刈り取りの見極め
収穫の目安は、穂が全体に黄金色になり、穂のすぐ下の茎まで黄色くなって、粒をかむと固く割れるころです。関東平野部では六月上旬から中旬で、出穂から四十〜四十五日ほどです。穂が黄色でも茎がまだ青いなら、粒に水分が多く早すぎます。
| 状態 | 穂と茎の見た目 | 粒をかんだ感触 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 早すぎる | 穂は黄色。茎の上部が青い | つぶれて乳のような汁が出る | あと1週間待つ |
| 適期 | 穂も茎の上部も黄色 | 固いが歯で割れる | 晴れの日に刈る |
| 遅い | 穂が垂れて粒がこぼれる | 石のように固い | すぐ刈る。雨に当てない |
梅雨入り前後の作業なので、二〜三日晴れが続く予報の初日に刈るのがこつです。刈ってすぐ雨に当てると穂の上で芽が出ます。
刈り方と束ね方
鎌で株元から十センチほどのところを刈ります。片手でひとつかみ分の茎をまとめ、根元を持って手前に引くように刃を入れると楽に切れます。刈った茎はそのまま穂をそろえて束にし、わらか麻ひもで根元を縛ります。
- 朝露が乾いてから刈る
- 露でぬれたまま刈ると束の中で蒸れます。午前十時ごろ、穂を触って乾いているのを確かめてから始めます。
- ひとつかみずつ刈る
- 左手で株元近くの茎をつかみ、右手の鎌を地面と平行に引きます。無理に切ろうとせず、刃を引くことで切ります。
- 穂をそろえて束にする
- 両手で抱えられる量を穂の位置をそろえてまとめ、根元から十センチほどのところをひもで固く縛ります。穂側が広がる形になります。
乾燥は風通しのよい軒下で
束を穂を下向きにして竿に掛けるか、根元を広げて穂を上にして立てかけ、雨の当たらない風通しのよい場所で一〜二週間乾かします。粒をかんでカリッと割れ、穂を振ると粒が落ち始めたら脱穀できます。屋内なら扇風機の風を当てると早まります。
束の中心まで乾いているかは、束をほどいて真ん中の穂を触って確かめます。外側だけ乾いて中が湿っていると、脱穀のときに粒がつぶれたりかびが出たりします。
| 場面 | 干し方 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 軒下に竿がある | 穂を下にしてひもで吊す | 1〜2週間 |
| ベランダ | 束を逆さにして物干しに | 1〜2週間。雨の日は取り込む |
| 屋内 | 新聞紙の上に広げて扇風機 | 5〜10日 |
家庭の道具でできる脱穀
脱穀は穂から粒を外す作業です。乾いた穂をブルーシートの上で棒でたたくか、厚手の袋に穂を入れて足で踏むと粒が外れます。粒には殻とひげ(芒)が混ざるので、風のある日にざるから少しずつ落として軽いごみを飛ばします。
- 穂だけを切り分ける
- 束のまま穂の部分をはさみで切り落とし、丈夫な袋やシートの上に集めます。わらが混ざらないほうが後の選別が楽です。
- たたくか踏む
- シートの上で穂を棒で軽くたたくか、厚手の袋に入れて足で踏みます。粒が外れなければ乾燥が足りないので、あと数日干します。
- 風で殻を飛ばす
- 風のある日に、ざるやボウルから粒を三十センチほどの高さから別の容器へ落とします。殻とひげが飛び、重い粒だけが残ります。
- 水に浮く粒を除く
- 食べる分だけ水に入れ、浮いた粒と黒ずんだ粒を捨てます。沈んだ粒をざるに上げて乾かせば製粉できます。
一平方メートルの畑からおよそ二百〜四百グラムの粒が取れます。手作業の脱穀は一株ずつなので、面積は小さく始めると続きます。
保存と製粉
乾いた粒は密閉できる瓶や袋に入れ、乾燥剤と一緒に冷暗所で保存します。虫が付きやすいので、夏を越すなら冷蔵庫か冷凍庫が安心です。製粉は家庭用のミルやフードプロセッサーで少量ずつ挽き、ふるいでふすまを除きます。挽いた粉は酸化しやすいので、使う分だけ挽きます。
| 状態 | 保存場所 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 粒のまま | 密閉容器と乾燥剤。冷暗所 | 半年〜1年 |
| 粒のまま・夏越し | 冷蔵庫か冷凍庫 | 1年 |
| 粉にしたもの | 密閉して冷蔵庫 | 1か月以内に使い切る |
粉の量は、粒の七〜八割が目安です。三百グラムの粒から、ふすまを除いておよそ二百グラムの粉が取れます。
収穫でよくある失敗と直し方
刈り遅れて粒がこぼれる、束の中で穂に芽が出る、脱穀しても粒が外れないといった失敗は、どれも乾燥のタイミングが原因です。粒が落ち始めたらこぼれるのを覚悟でも早く刈り、雨に当たった束はすぐ屋内に入れます。芽が出た粒は粉にしても膨らみが悪いので、その部分だけ取り除きます。
- こぼれ始めたら朝に刈る
- 粒がこぼれ始めた穂は、露で少し湿っている早朝に刈るとこぼれにくくなります。刈ったらすぐ風通しのよい場所へ移します。
- 芽が出た穂は分ける
- 穂の先から白い根や芽が見えたら、その穂は別にして早めに脱穀し、種にはせず粉にして早く使い切ります。
- 外れない粒は干し直す
- たたいても粒が穂から外れないときは乾燥不足です。穂だけを新聞紙に広げて三〜四日追加で干してから、もう一度たたきます。
小麦の収穫に使うもの
穫るときより、穫ったあとに困ります。入れるものと、しまうものを先に用意しておきます。
- 収穫ばさみ探す言葉「収穫ばさみ 野菜」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜7cm のステンレス製。先が丸いものは実を傷つけにくいです。
引きちぎると株のほうに傷が残り、そこから病気が入ります。次の実を穫るつもりなら、切って穫ります。
- 折りたたみコンテナ探す言葉「折りたたみコンテナ 20L」
- 規格の目安
- 20L 前後。使わないときに畳めるものが置き場所を取りません。
袋に入れると重みで下の実が潰れます。積み重ねられる箱なら、そのまま持ち帰れます。
- 鮮度保持袋探す言葉「野菜 鮮度保持袋 有孔」
- 規格の目安
- 厚さ 0.02mm 前後の有孔ポリ袋。葉物用と実物用でサイズを分けます。
穴のない袋に入れると蒸れて傷みます。穴あきの袋は湿りを保ちながら呼吸を通します。
- 新聞紙・保存箱探す言葉「野菜 保存 コンテナ 通気」
- 規格の目安
- 通気穴のある箱。根菜は新聞紙に包んで立てて入れます。
根菜と芋類は洗わずに土を落として乾かし、暗く涼しい場所に置くほうが長くもちます。
- よく切れる普通のはさみで足りる作物は多く、専用の収穫ばさみが要るのは硬い茎のものだけです。
- 真空保存機は、量が出るようになってから考えれば十分です。
小麦の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は小麦の育て方にまとめています。
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