開花が早いから受粉が難しい
アーモンドは3月上旬から中旬、ウメの終わりからサクラの前に桃色の花を咲かせます。この時期はまだ寒く、ミツバチなどの虫がほとんど飛びません。自然に任せると受粉が済まないまま花が終わることが多く、日本の家庭栽培では人工授粉がほぼ必須と考えます。
花は一週間から十日ほど咲き続けます。雨や強風が続く年は花粉が流されるので、晴れた日を選んで一日か二日おきに授粉を繰り返します。全ての花にする必要はなく、枝の中ほどの充実した花を狙います。
| 時期 | 花の状態 | 作業 |
|---|---|---|
| 2月下旬 | つぼみが桃色に膨らむ | 受粉樹の開花のずれを確かめる。鉢なら寄せて置く |
| 3月上旬 | 開き始め | 開いた花から授粉を始める。午前中の乾いた時間帯 |
| 3月中旬 | 満開 | 二日おきに授粉を繰り返す。雨の日は避ける |
| 3月下旬 | 花びらが散る | 授粉終了。実の付きが分かるのは4月中旬 |
人工授粉の手順
受粉相手が別の木なら、その木の花粉を採って目的の木の花に付けます。一本で実が付く品種でも、同じ木の別の花の花粉を付けると実の数が増えます。道具は柔らかい筆か耳かきの梵天で足ります。
- 花粉の出た花を選ぶ
- 開いて一日か二日たった花のおしべの先が黄色く粉を吹いていたら花粉が出ています。指で軽く触って黄色が付けば使えます。
- 筆に花粉を採る
- 受粉相手の花のおしべを筆でなで、花粉を含ませます。数輪分をまとめて採ると、筆に十分な量が付きます。
- めしべの先に付ける
- 目的の木の花の中心にある一本のめしべの先を筆で軽くなでます。強くこすると柱頭が傷み、実になりません。
- 晴れた午前中に繰り返す
- 一度で済ませず、二日おきに新しく開いた花にも行います。花粉は湿ると効きが落ちるので、雨上がりの直後は避けます。
花粉は冷蔵庫で数日もちます。相手の木が先に咲いたときは、花粉を採って小さな容器に入れ、乾燥剤と一緒に冷蔵しておきます。
開花のずれをそろえる
二品種を植えても、開花が一週間以上ずれると受粉が成立しません。品種ごとの開花期の差に加え、置き場所の日当たりでも数日ずれます。鉢植えなら片方を日なたか日陰に移して咲く時期を調整できます。地植えでは開花の早い品種を北側、遅い品種を南側に植えておくと差が縮まります。
- 開花日を毎年記録する
- 二本の木がそれぞれ何日に咲き始めたかを記録します。三年分あれば、どちらを早め遅めにすればよいかが分かります。
- 遅い木を暖かい場所へ
- 鉢植えなら、2月中旬から開花の遅い木を南向きの壁ぎわに置いて早めます。早い木は北側の日陰に置いて遅らせます。
- 花粉を保存して待つ
- どうしてもずれるときは、先に咲いた木の花粉を採って冷蔵し、後から咲いた木に付けます。一週間程度なら十分に使えます。
モモやウメの花粉を使う
アーモンドはモモと同じ属で、モモやウメの花粉でも実が付くことがあります。受粉樹を置けない庭で近所にウメがある場合は、開花が重なっていれば試す価値があります。ただし品種の相性で付かないこともあるので、確実さを求めるならアーモンド同士の組み合わせを優先します。
| 花粉の種類 | 開花の重なり | 期待できる度合い |
|---|---|---|
| 別品種のアーモンド | ほぼ同時 | 最も確実。実の数も多い |
| 同じ木の花粉 | 同時 | 自家結実性の品種なら付く。数は控えめ |
| ウメ | ウメの遅咲きと重なる | 付くことがある。試す価値はある |
| モモ | モモのほうが遅い | 重なる年だけ可能。あまり当てにしない |
実が付いたあとの摘果
受粉がうまくいくと4月中旬に小さな緑の実がふくらみます。一枝に十個以上付いたら、5月に間隔をあけて摘み取ります。実を残しすぎると一つ一つが小さくなり、殻の中の種も充実しません。目安は葉20枚から30枚に一果、枝の長さなら10センチに一果です。
- 小さい実と傷んだ実を落とす
- 5月上旬、実が親指の先ほどになったら、小さい実や形のゆがんだ実を先に指で取ります。自然に落ちる実もあるので急ぎません。
- 間隔を10センチにする
- 残った実の間が10センチ前後になるよう、混んだ部分を間引きます。枝の先端寄りより中ほどの実を残すと枝が折れにくくなります。
若木は実を付けすぎると翌年の枝が伸びません。植えて三年目までは実の数を一枝三個までに抑えます。
実が付かないときの原因の見分け
花は咲くのに実が一つも残らないとき、原因は受粉の失敗、遅霜、若木の生理落果のどれかであることがほとんどです。花が散ったあと二週間の姿を見て切り分けます。実のもとが全く膨らまないなら受粉、膨らんでから黒くなったなら霜、小豆ほどで落ちるなら若木の力不足です。
| 見た目 | 原因 | 翌年の対策 |
|---|---|---|
| 花が散り実のもとが残らない | 受粉不成立 | 人工授粉を二日おきに行い、受粉樹の開花を合わせる |
| 小さな実が黒く枯れる | 遅霜の被害 | 開花中の冷え込む夜は不織布をかける。鉢は室内へ |
| 小豆大まで育って落ちる | 若木の生理落果 | 実を期待せず木を育てる。三年目以降に安定する |
| 実は付くが中身が空 | 受粉不良か水切れ | 受粉を丁寧にし、5月から6月の乾燥時に水をやる |
アーモンドの受粉に使うもの
1 本では実らない木があります。自分の木がそれに当たるなら、道具の前に相手の品種が要ります。
- 授粉用の毛ばたき探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたき。梵天と呼ばれる授粉専用のものもあります。
花から花へ軽く触れて回ります。強くこすると花が傷むので、撫でる程度で十分です。
- 授粉用の花粉探す言葉「授粉用 花粉 果樹」
- 規格の目安
- 品種の合う花粉。石松子(増量材)と混ぜて使うものが多いです。
受粉樹を植える場所がないときの代わりです。品種の組み合わせが合わないと実らないので、そこを先に確かめます。
- 綿棒・小筆探す言葉「綿棒 授粉 園芸」
- 規格の目安
- 普通の綿棒か、細い筆。
花の数が少ないときは、1 輪ずつ確実に付けられます。品種を変えるときは新しいものに替えます。
- 1 本で実る品種なら、受粉の道具は要りません。まず自分の品種を確かめます。
- 受粉樹を近くに植えられるなら、人工授粉そのものが要らなくなります。
アーモンドの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はアーモンドの育て方にまとめています。
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