水をためる場所を用意する
くわいは田んぼで作られる水生の作物です。育てるには常に水がたまっている場所が要ります。庭に池がなくても、水がもれない容器さえ用意すれば、ベランダでも育てられます。
容器は深さがあるほど水温が安定して失敗しにくくなります。夏に浅い容器の水が湯のようになると、根が傷んで塊茎がふくらみません。土の深さと水の深さを別に考えるのがこつです。
| 容器 | 大きさの目安 | 植えられる株数 |
|---|---|---|
| 左官用のトロ舟 | 幅八十センチ、深さ二十センチ | 三株から四株 |
| 発泡スチロールの箱 | 幅六十センチ、深さ三十センチ | 二株 |
| 水鉢や睡蓮鉢 | 直径四十センチ | 一株 |
| 大型のプランターに袋を敷く | 深さ三十センチ以上 | 一株から二株 |
排水の穴がある容器を使うなら、穴を目張りするか、厚手のポリ袋を内側に敷いて水がもれないようにします。
土は粘り気のあるものを選ぶ
水を張ると軽い土は浮いて濁り、いつまでも澄みません。田んぼの土である荒木田土のように、粘り気があって沈みやすい土が向いています。手に入らないときは、赤玉土の小粒に黒土を混ぜて代用します。
土の深さは十五センチほど確保します。塊茎は地下を横に伸びた枝の先にできるので、浅すぎると育つ場所がなくなり、小さい球ばかりになってしまいます。
- 土を十五センチ入れる
- 容器の底に土を十五センチほど入れます。この上に水をためるので、容器の深さは土と水を合わせて考えます。
- 元肥を混ぜる
- 元肥(植える前に土に混ぜておく肥料)として、緩効性の化成肥料を一株あたり三十グラムほど土全体に混ぜます。
- 水を入れて練る
- 水を少しずつ入れながら、土を手で練って泥の状態にします。しろかきと同じで、練ると水もちがよくなります。
- 一日置いて澄ませる
- 練った翌日まで置くと泥が沈んで水が澄みます。澄んでから植えると、種球の位置を目で確かめられます。
種球を選ぶ
植えるのは前年に採れた塊茎、つまり種球です。年末に出回る食用のくわいをそのまま使うこともできますが、芽が折れていない、しわのない球を選ぶことが条件になります。
品種は、大きく作りやすい青くわい、やや小ぶりで肌の白い白くわい、小型で味の濃い吹田くわいがあります。初めてなら手に入りやすい青くわいが確実です。
| 品種 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 青くわい | 球が大きく作りやすい | 初めて育てる人 |
| 白くわい | 肌が白くやや小ぶり | 煮物の見た目を重んじる人 |
| 吹田くわい | 小型で味が濃い | 少量を深く楽しみたい人 |
植え付けの手順
適期は四月中旬から五月上旬です。水がぬるみ、地温が十五度を超えるころに植えると芽の動きがそろいます。早く植えても水が冷たいうちは芽が伸びず、腐ることさえあります。
この作物でいちばん大事なのは、種球の先についた芽を折らないことです。芽は白く細くもろいので、泥の中に押し込むときに折れやすく、折れると生育がひと月遅れます。
- 芽の向きを確かめる
- 種球の細くとがった側から芽が出ます。この向きを上にして持ち、指で押さえる位置を先に決めておきます。
- 泥に穴をあける
- 指で泥に深さ五センチの穴をあけます。押し込まずに穴へ落とすようにすると、芽に力がかからず折れません。
- 斜めに寝かせて埋める
- 種球を少し斜めに寝かせて置き、芽の先を土の上に少し出したまま泥をかぶせます。芽の先を埋めきらないのがこつです。
- 株間を三十センチとる
- 地下を横に走る枝が伸びるので、株間は三十センチ以上あけます。狭いと球が重なって小さくなります。
植えたあとの水の深さ
植えた直後は水を浅くします。深いと水温が上がりにくく、芽の伸びが鈍るからです。芽が水面に届いて葉が開いたら、少しずつ水を深くしていきます。
水を足すときは、泥を巻き上げないように静かに注ぎます。植えたばかりの種球は泥に固定されていないので、勢いよく水を入れると浮き上がってしまいます。
| 時期 | 水の深さ | ねらい |
|---|---|---|
| 植え付け直後 | 二センチから三センチ | 水温を上げて芽を動かす |
| 葉が開いたころ | 五センチ | 乾きを防ぎ根を張らせる |
| 7月〜9月 | 五センチから十センチ | 水温の上がりすぎを防ぐ |
| 10月以降 | 三センチから五センチ | 球の肥大に合わせて浅くする |
芽が出ないときの見分け
植えてから三週間たっても葉が水面に出ないときは、芽の折れ、水の冷たさ、種球の傷みのどれかを疑います。慌てて掘り返すと、動き始めた根を切ってしまいます。
確かめるのは一株だけにします。全部を掘り返すと、無事だった株まで植え直しになり、そのぶん生育が遅れます。一株を見れば、同じ日に植えた他の株の状態もおおよそ分かります。
- 水温を確かめる
- 手を入れて冷たく感じるうちは動きません。日の当たる場所へ容器を移すか、水を浅くして温まりやすくします。
- 一株だけ掘る
- 泥をそっとよけて種球を見ます。芽が白く伸びていれば無事なので、そのまま埋め戻して待ちます。
- 腐りなら植え直す
- 種球が黒く柔らかくなっていれば腐りです。五月中旬までなら、新しい種球を植え直しても収穫に間に合います。
くわいの植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
くわいの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はくわいの育て方にまとめています。
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