場に長く置かれた苗も混じるので、入荷直後を狙い、節の詰まった株を選びます。植えるまで日が空くときは日なたで水を切らさずに管理します。
- 土を深く耕す
- 植える二週間前に苦土石灰と堆肥を入れて深さ三十センチまで耕し、土をなじませておきます。
- 黒マルチを張る
- 地温を上げて雑草を抑えます。夏の乾きも遅くなるので、シシトウには年間を通して有利です。
- 苗を植えて支える
- 株間五十センチで植え、仮支柱を斜めに挿して茎を八の字に結び、風で揺れないようにします。
六月から七月の管理
六月は枝の形を決める月です。一番花の下のわき芽(枝の付け根から出る芽)をすべて取り、三本に絞って支柱を立てます。七月に入ると収穫が本格化するので、肥料を二週間ごとに切らさず続けます。
梅雨明けの急な暑さで水切れを起こすと、辛い実が混じり始めます。梅雨のうちに敷きわらを株元へ入れておくと、乾きが遅くなって被害を防げます。
この二か月の目安は、六月末までに枝の形が決まっていること、七月中旬に敷きわらが入っていることの二つです。どちらかが遅れても取り返せますが、両方が遅れると株が込んで蒸れ、八月の落花が一気に増えます。
- わき芽を取り切る
- 六月上旬に一番花より下の芽をすべてかき取り、以後は週に一度株元を見て、伸び始めた芽を指でかき取ります。
- 支柱を三本立てる
- 残した三本の枝それぞれに支柱を添え、二十センチ伸びるごとにひもで結び足します。実が付くと重くなるので早めに支えます。
- 敷きわらを入れる
- 梅雨明け前に株元を刈り草か敷きわらで覆い、土の乾きと泥はねを同時に防ぎます。厚さは三センチほどで十分です。
八月の切り戻し
八月は株が最も疲れる月です。花が落ちて実が止まったら、実を全部採ってから枝先を三分の一切り戻し、肥料と水を足します。二週間ほどで新しい枝が伸び、九月に二度目の最盛期が来ます。
| 時期 | 作業 | 終わったあとの目安 |
|---|---|---|
| 8月上旬 | 実を全部採る | 株が軽くなり枝が立ち上がる |
| 8月中旬 | 枝先を3分の1切り戻す | 切り口の下から新芽が動き出す |
| 8月中旬 | 肥料をまいて水をやる | 1週間で葉の色が濃くなる |
| 8月下旬〜9月上旬 | 新しい枝を誘引する | 9月中旬から花が増える |
九月から十月の仕上げ
九月は気温が下がって受粉が安定し、実がよく付きます。切り戻した株はこの時期に一気に伸びるので、誘引を結び足して枝が倒れないようにします。十月は生育が緩むので、水と肥料を少しずつ減らします。
- 誘引を結び足す
- 新しく伸びた枝を支柱に結び、実の重みで裂けないようにします。九月は特に伸びが早い時期です。
- 肥料を月一回に減らす
- 十月に入ったら追加の肥料は月に一回にとどめ、株を静かに終わらせていきます。与えすぎると寒さで傷みやすくなります。
- 霜前に採り切る
- 霜が降りると株は一晩で枯れます。予報を見て前日までに実をすべて採り、残りは炒め物や漬物にします。
作業が遅れたときの取り戻し方
手を入れられない時期があっても、シシトウは丈夫なので取り戻せます。遅れた作業ごとに、いま何をすれば実が戻るかを決めておくと迷いません。
| 遅れた作業 | 起きること | 取り戻し方 |
|---|---|---|
| わき芽かきが7月にずれた | 株元が込んで蒸れる | 太い芽から順に落とし、一度に3本までにする |
| 切り戻しをしなかった | 9月の実付きが伸びない | 9月上旬までなら切り戻せる。以降は肥料と水で保つ |
| 肥料を1か月忘れた | 葉が薄くなり実が小さい | すぐ与えて10日後にもう一度、以後は通常の間隔に戻す |
| 支柱を立て遅れた | 枝が地面に付いて汚れる | 折らないよう少しずつ起こし、二日に分けて結ぶ |
シシトウの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
シシトウの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はシシトウの育て方にまとめています。
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