苗の種類と選び方
フジの苗には、種から育てた実生苗と、花の咲く枝を台木に接いだ接ぎ木苗があります。実生苗は安くて丈夫ですが、花が咲くまで七年から十年かかり、花の色や房の長さも親と同じになりません。家庭で植えるなら、二〜三年で咲く接ぎ木苗を選びます。店で花付きの鉢が売られているものは、ほとんどが接ぎ木苗です。
| 種類 | 咲くまでの年数 | 向く人 |
|---|---|---|
| 接ぎ木苗 | 植えて二〜三年 | 品種を選んで早く咲かせたい |
| 花付きの鉢苗 | 翌年から | 鉢や小さな棚で楽しみたい |
| 実生苗 | 七〜十年以上 | 大きな棚を長い年月かけて作りたい |
| 挿し木苗 | 四〜五年 | 気に入った株を増やしたい |
接ぎ木苗は株元に接ぎ目のこぶがあります。買うときは接ぎ目の上から芽が出ているか、接ぎ目がしっかり付いているかを見ます。
系統で棚の大きさが変わる
日本のフジには、つるが右巻きで房の長いノダフジ系と、左巻きで房が短めのヤマフジ系があります。庭や鉢の大きさに合う系統を選ばないと、数年で手に負えなくなります。花房が一メートル近く垂れる長房の品種は大きな棚向きで、ベランダや小さな庭には房の短い品種や、つるの伸びが穏やかな品種が向きます。
| 系統 | 花房の長さ | 向く場所 |
|---|---|---|
| ノダフジ系の長房 | 五十センチ〜一メートル以上 | 広い庭の棚 |
| ノダフジ系の普通種 | 三十〜五十センチ | 庭の棚、大きな鉢 |
| ヤマフジ系 | 二十〜三十センチ | 小さな庭、鉢仕立て |
| 八重咲きや白花 | 二十〜四十センチ | 鉢や玄関脇のアーチ |
植える場所と時期
フジは日当たりを何より好みます。一日六時間以上日が当たる場所でないと、つるばかり伸びて花が付きません。土は水もちと水はけのよい深い土が向き、乾きやすい砂地では夏に葉が傷みます。植え付けの適期は葉を落として休眠している十一月から三月で、真冬の凍る時期は避けます。
成長すると根も幹も太く強くなり、塀や配管を持ち上げることがあります。建物の基礎から二メートル以上離し、棚を作る場所を先に決めてから植えます。後から動かすことはほぼできません。
- 深さ五十センチの穴
- 直径と深さがそれぞれ五十センチほどの穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土をバケツ二杯と元肥(植える前に土に混ぜておく肥料)を混ぜて戻します。
- 水はけを確かめる
- 穴に水を入れて一時間で引かなければ水はけが悪い土です。底に軽石を入れるか、土を盛って高めに植えます。
- 支柱を先に立てる
- 植える前に支柱を穴の脇に立てておきます。植えた後に立てると根を突き刺します。高さは苗より少し高いもので足ります。
根を傷めない植え方
フジの根は太くて折れやすく、切ったり傷めたりすると回復に時間がかかります。鉢苗は根鉢を崩さず、根巻き苗は麻布のまま植えて布だけ上部を開きます。接ぎ木苗は接ぎ目を土に埋めないように、接ぎ目が地面から五センチほど上に出る高さで植えます。埋めると台木から芽が出て品種の枝が負けます。
- 根鉢を崩さない
- 鉢から抜いた根鉢はそのまま穴に置きます。根が回っていても、フジは無理にほぐさず、底を軽く指で広げる程度にします。
- 接ぎ目を土の上に出す
- 株元の接ぎ目が地面より五センチ上に来る高さに調節します。深植えは台木の芽と根腐れを招きます。
- 水ぎめで隙間をなくす
- 土を半分戻したところで水をたっぷり注ぎ、泥水で根の隙間を埋めます。水が引いたら残りの土を戻します。
- 主幹を支柱に結ぶ
- 植えた後に幹をひもで支柱に八の字に結びます。風で揺れると新しい根が切れて活着が遅れます。
鉢植えにする場合
鉢植えは直径三十センチ以上の深い鉢を使い、赤玉土七に腐葉土三の配合か、市販の花木用培養土で植えます。鉢では根が制限されるので、庭植えより花が付きやすく、ベランダでも育てられます。ただし二年に一度、休眠期に根を三分の一ほど切って植え替える必要があります。
- 鉢は深いものを
- 根が下に伸びるので、幅より深さのある鉢を選びます。素焼きか駄温鉢が乾きやすくて向きます。
- 支柱かあんどんを立てる
- 鉢では三本の支柱を立ててつるを巻き付けるあんどん仕立てが定番です。植えるときに支柱を鉢の縁に固定します。
- 二年に一度植え替え
- 二月から三月に鉢から抜き、外側の根を三分の一切って新しい土で同じ鉢に戻します。根が詰まると花が減ります。
植え付け後に元気がないときの手当て
植えた年の春に芽が動かなくても、幹の皮を少し削って緑色なら生きています。フジは植え付けの年に根を張ることに力を使うので、つるの伸びが弱くても心配ありません。二年目から急に伸び始めます。ただし夏に葉がしおれる、株元の皮がはがれる、といった様子なら根の問題を疑います。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 春に芽が動かない | 根がまだ張っていない | 幹を削って緑なら待つ。水を切らさない |
| 夏に葉がしおれて戻らない | 根が乾いた、または根腐れ | 土を掘って湿り気を確かめ、乾いていれば深く水をやる |
| 株元から違う葉の芽が出る | 台木の芽 | 見つけ次第、付け根からかき取る |
| 幹が風で揺れて根元がゆるむ | 支柱の固定不足 | 支柱を打ち直し、根元に土を足して踏み固める |
植えて三年以内は、毎年三月に株元へ堆肥をひとすくい敷いて根の伸びを助けます。
フジの植え付けに使うもの
苗も球根も、植えたあとに動かすと根が傷みます。植える日にそろえておくものだけを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視の配合。14〜25L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、65cm プランターで 12〜15L、花壇なら 1 ㎡ あたり 20〜30L。
花壇でも、土が固いところは掘り上げて培養土を混ぜたほうが根が張ります。
- 腐葉土探す言葉「腐葉土 園芸」
- 規格の目安
- 葉の形が残っている完熟のもの。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 花壇 1 ㎡ あたり 5〜10L を掘り上げた土に混ぜます。
土をふかふかにして、水もちと水はけを同時に良くします。花壇の土づくりの基本です。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 マグァンプ」
- 規格の目安
- 粒状で 1 年ほど効くタイプ。植え穴の底に入れて使います。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 5〜10g、花壇 1 ㎡ あたり 50g 前後。
根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。触れると濃さで傷みます。量は袋の表示に従ってください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス 目盛り」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm。目盛り付きなら球根の深さを測れます。
球根は「球の高さの 2〜3 倍の深さ」に植えるのが基本で、目分量だと浅くなりがちです。
- 球根植え器は、球根をまとめて植えるようになってからで十分です。移植ごてで足ります。
- 鉢を毎回買い替えなくても、古い鉢を洗って日に当てれば使えます。
フジの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はフジの育て方にまとめています。
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