症状の場所で原因を切り分ける
りんごの不調は、葉、実、幹のどこに出るかで原因がおおよそ分かれます。葉に黒い斑点なら黒星病、実に穴があいて虫のふんが出ていればシンクイムシ、幹の皮が赤茶色に腐って酒のにおいがすれば腐らん病です。まず症状の場所を見て、それから対処に入ります。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 葉に黒いすすのような斑点 | 黒星病 | 病葉を集めて処分、風通しを改善 |
| 実に穴、中にふん | シンクイムシ類 | 被害果を処分、翌年は袋かけを早める |
| 幹の皮が赤茶色に腐り酒のにおい | 腐らん病 | 患部を削り取り癒合剤 |
| 新芽が縮れ黒く汚れる | アブラムシ | 水で洗い流すか野菜用の殺虫剤 |
| 葉が白い粉をふく | うどんこ病 | 病枝を切り取り処分 |
| 葉の色が抜けて糸が張る | ハダニ | 葉裏に水をかける |
黒星病は落ち葉と雨で広がる
黒星病はりんごで最も多い病気で、四月から六月の雨で落ち葉の菌が飛び、葉と実に黒いすすのような斑点を作ります。実の斑点はひび割れて商品にならず、葉は早く落ちて木が弱ります。菌は落ち葉で越冬するので、冬に落ち葉を集めることが最大の予防です。
- 冬に落ち葉を残さない
- 十二月に株元の落ち葉を集めて処分します。堆肥にせず、燃えるごみか埋めるかで畑から出します。
- 四月から六月に見回る
- 雨の後に葉の表を見て、黒い斑点が出た葉は摘み取って袋に入れます。初期に一枚ずつ取れば広がりを止められます。
- 風通しと袋かけ
- 夏剪定で内側に光を入れ、実は六月上旬までに袋をかけます。袋の中の実には菌が届きません。
- 薬を使うなら開花前後
- 毎年出る木なら、果樹に登録のある殺菌剤を開花直前と花が終わった直後の二回散布します。表示の回数と収穫前日数を守ります。
雨が多い年ほど出ます。梅雨入り前に病葉を取り切っておくと、梅雨明け後の広がりが小さくなります。
シンクイムシは袋かけの時期で決まる
モモシンクイガやナシヒメシンクイの幼虫が実に食い込み、穴からふんを出します。食い込まれた実は落ちるか中が腐ります。産卵は六月から八月に繰り返されるので、六月上旬までに袋をかけるのが最も確実な対策です。袋をかけない場合は、被害果を見つけ次第もぎ取って処分し、次の世代を減らします。
| 時期 | 起きること | すること |
|---|---|---|
| 六月上旬 | 一回目の産卵が始まる | 袋かけを終える |
| 七〜八月 | 被害果に穴とふん | 被害果をもぎ取り袋に密封して処分 |
| 九月 | 幼虫が地面に降りて越冬 | 落果を集め株元を耕す |
被害果を株元に捨てると、中の幼虫が土に潜って翌年また出てきます。必ず袋に入れて畑の外へ出します。
腐らん病は幹を見回って削る
腐らん病は幹や太い枝の皮が赤茶色に腐り、押すとぶよぶよして酒のにおいがします。剪定の切り口や凍害の傷から入り、幹を一周すると木が枯れます。冬に幹を見回り、見つけたら健全な部分まで削って癒合剤を塗ります。剪定の切り口に癒合剤を塗ること、幹の南側に白い塗料を塗って冬の凍害を防ぐことが予防になります。
- 冬に幹を触って確かめる
- 葉のない一月から二月に、幹と太い枝の皮を手で押して回ります。柔らかい、色が違う、樹皮が浮いている場所に印をつけます。
- 健全部まで削る
- 小刀で患部の周囲一センチの健全な部分まで削り、削りかすは処分します。削った面には癒合剤をたっぷり塗ります。
- 幹の半周を超えたら枝ごと
- 枝の半周以上に広がっていたら削っても助かりません。患部の十センチ下で枝ごと切り、切り口に癒合剤を塗ります。
実の日焼けと裂果
病気や虫ではない障害も多くあります。夏の強い日で実の日の当たる側が茶色く焼ける日焼け、収穫前の雨で実が割れる裂果、夏の乾燥で実の底が茶色くへこむ石灰不足の症状などです。いずれも薬では直らず、水やりと袋かけ、摘果の量で防ぎます。
| 見た目 | 原因 | 翌年の対策 |
|---|---|---|
| 日の当たる側が茶色く焼ける | 袋を外した直後の強い日 | 曇りの日に袋を外す |
| 収穫前に実が割れる | 乾燥の後の大雨 | 夏の水やりを均一にする |
| 実の底が茶色くへこむ | 石灰不足と乾燥 | 二月に苦土石灰を混ぜ敷きわらで乾きを抑える |
| 実の表面にさび状の模様 | 開花直後の低温か薬害 | 気にせず食べられる |
毎年出るときの手入れの見直し
同じ病害虫が毎年出るなら、薬の前に環境を見直します。落ち葉と被害果が残っていないか、枝が込み合って雨の後に乾かない場所がないか、袋かけが六月上旬に間に合っているか、の三つがほとんどの原因です。この三つを守った上で、それでも出る黒星病だけは開花前後の殺菌剤で抑えます。
薬を使うときは、果樹に登録のあるものを表示の希釈で使い、収穫前日数を守ります。回数を増やしても効きは上がらず、時期を合わせることのほうが大切です。
- 落ち葉と被害果を残さない
- 十二月の落ち葉集めと、夏の被害果の即時処分を毎年の習慣にします。これだけで黒星病とシンクイムシの半分は減ります。
- 内側に光を入れる
- 七月の夏剪定で木の中に手を入れられる空間を作ります。雨の後に早く乾く木は病気が広がりません。
- 袋かけの期限を守る
- 六月上旬の袋かけを毎年の期限にします。摘果が遅れて袋が遅れると、虫の被害が一気に増えます。
りんごの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はりんごの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。