人工授粉が要る場面は決まっている
ズッキーニは雌雄異花で、虫が花粉を運べば人手はいりません。問題は、雌花が開いているのが早朝から数時間だけという点です。その時間に訪花がなければ、実は数センチで黄色くなって落ちます。
家庭菜園では株数が少なく、雄花と雌花が同じ日に咲く確率が低いため、放任だと着果が飛び飛びになります。次の場面に当たる日は、手で授粉したほうが確実です。
- 曇雨天が続く日
- 雨で花粉が濡れると受精しません。ハチも飛ばないため、雨の前日に咲いた雄花を採って軒下に置き、翌朝それを使います。
- 栽培の前半
- 6月上旬までは株が小さく、開く花の数も少ないので自然交配に頼れません。最初の3〜4果は毎回手で付けたほうが確実です。
- 住宅地やベランダ
- 訪花昆虫の数がもともと少ない場所です。1株しかない場合は雄花の確保もできないため、2株以上を隣接させて植えます。
雌花と雄花の見分けかた
花の付け根を見れば一目で分かります。雌花は開く前から小さな実が付いており、雄花は細い柄だけです。どちらも咲くのは1日限りで、前日のしぼんだ花は使えません。
- 雌花の見分け
- 花の下に長さ3〜5センチの若い実がすでに付いています。中心の柱頭は3つに分かれ、しめった光沢があります。
- 雄花の見分け
- 花の下が細い柄のままで、中心に黄色い粉の付いた雄しべが1本立ちます。株の中央より外側の節に多く付きます。
- 当日咲いた花
- 花弁がぴんと開き、内側が乾いています。前日の花は花弁がしなびて閉じかけ、花粉も湿って落ちません。
花の付け根に実が付いていても、先が細くしぼんでいるものは受精していない残りです。授粉せず摘み取ります。
授粉は開花当日の午前9時までに
雌花の柱頭が花粉を受け付けるのは開花直後です。時間が経つほど着果率が落ちるので、遅くとも午前10時、できれば9時までに済ませます。気温が上がると花粉自体も傷みます。
- 雄花を採る
- 当日咲いた雄花を柄ごと摘みます。1つの雄花で雌花2〜3個ぶんの花粉がありますが、迷ったら1花に1つ使います。
- 花弁を取る
- 雄しべが出るように花弁をむき取ります。花弁が邪魔をすると柱頭に届かず、付けたつもりで付いていない失敗が起きます。
- 柱頭になぞる
- 雌花の柱頭に、雄しべを軽くなでるように当てます。押し付けると柱頭が傷むので、粉が移ればそれで十分です。
- 日付を記録する
- 授粉した日をその場で控えます。収穫の適期は開花から4〜7日と短く、日付が分かるかどうかで採り遅れの数が変わります。
雄花が咲かないときの対処
栽培の初期は雌花ばかりが先に咲き、雄花が追いつかないことがよくあります。低温や肥料の効きすぎで雌花に偏るのが原因で、株が育って気温が上がれば自然に雄花が増えます。
逆に真夏は高温で雌花が止まり、雄花ばかりになります。どちらも一時的な偏りなので株を抜く必要はありませんが、その間の実は諦め、株を保つ管理に切り替えます。
- 他の株から借りる
- 近所や別の畝のカボチャの雄花でも代用できます。同じウリ科でも種が違えば実は正常に太り、食味も変わりません。
- 前日に採って保管する
- 夕方に翌朝咲きそうな雄花のつぼみを採り、水を入れずに室内に置くと翌朝開きます。雨予報の日の備えとして使えます。
- 最初の1〜2果は摘む
- 株が小さいうちの実は太りきらず、株の負担だけが残ります。開花前につぼみごと摘み、株を大きくする側に回します。
- 真夏は着果を休ませる
- 日中35℃を超える日が続くと花粉の質が落ちます。無理に付けず、追肥(育てている途中で足す肥料)と水やりで株を保ち、涼しくなってから再開します。
実が肥大しない・先端が細る原因
受精しなかった実は付け根側から黄色くなり、10センチ前後で止まって落ちます。一方、先端だけが細くしぼむのは受精不良か肥料切れで、途中まで太った実に見えるので判断を誤りやすい症状です。
| 症状 | 主な原因 | 次にやること |
|---|---|---|
| 数センチで黄変して落ちる | 受精していない | 翌朝から人工授粉に切り替える |
| 先端だけ細くしぼむ | 花粉の付きが浅い | 柱頭の3裂すべてに花粉を付ける |
| 全体が細く伸び悩む | 肥料切れと乾き | 追肥を10日ごとに戻し水を増やす |
| 曲がって太る | 日照不足と葉の混み | 下葉をかいて光を株元に入れる |
1株に同時に太らせる実は2〜3個までです。小さい実を欲張って残すと、どれも先が細って揃わなくなります。
授粉を減らす工夫
毎朝の作業を軽くしたいなら、株数と植え方で訪花を増やします。ズッキーニの近くに花期の長い草花を植えると訪花昆虫が定着し、手で付ける回数がはっきり減ります。
| 条件 | 人工授粉の必要度 | 目安 |
|---|---|---|
| 1株のみ | 高い | ほぼ毎朝必要 |
| 2〜3株を隣接 | 中くらい | 曇雨天と初期のみ |
| 3株以上と草花を併植 | 低い | 天候不順の日だけ |
ズッキーニの人工授粉に使うもの
かぼちゃやすいかのように、朝の数時間しか受粉できない作物があります。虫が来ない年でも実を付けるための道具です。
- 授粉用の毛ばたき・綿棒探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたきか、普通の綿棒。
雄花の花粉を雌花の柱頭へ付けます。強くこすらず、撫でる程度で十分です。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式、長さ 10cm 前後。
受粉した日を書いて実の近くに挿しておくと、収穫の適期を日数で判断できます。かぼちゃやすいかはここを外すと大きく味が変わります。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 目付 20g/㎡ 前後。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
雨の日の朝は花粉が流れます。前の晩にかけておくと、翌朝の受粉に間に合います。
- 虫がよく来る畑なら、人工授粉は要りません。まず朝に花を見に行って確かめます。
- 雄花を摘んで雌花に直接付ければ、道具は何も要りません。
ズッキーニの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はズッキーニの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。