見た目から原因を探す
あんずの被害は実に出るものと枝や葉に出るものに分かれ、見た目でほぼ原因を特定できます。梅雨と収穫が重なるため、実の病気は薬より予防と早採りで対処します。表で症状から当たりをつけてから、それぞれの節を読みます。
| 症状 | 原因 | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 実に黒い小さな斑点が散る | 黒星病 | 冬の枝の整理と、実の袋かけ |
| 実が茶色く腐り灰色の粉をふく | 灰星病 | 腐った実をすぐ取り、翌年は袋かけ |
| 幹や枝に灰色や茶色のかびの膜 | こうやく病 | 削り取って癒合剤。カイガラムシも退治 |
| 枝から樹脂がしみ出て枯れる | 胴枯れ病か樹脂病 | 枯れた部分を切り戻し癒合剤 |
| 新芽が縮れて小さな虫 | アブラムシ | 指でつぶすか水で流す |
| 実の表面が割れる | 実割れ(乾きの後の急な吸水) | マルチングと早採り |
黒星病と灰星病
黒星病は実の表面に黒い小さな斑点が散り、皮が硬くなって割れやすくなります。灰星病は熟しかけた実が茶色く腐り、表面に灰色の粉をふきます。どちらも梅雨の雨で広がるので、雨に当てない袋かけと、腐った実を残さないことが対策の中心です。
- 5月の摘果後に袋をかける
- 摘果を終えた5月中旬に、市販の果実袋を1個ずつかけます。雨と虫を防ぎ、収穫まで実がきれいに育ちます。数が多ければ手の届く範囲だけでもかまいません。
- 腐った実は毎日取る
- 灰星病の実は胞子の出どころになります。木に付いたまま、あるいは落ちたまま放置せず、見つけたその日に袋に入れて処分します。
- 冬に病枝と落ち葉を片付ける
- 病原は枝や落ち葉で越冬します。剪定で黒く縮れた枝を落とし、落ち葉と落果を株元に残しません。
野菜や果樹用の殺菌剤を使うなら、開花前と落花後の2回にとどめ、収穫前の散布は避けます。
こうやく病とカイガラムシ
枝や幹に灰色や褐色の厚いかびの膜が張り付くのがこうやく病で、カイガラムシの排せつ物を栄養に広がります。膜が幹を一周すると先が枯れるので、見つけたら冬に削り取ります。あんずは風通しの悪い古木に出やすく、剪定で内側を空けることが予防になります。
- 冬に膜を削り取る
- 12月から2月に、ナイフやたわしで膜をこすり落とし、削った面に癒合剤を塗ります。膜の下に隠れたカイガラムシも一緒に落とします。
- 細い枝は切り落とす
- 膜が枝を一周している細い枝は、削るより付け根から切ったほうが確実です。切った枝は畑に残しません。
- 冬に油の薬を使う
- カイガラムシが多い年は、落葉期に使える果樹用の油の薬を幹と枝全体に散布します。膜を削った後に散布すると効きが良くなります。
実割れの見分けと防ぎ方
実の表面がひび割れるのは病気ではなく、乾いた後に雨で急に水を吸ったことが原因です。特に欧州系の生食品種は皮が薄く割れやすく、梅雨の雨で収穫直前に割れることがあります。割れた実は腐りやすいので、その日のうちに採って使います。
| 場面 | 対策 | 目安 |
|---|---|---|
| 梅雨入り前に乾いた日が続く | 株元に水を与えて乾きの差を小さくする | 1週間雨がなければ10リットル |
| 実が色づき始めた | 雨の前に色づいた実から先に採る | 全体が黄橙色になる少し前 |
| 毎年割れる | 5月のマルチングと袋かけ、雨に強い品種へ | 欧州系なら在来系を検討 |
鳥と虫の実の被害
色づいたあんずはヒヨドリやカラスに狙われ、一晩で食べ尽くされることもあります。カメムシも実を吸って変形させます。色づき始めたら毎日木を見て、鳥が来たと分かった時点で防鳥網をかけます。
鳥は一度味を覚えると毎日同じ木に来ます。最初の1個を食べられた時点で網をかけると、その年の被害はほぼ止まります。目玉風船や光る糸は数日で慣れるので、網のほうが確実です。
- 防鳥網は色づく前にかける
- 実が黄色みを帯び始めた6月中旬に、木全体か手の届く範囲に防鳥網をかけます。網は枝から10センチ以上浮かせて、外から突けないようにします。
- カメムシは朝に落とす
- 実に集まるカメムシは、気温の低い朝に動きが鈍いので、バケツの水に落として処分します。袋かけをしていれば被害はほとんど出ません。
失敗しやすい対処と直し方
薬で一気に片付けようとして木を傷めるのが、あんずで多い失敗です。梅雨と収穫が重なるので、収穫前の散布は避け、冬と5月の物理的な対策を主にします。実の病気は今年の実をあきらめても、翌年の予防で立て直せます。
| 失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 収穫直前に殺菌剤を散布 | 実に薬が残り、使いにくい | 散布は落花後までにし、袋かけに切り替える |
| 腐った実を木に残した | 翌年も灰星病が出る | 今からでも全部取り、冬に落ち葉も片付ける |
| こうやく病の膜を放置した | 枝が枯れ上がる | 冬に削り取り、枯れた枝は切り戻す |
| 夏の暑い日中に薬を散布 | 葉が焼けて落ちる | 散布は朝夕の涼しい時間に。落ちた葉は待つ |
あんずの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はあんずの育て方にまとめています。
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