まき時は霜が降りる二〜三週間前
小麦は秋にまいて冬を越し、初夏に穫る作物です。まく時期の目安は、その土地で初霜が降りる二〜三週間前で、関東平野部なら十一月上旬から中旬にあたります。早くまきすぎると年内に茎が伸びすぎて霜で傷み、遅すぎると冬までに根が張らず、春の分けつ(株元から新しい茎が増えること)が少なくなります。
本葉が三〜四枚、草丈が十センチほどで冬を迎えるのがちょうどよい姿です。まく前に、自分の地域の初霜の時期を確かめてから日程を決めてください。
| 地域 | まき時 | 冬の姿の目安 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 9月下旬〜10月中旬 | 本葉4〜5枚で根雪を迎える |
| 中間地(関東平野部) | 11月上旬〜11月中旬 | 本葉3〜4枚、草丈10センチ前後 |
| 暖地 | 11月中旬〜12月上旬 | 本葉3枚、伸びすぎを避ける |
パン用の強力系と、うどん向きの中力系で時期は変わりません。品種の差より、地域の霜の時期で決めます。
種まきの手順
小麦は条まき(一本の溝に沿ってすじ状にまく方法)が基本です。溝と溝の間隔は三十センチ前後、一メートルの溝に対して十〜十五グラムを目安に、種同士が一〜二センチ間隔になるように落とします。ばらまきに比べて麦踏みや草取りがしやすく、倒れにくい株立ちになります。
深さ二〜三センチの溝
板の角や支柱を押し当てて、深さ二〜三センチのまっすぐな溝を作ります。深すぎると芽が出るまでに力を使い、浅すぎると鳥に拾われます。
種を指でつまんで落とす
種を指先でつまみ、溝に沿って一〜二センチ間隔で落とします。一か所にかたまると間引きが要るので、まきすぎたら指で広げます。
土をかけて軽く踏む
溝の両側の土を寄せて二センチほどかぶせ、足の裏で軽く踏んで土と種を密着させます。乾いていれば一度だけたっぷり水をやります。
鳥よけを考える
スズメやハトが種を拾いに来る畑では、芽が出そろうまで不織布をべた掛けするか、糸を張っておきます。発芽後は外して構いません。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
まく量は一平方メートルあたり五〜十グラムで足ります。多くまいても分けつで補われるので、薄まきを恐れないでください。
畑の準備は二週間前に済ませる
小麦は水はけの悪い土地を嫌います。梅雨の頃に穂が実るため、根が長く水に浸かると病気が出て倒れやすくなります。畝は十〜十五センチほど高くして、まく二週間前までに石灰と元肥(植える前に土に混ぜておく肥料)を入れておきます。
肥料は入れすぎないことが大切です。窒素が多いと葉ばかり茂って倒れやすくなり、春先の追肥の効きも読めなくなります。一平方メートルあたり堆肥二〜三キロ、化成肥料を一握り程度に抑えます。
- 石灰で酸度を整える
- まく二週間前に苦土石灰を一平方メートルあたり百グラム前後まいて耕します。小麦は酸性の土を嫌うので、前作で石灰を入れていない畑ほど効きます。
- 元肥は控えめに混ぜる
- 一週間前に堆肥と化成肥料を全面に混ぜ込みます。前作がナスやトマトで肥料が残っている畑なら、化成肥料は半分以下に減らします。
- 高畝を立てて溝を切る
- 幅六十〜九十センチ、高さ十〜十五センチの畝を立てます。畝の間の通路は排水路を兼ねるので、低い側へ水が抜けるように傾きを付けます。
発芽から冬を迎えるまで
まいてから七〜十日で芽が出ます。芽が出そろったら、一か所に三本以上かたまっている部分だけ指で抜いて、二〜三センチ間隔にします。本葉が三枚を過ぎたころから麦踏みを始められます。
| 時期 | 株の姿 | やること |
|---|---|---|
| まいて7〜10日 | 針のような芽がそろう | 不織布を外す。水は乾いたときだけ |
| まいて3〜4週 | 本葉2〜3枚 | かたまった所を間引く。草を抜く |
| 12月中旬〜 | 本葉3〜4枚、草丈10センチ | 一回目の麦踏み |
発芽までは土を乾かしすぎないことだけ気を付けます。芽が出たあとは、冬の雨で足りるので水やりはほぼ不要です。
まき時を外したときの手当て
十月中に早まきしてしまい年内に草丈が二十センチを超えたら、麦踏みの回数を増やして伸びを抑えます。踏むと茎が地面に伏せ、根が増えて霜に強くなります。逆に十二月を過ぎてまくことになったら、まく量を一.五倍に増やし、春の分けつが少ない分を本数で補います。
- 伸びすぎは踏んで止める
- 草丈が二十センチを超えていたら、晴れた日の午前中に足で株を倒すように踏みます。二週間おきに繰り返して、葉が立ち上がらないころ合いを保ちます。
- 遅まきは厚くまく
- 十二月中旬以降のまき直しは、種の量を一.五倍にして間隔を詰めます。分けつがほとんど出ないので、最初から本数を確保しておきます。
- 芽が出ないときの見分け
- 二週間たっても芽が出なければ、溝を少し掘って種を確かめます。ふやけて黒ずんでいたら水はけ不良、種が無ければ鳥です。原因に合わせてまき直します。
小麦の種まきでよくある質問
小麦の種はいつまく?
小麦は秋にまいて冬を越し、初夏に穫る作物です。まく時期の目安は、その土地で初…。地域、品種、その年の気温で前後するため、本文の適期も確認してください。
小麦の種はどうやってまく?
条まき / ばらまきが目安です。種の性質に合わせた覆土と、発芽までの水分管理が大切です。
小麦の種は何cmの深さにまく?
種の大きさや好光性・嫌光性によって異なります。本文の覆土の目安と、購入した種袋の表示を優先してください。
小麦の種まき後は毎日水やりする?
回数ではなく土の乾き具合で判断します。発芽までは表土を乾かさず、過湿で水がたまる状態は避けます。
小麦は何日で発芽する?
発芽日数は地温と品種で変わります。種袋の目安を確認し、適温と水分を保って待ちます。
小麦の間引きはいつする?
葉が触れ合い始めた段階で、生育の良い株を残しながら数回に分けます。詳しい段階は本文で確認してください。
小麦の種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
小麦の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は小麦の育て方にまとめています。
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