一年の流れをつかむ
四月に植えて十二月に掘る、八か月をかけて育てる作物です。収穫が正月の料理に間に合うように組み立てられていて、日本の食の暦とつながっています。
作業そのものは多くありません。植え付けと収穫、そして夏の水の管理が仕事のほとんどで、手をかける時期がはっきりしているのが特徴です。
| 時期 | 株のようす | 主な作業 |
|---|---|---|
| 4月〜5月 | 芽が動き出す | 容器の準備と種球の植え付け |
| 6月〜8月 | 葉が茂る | 水の管理と追肥 |
| 9月〜10月 | 地下の枝が伸びて球ができる | 水を浅くし肥料を止める |
| 11月〜12月 | 地上部が枯れる | 水を抜いて掘り上げる |
月別のやること
関東平野部を基準にした表です。植え付けは水温で決まるので、寒い地方では二週間ほど遅らせ、暖かい地方では早めても構いません。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 3月 | 容器と土を用意する | 荒木田土など粘り気のある土を集める |
| 4月 | 土を練り、種球を植える | 水温が十五度を超えてから |
| 5月 | 水深を保つ、芽の出方を確かめる | 葉が開いたら水を五センチに |
| 6月 | 水を足す、子株を間引く | 葉が立ち上がってくる |
| 7月 | 一回目の追肥、水を深くする | 水温の上がりすぎに注意 |
| 8月 | 二回目の追肥、毎日水を足す | 肥料はここで打ち止め |
| 9月 | 肥料を止める、枯れ葉を掃除する | 地下の枝が伸び始める |
| 10月 | 水を浅くする | 球がふくらむ時期 |
| 11月 | 地上部が枯れたら水を抜く | 掘り上げの準備 |
| 12月 | 掘り上げと選別、保存 | 凍る前に掘り終える |
| 1月 | 種球を湿らせて保存 | 乾かさないことが第一 |
| 2月 | 泥を干して休ませる | 翌年の準備を始める |
春の段取り
三月から四月は準備の時期です。水を張った容器は重くて動かせないので、置き場所を決めてから作業を始めます。日当たりと、水を足しやすい場所かどうかを両方考えます。
土を練ってから一日置いて澄ませ、それから植えます。この一日を惜しむと、濁った水の中で手探りになり、種球の芽を折りやすくなります。
- 置き場所を決める
- 一日五時間以上日が当たり、水道が近い場所を選びます。水を運ぶ距離が短いほど夏の管理が続きます。
- 土を練る
- 土に水を足しながら練り、泥の状態にします。しろかきと同じ作業で、水もちがよくなります。
- 澄ませてから植える
- 練った翌日、水が澄んでから種球を植えます。芽の位置が見えるので折らずに済みます。
夏が管理の山場
七月から八月は、毎日水面を見る時期です。水が減って泥が顔を出すと、その日のうちに根が傷みます。旅行などで家を空けるときは、深めに水を張ってから出かけます。
追肥(育ちの途中で足す肥料)もこの時期に済ませます。八月を過ぎてから肥料を与えると、葉ばかり茂って球が小さくなるので、時期を守ることが収穫の量を決めます。
この二か月をどう乗り切るかで、その年の出来が決まります。逆に言えば、夏さえ越せばあとは大きな失敗は起きにくい作物です。水を見る習慣をつけることに尽きます。
- 毎朝水を見る
- 朝の水やりのついでに水面を確かめ、減っていれば足します。夕方の見回りより朝のほうが確実です。
- 追肥を二回で終える
- 七月と八月に一回ずつ、株から離した泥に押し込んで与えます。九月以降は与えず、球のふくらみに任せます。
- 留守の前に深くする
- 家を空けるときは水を十センチまで張り、日を遮ります。三日ほどなら持ちこたえます。
秋から冬の仕上げ
九月からは球をふくらませる時期です。することは減りますが、水を浅くする、肥料を止める、枯れ葉を掃除する、という三つを守るかどうかで球の大きさが変わります。
十二月の掘り上げが一年の締めくくりです。掘った球のうち小さいものは翌年の種球になるので、選り分けて別に保存しておきます。
| 時期 | 水の扱い | することとしないこと |
|---|---|---|
| 9月 | 五センチを保つ | 肥料を止める |
| 10月 | 三センチから五センチに下げる | 枯れ葉を掃除する |
| 11月 | 抜き始める | 地上部を切る |
| 12月 | 完全に抜く | 掘り上げて選別する |
掘り上げた球を乾いた場所に置くと、数日で芽がしなびます。湿らせた新聞紙に包んで、凍らない場所に置きます。
作業が遅れたときの立て直し
植え付けが遅れた、追肥を忘れた、掘り上げが遅くなった。それぞれ取り返し方が違うので、どこまでなら間に合うかを知っておくと落ち着いて対処できます。
この作物でいちばん取り返しがつかないのは、夏に水を切らすことです。他のずれは多少調整できますが、干上がった株は元に戻りません。
- 植え遅れは五月まで
- 五月中旬までに植えれば、収穫にはおおむね間に合います。それより遅いと球が小さくなります。
- 追肥忘れは八月まで
- 七月の追肥を忘れたら、八月上旬にまとめて与えます。九月に持ち越すと逆効果になります。
- 掘り遅れは早めに
- 一月まで放っておくと泥が凍って球が傷みます。年が明けたら天気を見て早めに掘り上げます。
くわいの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
くわいの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はくわいの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。