一年を四つの季節に分けて考える
アスパラガスの一年は、春の収穫期、初夏の切り替え、夏から秋の茎葉を育てる期間、そして冬の休みという四つに分かれます。どの季節に何をするかを覚えてしまえば、あとは毎年同じことの繰り返しです。
一番迷いやすいのは、いつ収穫をやめるかという判断です。ここを間違えると翌年に響くので、株の年数に応じた日付をあらかじめ決めておくのが確実です。夏の茎葉が茂る期間を三か月以上とれるかどうかが目安になります。
| 時期 | 株の状態 | この時期の仕事 |
|---|---|---|
| 3〜6月上旬 | 芽が次々に出る | 収穫と春の追肥 |
| 6〜8月 | 茎葉が茂り高くなる | 支柱、敷きわら、病気の予防 |
| 9〜11月 | 葉が保たれ根に蓄える | 草取りと乾かさない管理 |
| 12〜2月 | 地上部が枯れて休む | 刈り取りと堆肥入れ |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を前提にした目安です。寒冷地は全体に二週間から一か月遅れ、暖地は一、二週間早まります。植えて三年目以降の株を想定しています。
| 月 | 作業 | 目安と注意 |
|---|---|---|
| 3月 | 追肥、株の周りの草取り | 芽が出る前に済ませる |
| 4月 | 収穫の始まり | 太さ一センチ以上を切る |
| 5月 | 収穫の最盛期 | 二日に一度は見て回る |
| 6月 | 収穫を打ち切り追肥 | 上旬で終える。以後は伸ばす |
| 7月 | 支柱立て、敷きわら | 倒伏と乾燥を防ぐ |
| 8月 | 追肥、病気の見回り | 茎枯病の斑点を早く見つける |
| 9月 | 草取り、台風対策 | 倒れた茎は切って持ち出す |
| 10月 | そのまま茂らせる | まだ刈らない |
| 11月 | 葉の黄ばみを確かめる | 完全に枯れるまで待つ |
| 12月 | 地際で刈り取り、堆肥 | 刈った茎は畑の外へ |
| 1月 | 休み | 凍結が続く地域は敷きわら |
| 2月 | 土の準備 | 株の周りの土を軽くほぐす |
四月から六月は毎日が収穫
春の芽は暖かい日には一日で十センチ近く伸びます。二日に一度しか見ないと、伸びすぎて穂先が開いた芽が出てしまいます。最盛期は毎日、朝のうちに畑を一回りするつもりでいると失敗が減ります。旅行などで数日空けるときは、留守の前に少し早めに穫っておくと無駄が出ません。
気温が上がるほど伸びが早く、細い芽も増えます。太さ一センチに満たない芽は切らずに残し、そのまま伸ばして葉にしてしまうほうが株のためになります。
- 朝に見て回る
- 気温の低い朝のうちに収穫すると、みずみずしさが保てます。前日の夕方に見て翌朝穫るくらいの回転になります。
- 太いものだけ切る
- 太さ一センチ以上、地上二十五センチほどに伸びた芽を、地際近くで切ります。細い芽は残します。
- 穂先が開いたら諦める
- 先端の鱗片が開いてしまった芽は硬く、食味も落ちます。切らずにそのまま伸ばして葉にします。
六月上旬で打ち切るのが鉄則
まだ芽が出るのに収穫をやめるのは惜しく感じますが、ここが一番大事な判断です。六月中旬以降も穫り続けると、夏の茎葉が育つ時間が足りず、根にためる養分が減って翌年の芽が細くなります。
植えて三年目の株なら二週間ほど、四年目以降でも六月上旬までが目安です。株が大きく茎が太いなら少し延ばしてもかまいませんが、迷ったら早く打ち切るほうが安全です。
| 年数 | 収穫できる期間 | 打ち切る日の目安 |
|---|---|---|
| 3年目 | 2週間ほど | 4月下旬から5月上旬まで |
| 4年目 | 1か月ほど | 5月下旬まで |
| 5年目以降 | 1か月半ほど | 6月上旬まで |
夏から秋は何もしないのが仕事
収穫を打ち切ったあとは、伸びる芽をすべて伸ばして森のような状態にします。見た目には放置しているようですが、この期間に根が来年の分の養分をためています。じゃまに見えても切ったり折ったりしないことが最大の仕事です。
やることは草取り、水切れの確認、そして病気の見回りだけです。黄色い斑点や茶色いくぼみが茎に出ていたら、その茎だけを地際で切って畑の外へ持ち出します。週に一度、株の間を歩いて見上げる時間をとれば十分です。
- 草を抜く
- 株元の草は根が絡んで抜きにくくなる前に取ります。夏の草に養分を取られると芽の数が減ります。
- 病気の茎を抜き取る
- 茶色いくぼんだ斑点のある茎を見つけたら、地際で切って持ち出します。放置すると胞子が広がります。
- 台風のあとに確かめる
- 倒れて折れた茎は病気の入り口になります。折れた茎は切り取り、倒れただけなら起こして支え直します。
地域による時期のずれ
関東を基準にすると、東北や北海道では収穫の始まりが五月にずれ込み、そのぶん秋の刈り取りも早まります。同じ苗でも植えた土地の気温で一か月近くずれるので、近所の畑の様子を見て合わせるのが確実です。九州や四国の暖地では三月下旬から芽が出始めます。土の温度が十度を超えると芽が動き出すと覚えておくと、住んでいる場所に合わせやすくなります。
| 地域 | 収穫の始まり | 刈り取りの目安 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 5月上旬〜中旬 | 10月下旬〜11月 |
| 関東平野部 | 4月上旬〜中旬 | 11月下旬〜12月 |
| 暖地 | 3月下旬〜4月上旬 | 12月〜1月 |
時期を外したときの戻し方
旅行や天候で作業が遅れることは珍しくありません。アスパラガスは多年草なので、一度の遅れで枯れることはまずありませんが、遅れた作業ごとに取り返し方が違います。慌てて全部やり直さず、優先順位をつけて手を打ちます。
- 収穫を延ばしすぎた
- 六月中旬を越えて穫っていたと気づいたら、その日で打ち切ります。残りの芽をすべて伸ばせば、半分ほどは取り返せます。
- 追肥を忘れた
- 春の追肥(育ちの途中で足す肥料)を忘れたら気づいた時点で与えます。夏を過ぎての遅い肥料は葉ばかり伸びるので、量を半分にします。
- 刈り取りが遅れた
- 冬に刈り忘れて春を迎えたら、芽が出る前に急いで刈って持ち出します。芽が出てからでは踏み荒らします。
- 支柱が間に合わなかった
- 茎が倒れてしまったら、折れていない茎は起こしてひもで囲います。折れた茎は地際で切って持ち出します。
アスパラガスの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
アスパラガスの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はアスパラガスの育て方にまとめています。
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