実がつくのは短果枝
あんずの花芽は前年に伸びた枝につきますが、特に長さ10センチ前後の短い枝(短果枝)に多く、勢いよく伸びた長い枝にはほとんどつきません。剪定の狙いは、長い枝を減らして短い枝を木全体に散らすことです。まず自分の木のどの枝に花芽があるかを見て、切る枝を決めます。
花芽は丸くふくらみ、葉芽は細くとがっています。1月の木を近くで見ると違いが分かるので、切る前に枝ごとに芽の姿を確かめると失敗しません。
| 枝の姿 | 花のつき方 | 扱い |
|---|---|---|
| 長さ10センチ前後の短い枝 | 丸い花芽が多くつく | 切らずに残す |
| 長さ30〜50センチの中くらいの枝 | 先のほうに少しつく | 先を3分の1切り詰める |
| 1メートル近く垂直に伸びた枝 | ほとんどつかない | 付け根から切るか、横向きの芽の上で強く切る |
| 内側に向いた細い枝 | つくが日が当たらない | 付け根から切る |
冬剪定は12月から2月上旬
葉が落ちて枝の形が見える12月から2月上旬に行います。2月中旬を過ぎると芽が動き始め、切り口から樹液が出て弱ります。あんずは切り口から枯れ込みやすいので、太い枝を切るときは癒合剤を塗ります。
- 枯れ枝と病枝を先に落とす
- 枯れて灰色になった枝、樹脂が固まって黒くなった枝、こうやく病でかびの膜が張った枝を付け根から切ります。切りくずは畑に残さず処分します。
- 垂直に伸びた長い枝を抜く
- 去年の夏に1メートル近く垂直に伸びた枝は、花がつかず日陰を作るだけです。付け根から切るか、横向きの芽の上で強く切り詰めて短い枝を出させます。
- 混んだ枝を間引く
- 枝と枝の間隔が手のひら1つ分より狭いところは、弱いほうを付け根から切ります。木の内側に日が入って、下の枝にも実がつくようにします。
- 短果枝には触らない
- 丸い花芽が並んだ短い枝は残します。切り詰めると花芽ごと落ちて、翌年の実が減ります。
一度に切る量は全体の3割までにします。強く切りすぎると翌年に徒長(枝が勢いよく伸び過ぎること)した枝ばかりになり、実がつかない年が続きます。
木の年数で切る量を決める
植えて2年目までは骨格を作る時期で、主枝を3本選び、それ以外を整理します。3年目以降は骨格を維持しながら、実のつく短い枝を増やす切り方に移ります。年数で目的を変えないと、実がつく前に木だけ大きくなります。
| 木の状態 | 剪定の目的 | 切る量の目安 |
|---|---|---|
| 植えて1〜2年の幼木 | 主枝3本の骨格を作る | 主枝の先を3分の1切り詰め、他は整理 |
| 3〜5年で実がつき始めた木 | 短果枝を木全体に散らす | 長い枝を抜き、全体の2割まで |
| 毎年たくさん実がつく成木 | 内側の日当たりを保つ | 混んだ枝の間引きだけ |
| 実が減った老木 | 枝を若返らせる | 古い太枝を1本ずつ数年かけて更新 |
夏の枝整理
6月から7月に伸びる新しい枝のうち、垂直に強く伸びるものは翌年も花がつきません。柔らかいうちに手で折ると、栄養が実と短い枝に回ります。梅雨明け後の強い剪定は日焼けと枯れ込みの原因になるので、夏は軽い整理だけにします。
- 6月に垂直枝を折る
- 収穫前の6月に、幹や太枝から垂直に伸びた20センチほどの若い枝を付け根から手で折ります。横向きの枝は残します。
- 収穫後に内側を空ける
- 7月の収穫後、木の内側で葉が黄ばんでいる細い枝を付け根から切ります。日が当たらない枝は翌年も実をつけません。
切り口の手当てと道具
あんずは梅や桃と同じく、切り口から樹脂が出て枝が枯れ込みやすい木です。直径2センチを超える切り口には必ず癒合剤を塗り、はさみは切れ味の良いものを使って切り口をつぶさないようにします。
- 太い枝は付け根の襟を残す
- 太枝を切るときは、幹に沿ってぴったり切らず、付け根のふくらみ(襟)を残して切ります。襟から組織が広がって切り口をふさぎます。
- 癒合剤をすぐ塗る
- 切ったその日のうちに癒合剤を切り口全体に塗ります。雨の日に切ると病気が入りやすいので、晴れの日に作業します。
- はさみを消毒する
- 病枝を切った後は、はさみの刃を消毒用アルコールで拭いてから次の枝に移ります。こうやく病や胴枯れ病を広げないためです。
切ったあとうまくいかないときの手当て
剪定した翌年に花が極端に減った、切り口から枯れ込んだ、長い枝ばかり伸びるときは、切る時期か量に原因があります。木は数年で立ち直るので、慌てて再度強く切らないことが大切です。
| 症状 | 考えられる原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 翌年の花がほとんどない | 短果枝ごと切り詰めた | 翌年は間引きだけにして短い枝を育てる |
| 切り口から下に枯れ込む | 癒合剤なし、または太枝を真冬に切った | 緑の部分まで切り戻して癒合剤を塗る |
| 垂直の長い枝ばかり出る | 一度に切りすぎた | 夏に垂直枝を折り、冬は軽く間引くだけ |
| 木の内側に実がつかない | 外側の枝が混んで日が入らない | 外側の重なる枝を1本ずつ抜く |
あんずの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
あんずの収穫までのコツは作物ページに
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