夏だけの短い一生
空芯菜は寒さにまったく耐えられないので、日本では六月から十月までの一年草として作ります。この短い期間に何度も収穫できるのが持ち味で、他の作物とは手のかけ方が違います。
畑を空ける時期がはっきりしているので、秋まきの葉物や玉ねぎの前作として組み込みやすい作物でもあります。十月に片づければ次の準備に十分間に合います。
| 時期 | 作業の山 | かかる手間 |
|---|---|---|
| 5月下旬〜6月 | 種まきか苗の植え付け | 半日で終わる |
| 7月 | 最初の摘心、追肥、収穫が始まる | 週に一度見る程度 |
| 8月 | 収穫の最盛期。切り戻しも行う | 週に二回は摘む |
| 9月〜10月 | 収穫を続け、伸びが鈍ったら片づけ | 収穫のみ |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を前提にした目安です。寒い地域は始まりが半月ほど遅れて終わりも早く、暖かい地域では十一月上旬まで穫り続けられます。同じ月でもその年の暑さで前後します。
空芯菜は気温で動く作物なので、日付よりその年の暑さを見て判断します。梅雨明けが遅い年は生育も遅れますが、暑くなれば一気に取り戻します。
他の夏野菜より遅く始まって早く終わる作物なので、畑の予定表では独立した一区画として扱うと管理しやすくなります。前後に別の作物を組み合わせやすいのも利点です。
| 月 | やること | 見るところ |
|---|---|---|
| 5月 | 土づくり。下旬から種まきを始める | 地温が二十度を超えたか |
| 6月 | 種まきか苗の植え付け、間引き | 本葉二枚で一本立ちにする |
| 7月 | 主茎が三十センチで最初の摘心 | 摘心後に脇芽が出ているか |
| 8月 | 収穫の最盛期。中旬に切り戻し | 茎が固くなる前に摘む |
| 9月 | 収穫を続ける。追肥を切らさない | 新しい葉が小さくなっていないか |
| 10月 | 伸びが鈍る。穫り切って片づける | 気温が二十度を下回るころ |
| 11月 | 霜で枯れる。畝を次の作物へ | 枯れる前に片づけておく |
七月が仕立ての勝負どころ
七月にきちんと摘心を入れられたかどうかで、八月以降の収穫量がまるで変わります。逆にいえば、この月さえ押さえれば、あとは摘んで食べるだけの楽な作物になります。
摘む作業は難しくありませんが、忘れると一気に固くなります。七月の予定表に「摘心」と書いておくくらいの意識でちょうどよいと思います。
- 上旬に間引きを終える
- 本葉二枚で一本立ちにします。遅れると株が競り合って、どれも細いまま伸びてしまいます。
- 中旬に最初の摘心
- 主茎が三十センチに伸びたら、地際から二十センチで摘心(先端を摘んで枝数を増やすこと)します。これが最初の収穫にもなります。
- 下旬に追肥と敷き草
- 化成肥料を一握り足し、株元に刈った草を敷きます。真夏の水やりの手間がぐっと減ります。
梅雨の間は伸びが遅く不安になりますが、梅雨明けの暑さで急に伸び始めます。動きが鈍くても肥料を足しすぎないでください。
八月と九月は収穫だけ
八月に入ると数日で伸びるので、収穫が主な作業になります。摘むこと自体が株を育てる手入れになっているので、こまめに穫るほど株の状態もよくなるという、ありがたい関係になります。
この時期は水やりだけ気をつけていれば大丈夫です。梅雨明け後の乾いた風が続く日は、朝に与えても夕方には乾いていることがあります。
| 状態 | 判断 | やること |
|---|---|---|
| 先端が20〜30センチ伸びた | 穫りどき | 二節残して摘み取る |
| 茎を折ると固い | 遅れている | 柔らかい位置まで切り戻す |
| 枝が細く葉が小さい | 株が疲れている | 切り戻して肥料と水を与える |
| 葉の裏に虫が付いた | 早めに対処 | 水で流すか手で取り除く |
地域でずれる時期の目安
空芯菜の作期は地温と霜で決まります。地温が二十度に届かないうちはまけず、霜が降りれば一晩で終わるという、はっきりした条件です。
霜の予報が出たら、その日のうちに残りを穫ってしまうのが安全です。氷点下に一度当たっただけで、翌朝には葉が黒く溶けてしまいます。
| 地域 | 種まき | 収穫の終わり |
|---|---|---|
| 寒い地域 | 6月中旬〜7月上旬 | 9月下旬〜10月上旬 |
| 関東の平野 | 5月下旬〜7月上旬 | 10月中旬〜下旬 |
| 暖かい地域 | 5月中旬〜7月中旬 | 11月上旬まで |
時期の判断で迷ったときは
空芯菜はカレンダーより気温で動きます。予定どおりに進まないときは、日付ではなくその年の暑さと株の伸び方を基準にしてください。
- 六月なのに伸びない
- 気温が上がっていないだけです。肥料を足さずに水だけ切らさなければ、梅雨明けから一気に伸びます。
- まき遅れた
- 七月中旬を過ぎたら苗を買います。植えて二週間で穫れるので、十月までは十分に楽しめます。
- 十月でもまだ元気
- 暖かい年は十一月近くまで穫れます。伸びが鈍って葉が固くなったと感じたら、そこが終わりの合図です。
- 穫りすぎたか心配になる
- 空芯菜は摘むほど枝が増える作物です。摘みすぎを心配するより、摘み忘れて固くするほうが損だと考えてください。
空芯菜の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
空芯菜の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は空芯菜の育て方にまとめています。
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