一年の流れを表で見る
アケビの一年は、冬の剪定、春の受粉、夏のつる整理と水やり、秋の収穫という流れです。作業が集中するのは四月と九月で、それ以外は月に一度株を見回る程度で育ちます。表は関東平野部の露地を基準にしています。寒冷地は春の作業を二〜三週間遅らせ、暖地は二週間ほど早めます。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 1月 | 剪定、寒肥 | 枯れ枝と長いつるを整理し、株元に堆肥をすき込む |
| 2月 | 剪定の仕上げ、植え付け | 芽が動く前に終える、苗の植え付け適期 |
| 3月 | 植え付け、春肥 | 緩効性の化成肥料を一握り、芽が動き始める |
| 4月 | 受粉 | 雌花が咲いたら二日おきに人工受粉 |
| 5月 | つるの誘引、新芽の整理 | 伸び始めたつるを棚に結び、ひこばえを欠く |
| 6月 | 摘果、追肥、つる先止め | 房ごとに二〜三個へ、はみ出したつるを止める |
| 7月 | 水やり、敷きわら | 乾いたら株元へたっぷり、葉のしおれを見て判断 |
| 8月 | 水やり、つる先止め | 朝の水やりを続け、二回目のつる整理 |
| 9月 | 袋かけ、収穫 | 色づき始めたら袋をかけ、果皮が割れたら収穫 |
| 10月 | 収穫、お礼肥 | 残りの実を採り、化成肥料を一握り |
| 11月 | 落葉、清掃 | 落ち葉を集めて処分し、病害虫の越冬を防ぐ |
| 12月 | 剪定開始、寒肥 | 落葉が終わったら剪定に入る |
冬から春の作業
十二月から二月は剪定と寒肥の季節です。落葉して枝の姿が見えるうちに絡みをほどき、長いつるを整理して短い枝を残します。寒肥は株元から五十センチほど離したところに溝を掘り、堆肥をバケツ一杯と油かすを一握り混ぜて埋め戻します。三月に芽がふくらみ始めたら緩効性の化成肥料を株元にまき、植え付けと鉢の植え替えもこの時期に済ませます。
- 剪定は落葉を待ってから
- 葉が残っているうちは花芽の位置がわかりにくいので、完全に落葉する十二月中旬以降に始めます。二月末までに終えます。
- 寒肥を株元から離して埋める
- 根の先端は枝の広がりの外側にあります。株元にまくより、枝先の真下あたりに溝を掘って埋めるほうが効きます。
- 芽の動きを見て春肥を判断
- 芽の先が緑色にふくらんできたら春肥の合図です。まだ固く茶色いままなら、一〜二週間待ってからまきます。
春から初夏の作業
四月は受粉の月です。房のつけ根に大きな雌花が咲いたら、別の株の雄花を摘んで雌しべにこすりつけます。晴れた日の午前中に二日おきに繰り返します。五月に入ると新しいつるが勢いよく伸びるので、棚に結びながら向きを整え、株元のひこばえを欠き取ります。六月には受粉に成功した実が親指大になるので、房ごとに二〜三個に摘果し、追肥(育ちの途中で足す肥料)を一握りまきます。
| 時期 | 株の姿 | やること |
|---|---|---|
| 4月上旬 | 房状の花が垂れる | 雌花を見分け、別の株の花粉をつける |
| 4月下旬 | 花が終わり新しいつるが伸びる | 受粉済みの雌花のつけ根がふくらむか確かめる |
| 5月 | つるが一日数センチ伸びる | 棚に結び、はみ出す前に向きを決める |
| 6月 | 実が親指大、一部が落ちる | 摘果と追肥、はみ出したつるの先を止める |
六月の自然落果は正常です。落ちた後に残った実が房ごとに二〜三個ならそれ以上摘果しなくて構いません。
夏の作業
七月から八月は実が急に大きくなる時期で、水切れがもっとも怖い季節です。露地でも一週間雨がなく、朝の時点で葉がしおれていたら株元にバケツ二杯の水を注ぎます。鉢植えは朝夕の二回が目安です。敷きわらや刈り草で株元を覆うと乾きが半分ほどに減ります。つるは引き続き伸びるので、八月にもう一度はみ出した先を止め、実の上にかぶさる葉を少し取って光を入れます。
- 朝に葉の張りを見る
- 朝の涼しい時間に葉がしおれていれば水が足りません。昼のしおれは暑さで起こるので、判断は必ず朝にします。
- 敷きわらを厚くする
- 株元の半径五十センチに五センチほどの厚さで敷きます。薄いと効果がなく、厚すぎると雨が届かなくなります。
- 二回目のつる止め
- 八月上旬に棚から出たつるの先を切ります。九月以降に伸びたつるは充実しないので、それ以降は切らずに冬の剪定に回します。
秋の作業
九月に入ると実が紫色に色づき始めます。色づいたら鳥と虫に狙われるので、果実袋をかけて守ります。果皮が縦に割れて中の白い果肉が見えたら収穫のころで、割れる前の実は追熟しません。収穫が終わった十月に化成肥料を一握りまいてお礼肥とし、十一月の落ち葉は集めて処分します。落ち葉を株元に残すと病害虫が越冬します。
| 月 | 実の状態 | 作業 |
|---|---|---|
| 9月上旬 | 薄く色づく | 果実袋をかける、鳥よけの糸を張る |
| 9月下旬〜10月上旬 | 果皮が割れ始める | 割れた実から順に収穫 |
| 10月中旬 | 収穫終了 | お礼肥、袋と糸を片付ける |
| 11月 | 落葉 | 落ち葉を集めて処分、来年の剪定計画 |
作業が遅れたときの戻し方
剪定を三月まで持ち越したときは、芽が動いていても枯れ枝と絡んだつるだけを切り、短い枝には手をつけません。受粉を逃したときはその年の実はあきらめ、代わりにつるをしっかり育てて翌年の短い枝を増やします。夏の水切れで葉が落ちたときは、九月に少量の追肥をして根を回復させ、冬の剪定を弱めにします。一年の遅れで株が枯れることはないので、翌年に立て直す前提で構いません。
- 剪定が遅れたら弱く切る
- 芽が動き出した後の剪定は切り口から樹液が出て株が弱ります。枯れ枝だけにとどめ、長いつるの整理は次の冬に回します。
- 受粉を逃したらつる作りに切り替える
- 実がつかない年はつるの成長に養分が回るので、棚の骨格を整えるよい機会です。夏のつる止めをていねいに行います。
- 水切れで落葉したら回復を優先
- 落葉後も水やりは続け、九月に化成肥料を半握りだけまきます。翌年は実の数を減らして株を休ませます。
アケビの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
アケビの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はアケビの育て方にまとめています。
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