人工授粉をする理由は確実さと日付にある
スイカは虫が運べば自然に受粉しますが、家庭菜園では人工授粉を前提にします。理由は2つで、着果の確実さと、受粉日を記録できることです。スイカの収穫適期は外から見て分かりにくく、受粉日からの日数が最も信頼できる判断材料になります。
梅雨どきは訪花昆虫が動かず、雨で花粉が流れます。開花のタイミングを人が押さえておけば、天気に左右されずに着果させられます。
- 雌花の見分け方
- 花のすぐ下に小さな球状のふくらみがあるのが雌花です。これは受粉前の未熟な果実で、雄花にはこのふくらみがなく細い柄が続きます。
- 開花の見つけ方
- 雌花は前日の夕方には黄色いつぼみが膨らんで色づきます。前日に見当をつけておくと、翌朝に探し回らずに済みます。
- 雄花の準備
- 同じ株の雄花で構いません。花びらを外して雄しべをむき出しにし、花粉が黄色く粉状に付いていることを確かめてから使います。
授粉は開花当日の午前9時までに済ませる
スイカの花は朝に開き、昼には受精能力が落ちます。花粉の活性も気温が上がると急に下がるため、日の出から午前9時ごろまでが実質的な作業時間です。この時間帯を外すと、授粉したつもりでも着果しないことが増えます。
- こすりつけ方
- 雄しべを雌花の柱頭に軽く数回こすります。強く押し当てる必要はなく、柱頭の表面に黄色い花粉が乗れば十分です。
- 雨の日の対処
- 前夜から雨なら、雄花を前日夕方に採って室内で保管し、朝に使います。濡れた花粉は付きが悪く、着果率が落ちます。
- 1つの雄花で回す数
- 1つの雄花で雌花2〜3個までにします。花粉が減った雄花で続けると、着果しても形の崩れた実になりやすくなります。
授粉の直後に雨が当たると流れます。天気が崩れる予報なら、授粉した雌花に紙コップをかぶせて数時間おきます。
低い節の実は大きくならない
咲いた雌花を片端から授粉してはいけません。スイカの雌花は子づるの数節おきに咲きますが、根元に近い節に付いた実は肥大が頭打ちになり、形もいびつになりがちです。葉の枚数が足りず、実を大きくする力が育っていないためです。
- 一番花は摘む
- 最初に咲いた雌花はつぼみのうちに取ります。残すと株がそこへ養分を送り、後から咲く良い節の雌花が落ちます。
- 節の数え方
- 子づるの付け根を1節として、葉が付いている位置を順に数えます。並行に流しておくと数えやすくなります。
| 着果させる節 | 咲く順 | 結果 |
|---|---|---|
| 6〜10節目 | 一番花 | 小さく変形しやすい。摘む |
| 12〜15節目 | 二番花 | 小玉ならここでも可 |
| 15〜20節目 | 二番花から三番花 | 大玉はここが本命 |
| 22節目以降 | 四番花以降 | 収穫が遅れ、秋まで肥大しきらない |
受粉日の札をつけて日付を残す
授粉したその場で日付を残します。スイカは同じ株でも受粉日が1週間違えば収穫日も1週間ずれるため、株単位ではなく実ごとに記録します。これをしないと、収穫の判断が勘だけになります。
- 札の作り方
- 耐水の荷札か、園芸用ラベルに油性ペンで月日を書きます。紙のテープは雨と日光で1か月もたずに読めなくなります。
- つける場所
- 実の付いた節のすぐ手前のつるに、ゆるく結びます。実に直接つけると肥大するにつれて食い込み、傷になります。
- 記録の残し方
- 札に加えて、栽培記録に株ごとの受粉日を書き写します。札は落ちることがあるので、控えを別に持つと安全です。
札には受粉日だけでなく、その株の品種名も書いておくと、収穫日数の目安を後から引きやすくなります。
着果を確認したら摘果と追肥に移る
受粉から4日から7日で、成功した実は横向きになって卵大に膨らみます。失敗した実は黄色くしぼんで落ちます。着果が確認できてから摘果と追肥(育てている途中で足す肥料)を行うのが順番で、これを着果前に済ませるとつるぼけの原因になります。
- 摘果の基準
- 1本の子づるに複数着いたら、形が丸く、色つやのよい1個を残します。細長いものや扁平なものは先に落とします。
- 1回目の追肥
- 実がにぎりこぶし大になったころ、株から離れたつるの先の下あたりに施します。株元に置いても、そこにはもう吸う根がありません。
- 2回目の追肥
- 1回目から2週間後に同量を追加します。肥大の後半に肥料を切らすと、皮ばかり厚くなって中が締まりません。
| 時期 | 作業 | ねらい |
|---|---|---|
| 受粉当日 | 札をつける | 収穫日の起点を残す |
| 受粉4〜7日後 | 着果確認と摘果 | 残す実に養分を集める |
| こぶし大 | 1回目の追肥 | 肥大の立ち上がりを支える |
| 追肥から2週間後 | 2回目の追肥 | 後半の肥大と糖度を確保 |
玉直しで色と形を整える
地面に接した面は日が当たらず白いままで、皮の縞も出ません。肥大の途中で数回向きを変えると、全面に色が回り、形も丸く整います。これを玉直しと呼び、地這い栽培では欠かせない作業です。
- 行う時期
- 実がこぶし大になってから、収穫の10日前までに2回から3回行います。それ以降は皮が張って傷が付きやすくなります。
- 回す角度
- 一度に4分の1ほど転がします。一気に半回転させると果梗にねじれがかかり、そこから裂けることがあります。
- 日焼けを防ぐ
- 向きを変えた直後の白い面は日焼けしやすいので、真夏はつるの葉をかぶせるか、新聞紙をのせて数日慣らします。
- 実の下に敷く
- わらや発泡トレーを敷き、地面から浮かせます。接地面が蒸れると腐りが入り、そこから一晩で全体が傷みます。
着果しないときの原因を切り分ける
授粉したのに実が止まる年があります。原因は花粉・気温・肥料の三つに大きく分かれ、雌花のつけ根がどう変わるかを授粉の翌日から数日見ていれば、どれだったのかがその場で分かります。
見分けがついたら、同じ失敗を繰り返さないように次の雌花で手を変えます。スイカは花が次々に咲くので、一度外しても上の節でやり直せます。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 授粉2日後につけ根が黄ばむ | 花粉が付いていない | 翌朝、開いたばかりの雄花でやり直す |
| 雌花が咲かず雄花ばかり続く | 窒素が多くつるが優先している | 追肥を止め、つる先を摘んで枝を止める |
| 授粉しても5日ほどで落ちる | 低温か長雨で花粉が働かない | 晴れの朝を待ち、9時までに授粉する |
| 卵大で止まり形がゆがむ | 低い節の雌花に着けた | 摘み取り、上の節の雌花に切り替える |
授粉が続けて外れる年は、雄花を朝早く摘んで日陰で開かせると花粉が乾かず、付きがよくなります。
スイカの人工授粉に使うもの
かぼちゃやすいかのように、朝の数時間しか受粉できない作物があります。虫が来ない年でも実を付けるための道具です。
- 授粉用の毛ばたき・綿棒探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたきか、普通の綿棒。
雄花の花粉を雌花の柱頭へ付けます。強くこすらず、撫でる程度で十分です。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式、長さ 10cm 前後。
受粉した日を書いて実の近くに挿しておくと、収穫の適期を日数で判断できます。かぼちゃやすいかはここを外すと大きく味が変わります。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 目付 20g/㎡ 前後。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
雨の日の朝は花粉が流れます。前の晩にかけておくと、翌朝の受粉に間に合います。
- 虫がよく来る畑なら、人工授粉は要りません。まず朝に花を見に行って確かめます。
- 雄花を摘んで雌花に直接付ければ、道具は何も要りません。
スイカの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はスイカの育て方にまとめています。
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