育て方の目的を先に決める
茶はツバキの仲間の常緑低木で、放っておけば二〜三メートルに育ちますが、葉を摘むなら腰の高さで平らに仕立てます。自分で摘んで飲む、生け垣にする、花や実を楽しむなど、目的で仕立て方と本数が変わります。
種から育てると親と性質が違う木になるので、品種名の付いた挿し木苗を選びます。全国で最も多い品種のやぶきたは、関東でも育てやすく味の基準になります。下の表で目的に合う行を選んでください。
| 目的 | 本数と植え方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 自分で摘んで煎茶を作りたい | 地植えで三〜五本を株間五十センチ | 一回の収穫で湯飲み数杯分。本数がいる |
| ベランダで少しだけ楽しむ | 苗を八号以上の深鉢に一本 | 夏の水切れと冬の乾燥に注意 |
| 生け垣にして目隠しにする | 株間四十センチで一列 | 年二回の刈り込みで平らに保つ |
| 秋の白い花と実を楽しむ | 地植えで一本、自然樹形 | 摘まなければ十月に花が咲く |
茶の葉には天然のカフェインが含まれます。小さな子どもやペットが口にする場所では、置き場所に気をつけます。
良い苗の見分け方
苗は三〜四月と九〜十月に、二〜三年生のポット苗で出回ります。葉が厚く艶があり、幹が根元から分かれて枝数の多い株を選びます。一本の幹だけがひょろ長い株は仕立てに時間がかかります。
- 葉の艶と厚みを見る
- 葉が濃い緑で厚く、表面に艶があれば健全です。葉が薄く黄ばんでいたり、縁が茶色く枯れている株は根が弱っています。
- 根元の分かれ方を見る
- 根元から二〜三本に枝が分かれている株は、平らに仕立てやすい苗です。一本立ちの株は植えてから低く切って分けさせます。
- 葉裏に虫の跡がないか確かめる
- 葉裏が白くかすれていればハダニ、葉が丸まって中に幼虫がいればチャノホソガです。付いている苗は避けます。
酸性の土を用意する
茶は酸性の土でよく育ち、石灰を入れた土や中性に近い土では葉が黄色くなって伸びません。日本の庭土はもともと酸性寄りですが、野菜を作っていた場所は石灰で中和されているので、そのまま植えると育ちません。
土の酸度を測る道具がなければ、ピートモスか鹿沼土を混ぜて酸性側に寄せます。ブルーベリーと同じ土作りと考えれば分かりやすく、市販のブルーベリー用の土がそのまま使えます。
- 石灰をまいた場所を避ける
- 前作で石灰を使った畑は、一年ほど置くか場所を変えます。花壇でも石灰入りの培養土を使った場所は避けます。
- 地植えはピートモスを混ぜる
- 根鉢の二倍の穴を掘り、掘り上げた土に酸度未調整のピートモスを三割、腐葉土を二割混ぜて戻します。
- 鉢植えは鹿沼土を主体に
- 鹿沼土五、ピートモス三、腐葉土二の配合が扱いやすい土です。市販のブルーベリー用培養土でも構いません。
土の酸度は数字で言えばピーエイチ四・五から五・五が目安です。測る道具は園芸店で手に入ります。
植え付けの手順
植え付けの適期は三〜四月と九〜十月です。茶は根が細く乾燥に弱いので、根鉢を崩さず、植えたあと株元を覆います。日当たりは半日以上あれば十分で、真夏の西日が強い場所は避けます。
- 根鉢を崩さず浅めに置く
- ポットから抜いた根鉢はほぐさず、表面が地面と同じ高さになるように置きます。深植えは根腐れの原因です。
- 株元を覆って水を与える
- 植えたら株元にわらか腐葉土を五センチ敷き、鉢底から流れるまで水を与えます。地植えは植え穴に水がたまるまで与えます。
- 高さ二十センチで切る
- 植えてすぐ、地面から二十センチほどの高さで幹を切ります。切った下から枝が分かれ、平らな株の土台になります。
植え付け直後に切るのをためらう人が多いのですが、ここで切らないと一本立ちの木になり、後から低くするのに二年かかります。
最初の二年は摘まずに木を作る
茶は植えてから二〜三年は葉を摘まず、枝数を増やして平らな面を作る時期です。伸びた枝を年に一〜二回切りそろえると、枝が細かく分かれて摘む面ができます。三年目の春から一番茶を摘み始めるのが目安です。
- 一年目の秋に三十センチで切る
- 植えた年の十月に、地面から三十センチの高さで平らに切りそろえます。切り口の下から翌春に枝が出ます。
- 二年目は四十センチで切る
- 翌年の六月と十月に、四十センチの高さで平らに切ります。この二回で枝が細かく分かれ、面が作られます。
- 三年目から摘み始める
- 三年目の四月下旬、新芽が三〜四枚開いたら一番茶を摘みます。以後は毎年同じ高さで刈り、面を保ちます。
植え付けで失敗したときの見分け方
茶の植え付け後の不調は、土の酸度、乾燥、深植えがほとんどです。葉の色と土の状態を見て原因を切り分けます。植えて一年目の不調は、木そのものより環境から見直すと早く戻ります。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 新葉が黄色く葉脈だけ緑 | 土が酸性でない | ピートモスを株元に混ぜ、酸性の肥料を与える |
| 葉が茶色く縮れて落ちる | 乾燥か夏の直射日光 | 株元を覆い、朝に水を与え、西日を遮る |
| 葉が黄色く次々落ちる | 深植えか過湿 | 株元の土を取り除き、水を控える |
| 春に新芽が黒く枯れた | 晩霜に当たった | 枯れた芽を切る。翌年は霜の予報で不織布を掛ける |
茶の苗づくりに使うもの
本葉が出てからポットに移し、根が回ってから花壇や鉢へ。この 2 段階に必要なものです。
- ポリポット(9cm)探す言葉「ポリポット 9cm 園芸」
- 規格の目安
- 直径 9cm が標準。生育の早いものは 10.5cm。
セルトレイのまま育てると根が回りきって傷みます。本葉 2〜3 枚でポットへ移します。
- 育苗用の受け皿トレイ探す言葉「育苗トレイ 受け皿 底面給水」
- 規格の目安
- ポットが並ぶ大きさで、水を張れる深さのあるもの。
上から水をやると小さな苗が倒れます。下から吸わせると茎が締まります。
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 苗 薄め」
- 規格の目安
- 1000 倍希釈の原液。苗には規定より薄めて使います。
種まき用土には肥料分がほとんどありません。本葉が出たら薄い液肥で足します。
- 苗を買って植えるなら、育苗の資材は要りません。
- 育苗箱の加温は、春まきの一部を除けば要りません。
茶の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は茶の育て方にまとめています。
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