一年の流れを表で見る
小麦は秋まき、冬越し、初夏の収穫という流れで、畑にいる期間は約七か月です。作業が集中するのは種まきの十一月、麦踏みの十二月から二月、そして収穫と乾燥の六月です。他の月はほとんど手がかかりません。
肥料を入れるのは種まき前の元肥(植える前に土に混ぜる肥料)と、二月の追肥(育ちの途中で足す肥料)の二回だけです。この二回のどちらも多すぎると倒れる原因になるので、表の目安より減らす方向で考えます。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 10月下旬 | 畑の準備。石灰と元肥 | まく2週間前まで |
| 11月上旬〜中旬 | 種まき | 初霜の2〜3週間前 |
| 12月中旬 | 1回目の麦踏み。間引き | 本葉3〜4枚 |
| 1月 | 麦踏み2〜3回 | 晴れた日の午前 |
| 2月中旬〜下旬 | 最後の麦踏み。追肥と土寄せ | 茎が立ち上がる直前 |
| 3月 | 草取り。排水の確認 | 草丈30センチまで |
| 4月中旬〜下旬 | 出穂。開花 | 穂が葉から出る |
| 5月 | 倒伏の見回り。病気の確認 | 雨風のあと |
| 6月上旬〜中旬 | 収穫と乾燥 | 穂が黄金色に |
十月から十一月:畑作りと種まき
前作の片付けを終えたら石灰をまいて耕し、二週間空けて堆肥と元肥を入れます。畝は高めに立て、十一月上旬から中旬に条まきします。まき終えたら軽く踏んで、鳥よけを用意します。
- 石灰は二週間前
- 苦土石灰を一平方メートルあたり百グラムまいて耕します。この二週間の間隔を詰めると、肥料と反応して効きが落ちます。
- 種まきは天気を見て
- 二〜三日晴れが続いた後の、土が乾いた日にまきます。まいた直後に大雨が当たると種が流れて条が乱れます。
- 鳥よけは芽がそろうまで
- まいた直後から不織布をべた掛けし、芽が二〜三センチに伸びてそろったら外します。掛けたままにすると葉が曲がって育ちます。
十二月から二月:麦踏みの季節
本葉が三〜四枚になったら麦踏みを始め、月に一〜二回、二月中旬まで続けます。一月は霜柱で根が浮きやすいので、踏んで土に押し戻す意味もあります。二月中旬から下旬、茎が立ち上がる直前に追肥と土寄せをして冬の作業を終えます。
| 月 | 株の姿 | 作業 |
|---|---|---|
| 12月 | 本葉3〜4枚。草丈10センチ | 1回目の麦踏み。込んだ所を間引く |
| 1月 | 葉が伏せて株が締まる | 麦踏み2回。霜柱で浮いた株を踏み戻す |
| 2月 | 株元の茎が固く立ち始める | 最後の麦踏み。追肥と土寄せ |
二月に株元を触って、茎が固くまっすぐ立ってきたら、それ以上踏みません。中にできている穂の元を傷めます。
三月から五月:伸びて穂が出る
三月は一気に草丈が伸びます。草を抑えるのはこの月だけで、四月には小麦が草に勝ちます。四月中旬から下旬に穂が出て、そのまま小さな花が咲きます。五月は穂が実る時期で、雨風で倒れないかを見回るのが主な仕事です。
- 三月は草取りと排水
- 条間の草を削り、その土を株元に寄せます。畝の間の通路に水がたまっていたら溝を掘り直して抜きます。
- 四月は穂を見守る
- 穂が出たら追肥はしません。穂に白い粉が付いていないか、葉に赤茶の斑点が出ていないかを週に一度見ます。
- 五月は倒伏の手当て
- 大雨の翌日に倒れていたら、乾いてから束ねて起こします。穂が地面に触れたままにしないことが大切です。
四月の穂は白く小さな花を二〜三日で咲かせます。花の時期に雨が続くかどうかを見ておくと、病気の見回りの目安になります。
六月:収穫と乾燥
穂が全体に黄金色になり、茎の上のほうまで黄色くなったら収穫です。関東平野部では六月上旬から中旬で、梅雨入りと重なります。晴れが二〜三日続く日を待って刈り取り、束ねて風通しのよい軒下で乾かします。
乾燥は一〜二週間かかります。粒をかんで固く割れるようになったら脱穀し、風で殻を飛ばして粒だけにします。ここまで終えて、ようやく一年の作業が終わります。
| 状態 | 見た目 | 判断 |
|---|---|---|
| 刈り取り前 | 穂が黄色、茎の上部も黄色 | 晴れが続く日に刈る |
| 刈り遅れ | 穂が垂れて粒が落ち始める | 急いで刈る。雨に当てない |
| 乾燥中 | 粒をかむと固く割れる | 脱穀に進める |
作業が遅れたときの立て直し
種まきが十二月にずれ込んだら、種を厚めにまいて麦踏みは一〜二回に減らします。麦踏みを一度もできなかった年は、二月下旬の追肥をやや控えめにして倒伏を避けます。収穫が梅雨の雨に当たったら、刈った束を屋内で扇風機を当てて乾かし、穂に芽が出る前に脱穀します。
- 遅まきは本数で補う
- 十二月中旬以降のまきつけは、まく量を一.五倍にします。分けつがほとんど出ないので、最初の本数がそのまま穂の数になります。
- 踏めなかった年は肥料を減らす
- 麦踏みなしで育った株は根が浅く倒れやすいので、追肥を三分の二に減らし、三月の土寄せを厚めにして支えます。
- 雨に当たった穂は早めに
- 収穫後に長雨に当たると穂の上で芽が出ます。屋内に取り込んで風を当て、粒が固くなり次第、脱穀に進みます。
小麦の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
小麦の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は小麦の育て方にまとめています。
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