品種で受粉樹の要不要を先に決める
あんずは日本の在来系と欧州系で性質が大きく違い、1本で実がつくかどうかも品種で決まります。庭に1本しか植えられないなら、自分の花粉で実がつく品種を選ぶことが最初の判断です。関東平野部の露地なら、梅雨の雨に強い在来系が育てやすいです。
苗を買うときは品種名の札を必ず確かめます。品種名がない「あんず」の苗は、実がつくまで性質が分からず、受粉樹を用意するかどうかも決められません。
| 系統・品種 | 1本で実がつくか | 向く使い方 |
|---|---|---|
| 在来系 平和・山形3号 | つきにくい。別品種を近くに | ジャム・シロップ漬け |
| 在来系 信州大実 | つきにくい。受粉樹が要る | 大玉で加工向き |
| 欧州系 ハーコット | 1本でつく | 生食。梅雨の雨で実が割れやすい |
| 欧州系 ゴールドコット | 1本でつく | 生食。比較的雨に強い |
受粉樹は開花期が重なる別品種のあんずのほか、同じ時期に咲く梅でも代わりになります。近所に梅があれば受粉樹なしで実がつくこともあります。
苗は接ぎ木の1年生か2年生を選ぶ
園芸店に並ぶあんずは、桃や梅の台木に接いだ接ぎ木苗が中心です。植えて3年から4年で実がつき始めます。実生苗(種から育てた苗)は親と同じ実がならず、実がつくまで7年以上かかるので、家庭では選びません。
- 接ぎ口の癒合を見る
- 根元から10センチほどの位置にある接ぎ口が、ふくらみながらもなめらかにつながっている苗を選びます。接ぎ口に隙間があり、テープが浮いているものは活着が不十分です。
- 幹の太さと芽を確かめる
- 幹が鉛筆より太く、まっすぐで、冬芽がふっくらと付いている苗が健全です。細く曲がった苗や、芽がしなびて黒くなっている苗は避けます。
- 根を触って確かめる
- 落葉期の裸苗なら、根が白っぽく多く出ていて、乾いていないものを選びます。ポット苗なら底から根が少しのぞく程度が目安で、根が黒くぐるぐる巻いているものは避けます。
植え付けは11月から2月の落葉期
あんずは落葉果樹なので、葉を落として休んでいる11月下旬から2月に植えると根の傷みが少なく済みます。関東なら12月か、寒さが緩む2月下旬から3月上旬が扱いやすいです。芽が動き出した後に植えると、根が付く前に葉が開いて水切れを起こします。
| 時期 | 向き不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 11月下旬〜12月 | 適期 | 根が休んでおり、春までに土がなじむ |
| 1月 | 寒冷地は避ける | 土が凍ると根が浮き上がる |
| 2月下旬〜3月上旬 | 適期 | 芽が動く前で、すぐ根が伸び始める |
| 4月以降 | 不向き | 葉が開いてから根が付かず、水切れする |
地植えの手順
あんずは日当たりと水はけの良い場所を好み、梅雨に水が溜まる場所では根腐れと実の割れが増えます。木は放っておくと5メートルを超えるので、隣の木や建物から3メートル以上離して植えます。
- 穴を掘って土を作る
- 直径60センチ、深さ50センチの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土をバケツ2杯と苦土石灰をひと握り混ぜて戻します。粘土質なら軽石や川砂を加えて、水がすぐ引く土にします。
- 根を広げて浅く植える
- 根を四方に広げ、接ぎ口が地面より5センチ上に出る高さに据えます。深く植えると台木から芽が出て、あんずの幹が負けます。土を戻しながら軽く踏み固めます。
- 切り戻して支柱を立てる
- 植え付け直後に幹を地面から60センチから70センチの高さで切り戻し、根と枝の釣り合いを取ります。1.5メートルの支柱を立て、幹を8の字に結びます。最後にバケツ2杯の水を注ぎます。
切り戻しをためらう人が多いですが、切らないと根が付く前に上の枝が伸びて、翌年に枯れ込みます。切った位置から出る枝で骨格を作ります。
鉢植えの用土と鉢の大きさ
あんずは鉢でも育ちますが、根が強く伸びるので8号以上の深い鉢から始めます。用土は市販の果樹用か、赤玉土中粒6に腐葉土3、軽石1を混ぜたものを使い、鉢底に軽石を敷きます。鉢では木の大きさを抑えられる代わりに、毎年の植え替えと水やりが欠かせません。
| 鉢の大きさ | 木の姿の目安 | 植え替えの時期 |
|---|---|---|
| 8号〜10号 | 植えて1〜2年、高さ1メートル | 1年ごとに一回り大きく |
| 12号〜13号 | 3〜4年、実がつき始める | 2年ごとに根を切って植え直す |
| 15号以上・木製の箱 | 成木、高さ2メートルで維持 | 2〜3年ごとに根を3分の1切る |
根付かないときの原因を切り分ける
植えて春になっても芽が動かない、葉が開いてすぐしおれるときは、植え方か水か根の傷みのどれかが原因です。幹を爪で軽くこすって緑色が見えるなら生きているので、水やりを続けて待ちます。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 春に芽が動かず幹は緑 | 根の活着が遅れている | 水を切らさず5月まで待つ。切らない |
| 葉が開いてすぐしおれる | 切り戻し不足で根が追いつかない | 枝を半分に切り戻し、株元にわらを敷く |
| 幹が黒く乾いている | 冬の乾燥か寒さで枯死 | 緑の部分まで切り戻し、なければ植え直す |
| 台木から強い枝が出る | 深植えか幹の弱り | 台木の芽は根元からかき取る |
あんずの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
あんずの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はあんずの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。