剪定の種類を目的で選ぶ
アベリアの剪定は大きく分けて、輪郭を整える刈り込みと、株の中を透かす間引き、古い株を若返らせる強剪定の三つです。目的に合わない切り方をすると、花が咲かない、内側が枯れ込むといった失敗につながるので、まず何のために切るかを決めます。
| 目的 | 切り方 | 時期 |
|---|---|---|
| 生垣の輪郭を保つ | 表面を浅く刈り込む | 3月と7月、必要なら9月 |
| 風通しをよくする | 古枝を根元から間引く | 2〜3月 |
| 伸びすぎた株を小さくする | 地際20〜30センチで強く切り戻す | 2〜3月 |
| 花後の見た目を整える | 花がらの付いた枝先を軽く切る | 花の合間に随時 |
強剪定は寒冷地では3月後半、暖地では2月が目安です。厳寒期に切ると切り口から枯れ込みます。
冬の間引き剪定で株を若返らせる
落葉期に近い2月から3月上旬は、株の中がよく見えて枝を選びやすい時期です。3年以上たった太い枝は花付きが落ちるので、毎年全体の3分の1を目安に地際から切り、新しい枝に入れ替えていくと株が老けません。
間引いた後に株全体を見て、枝が均等に広がっていれば成功です。片側に偏ったなら、翌年は多いほうの側から優先して古枝を抜き、二年かけて形を戻します。
- 枯れ枝と細枝を先に抜く
- 灰色で表面がひび割れた枝、鉛筆より細くて弓なりに垂れきった枝は、株元まで戻って切ります。これだけで株の中に光が入ります。
- 古い太枝を三分の一切る
- 樹皮が茶色く硬くなった枝は花が少ないので、株元で切ります。全部を一度に切ると回復に時間がかかるため、3年かけて入れ替える感覚で進めます。
- 残す枝は外向きの芽で切る
- 残す枝の先を切るときは、外側を向いた芽のすぐ上で切ります。内向きの芽で切ると枝が株の中に伸び、翌年また混み合います。
刈り込みは新芽が伸びる前と花の合間に
生垣や丸く仕立てた株は、年に2〜3回表面を刈り込みます。アベリアは春から伸びた枝の先に次々と花を付けるので、深く刈るほど花が遅れます。輪郭から飛び出した枝だけを整える浅い刈り込みなら、7月に刈っても8月には再び咲きます。
刈り込み鋏で刈るときは、切った葉が茶色く縁取られることがありますが、新しい葉がすぐ覆うので気にしなくて構いません。太い枝が輪郭に混じるなら、そこだけ剪定鋏で切り戻します。
- 春は輪郭より一回り内側で
- 3月に前年の輪郭より2〜3センチ内側で刈ると、新しい枝が伸びても大きさが保てます。毎年同じ位置で刈ると表面だけが密になって内側が枯れます。
- 夏は飛び出し枝だけ
- 7月は徒長枝(勢いよく長く伸びた枝)だけを刈り込み鋏で払います。全面を刈ると花芽を落とし、次の開花まで1か月以上あきます。
- 秋の刈り込みは9月まで
- 10月以降に刈ると、切り口の近くの芽が冬までに硬くならず、寒さで枯れ込みます。秋に整えるなら9月中に済ませます。
伸びすぎた株を強く切り戻す
何年も放任して背が高くなった株や、下のほうが枯れ上がって足元がすかすかになった株は、地際20〜30センチで全部の枝を切る強剪定で作り直せます。アベリアは株元から芽を吹く力が強く、春に切れば夏には50センチほど伸びて秋に少し咲きます。
強剪定は3〜4年に一度で十分です。毎年切ると株が消耗し、株元からの芽が細くなります。切った年は花が少ないので、翌年から通常の刈り込みに戻します。
- 切る前に株元の芽を見る
- 株元の樹皮に小さな芽や吹き始めた枝があれば安心して切れます。まったく見当たらない古株は、半分の枝だけ切って翌年残りを切る二段階にします。
- 太い枝は鋸で水平に
- 指より太い枝は剪定鋏で潰さず、剪定用の鋸で水平に切ります。切り口が大きいものには癒合剤を塗って雨水と病原菌の侵入を防ぎます。
- 切った年は肥料と水を切らさない
- 葉を全部失うので、芽が動いたら追肥(育ちの途中で足す肥料)を与え、夏の乾燥時は水を補います。伸びた新枝は秋まで切らずに伸ばします。
花が咲かないときは切る時期を疑う
アベリアは丈夫なので枯れることは少ないものの、「花が咲かない」「片側だけ枯れた」という相談の多くは剪定の時期と深さが原因です。枝の姿を見て、どの切り方が引き金だったかを判断し、次の年の予定を組み直します。
| 症状 | 考えられる原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 新枝は伸びるのに花がない | 6〜8月に深く刈った | 夏の刈り込みを飛び出し枝だけに変える |
| 表面は密で内側が枯れている | 毎年同じ位置の刈り込み | 冬に古枝を間引き、刈る位置を内側へずらす |
| 切った枝の先から枯れ下がる | 厳寒期か10月以降の剪定 | 枯れ部分を緑のところまで切り戻し、時期を守る |
| 株の一部だけ芽が出ない | 強剪定した古株の一部が枯死 | 枯れ枝を抜き、周りの新枝で埋める |
枝を切ってみて中心まで褐色なら枯れています。薄い緑が残っていればまだ生きているので、そこまで戻して切ります。
アベリアの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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