雌花と雄花を見分ける
アケビは一つの株に雌花と雄花が別々に咲きます。四月ごろ、房状に垂れる花のうち、つけ根側に一〜三輪だけ大きく咲くのが雌花、先のほうに小さく多数つくのが雄花です。実になるのは雌花だけなので、まず雌花がどれかを確かめます。
| 見た目 | 雌花 | 雄花 |
|---|---|---|
| 大きさ | 直径二〜三センチと大きい | 直径一センチほどで小さい |
| つく位置 | 房のつけ根側に一〜三輪 | 房の先側に五〜十輪 |
| 中心の様子 | バナナのような雌しべが三〜九本 | 丸い雄しべが集まり花粉が出る |
| 数 | 少ない | 多い |
雌花が一輪も見当たらないときは株がまだ若いか、前年に強く剪定しすぎたかのどちらかです。花の数が増える三〜四年目まで待ちます。
自分の花粉では実がつかない理由
アケビには自家不和合性という性質があり、同じ株の雄花の花粉を雌花につけてもほとんど実になりません。さらに、同じ種類でも同じ品種どうしでは実がつきにくい傾向があります。ミツバアケビの雌花にアケビの花粉、またはその逆をつけるのが確実で、家庭ではこの組み合わせが基本です。
自然ではハナバチが花粉を運びますが、都市部やベランダでは虫が少なく、花が咲いてもぽろぽろ落ちることがよくあります。花が咲いたら人の手で受粉するものと考えたほうが失敗が少なくなります。
- 受粉樹の開花時期を合わせる
- アケビとミツバアケビは開花が一週間ほどずれることがあります。両方が同時に咲いていることを確かめ、早く咲いたほうの花粉は冷蔵庫で数日保存しておきます。
- 花粉が出ているか確かめる
- 雄花を指先で軽く触って、黄色い粉がつけば受粉に使えます。粉がつかない朝早い時間や雨の日の花粉は使えません。
人工受粉の手順
受粉は晴れた日の午前中、花が開いてから二〜三日以内の雌花に行います。雌しべの先が少し湿ってつやがある状態が受け入れ可能な目安です。雄花を摘み取って直接雌しべにこすりつける方法が簡単で、筆や綿棒を使えば花粉を無駄にせず多くの雌花に回せます。
- 別の株の雄花を摘む
- 受粉樹の房から雄花を三〜四輪摘み、花弁を裏側に折り返して雄しべを露出させます。花粉が黄色く見えていることを確かめます。
- 雌しべに軽くこすりつける
- 雌花の中心にある棒状の雌しべ一本ずつに、雄しべを軽くなでるようにつけます。雌しべは三〜九本あり、つけた本数だけ果実の房が増えます。
- 二日おきに繰り返す
- 雌花は一斉には咲かないので、開花期間中は二日おきに新しく咲いた雌花を探して受粉します。一度受粉した雌花も翌日もう一度つけると確実です。
- 受粉した花に目印をつける
- 受粉を終えた雌花の房に麻ひもなどで印をつけます。数日後に雌しべのつけ根がふくらんでいたら成功で、しぼんで落ちたら失敗です。
雌しべ一本が果実一つになります。一房に三〜五個ならせると実が小さくなるので、大きな実にしたいなら二〜三本だけ受粉します。
受粉後の実の管理
受粉が成功すると五月に雌しべのつけ根が小指の先ほどにふくらみます。六月ごろにいったん小さな実が落ちる生理落果があり、これは株が養える数に調整している自然な動きです。残った実は八月にかけてぐんと大きくなるので、この時期に水切れさせないことが大切です。
実がふくらみ始めたら房ごとに二〜三個に摘果(実を間引いて数を減らすこと)します。小さい実や傷のある実を先に取り、形のよいものを残します。つる一本に十個以上ならせると翌年の花芽が減るので、株全体で数を抑えます。
| 時期 | 実の様子 | 作業 |
|---|---|---|
| 5月上旬 | 雌しべのつけ根がふくらむ | 受粉成功を確かめ、目印を残す |
| 6月 | 親指大、一部が自然に落ちる | 落ちなかった実を房ごとに二〜三個へ摘果 |
| 7〜8月 | 急に肥大する | 乾いたら株元へたっぷり水やり、追肥を一握り |
| 9月 | 色づき始める | 袋をかけて鳥と虫を防ぐ |
実がつかないときの原因と切り分け
花は咲くのに実がつかないときは、受粉樹がない、開花がずれている、雌花がない、受粉後に水切れした、のどれかであることがほとんどです。順番に確かめると原因が絞れます。まず株が一本しかないなら受粉樹を足すのが先で、それ以外は開花の記録をつけて翌年に備えます。
| 状態 | 原因 | 翌年への戻し方 |
|---|---|---|
| 花が全部落ちる | 受粉樹がない、同じ株の花粉を使った | 種類の違う株を足す、近所の株から花粉をもらう |
| 雌花が咲かない | 株が若い、強い剪定で短い枝を切った | 冬の剪定を弱め、短い枝を残す |
| 受粉樹と開花がずれる | 種類ごとの開花差 | 早い株の花粉を冷蔵保存して使う |
| ふくらんだ実が六月にすべて落ちる | 水切れ、肥料切れ | 五月から敷きわらと水やり、六月に追肥 |
近所の山や公園にアケビがあれば、そこから雄花をもらって受粉しても実はつきます。二株目を植える場所がない場合の方法です。
アケビの受粉に使うもの
1 本では実らない木があります。自分の木がそれに当たるなら、道具の前に相手の品種が要ります。
- 授粉用の毛ばたき探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたき。梵天と呼ばれる授粉専用のものもあります。
花から花へ軽く触れて回ります。強くこすると花が傷むので、撫でる程度で十分です。
- 授粉用の花粉探す言葉「授粉用 花粉 果樹」
- 規格の目安
- 品種の合う花粉。石松子(増量材)と混ぜて使うものが多いです。
受粉樹を植える場所がないときの代わりです。品種の組み合わせが合わないと実らないので、そこを先に確かめます。
- 綿棒・小筆探す言葉「綿棒 授粉 園芸」
- 規格の目安
- 普通の綿棒か、細い筆。
花の数が少ないときは、1 輪ずつ確実に付けられます。品種を変えるときは新しいものに替えます。
- 1 本で実る品種なら、受粉の道具は要りません。まず自分の品種を確かめます。
- 受粉樹を近くに植えられるなら、人工授粉そのものが要らなくなります。
アケビの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はアケビの育て方にまとめています。
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