一年の流れ
バナナは苗から実まで、暖かい地域なら一年半、関東の鉢植えでは二年から三年かかります。年ごとの目標を「一年目は株を大きくする」「二年目に開花」「三年目に収穫」と分けておくと、その年にやるべきことが見えます。
月別の表は関東平野部の鉢植えを前提にしています。暖地なら一か月ほど早く動き、寒冷地では屋外に出せる期間が二か月ほど短くなります。自分の地域の最低気温に合わせて前後にずらしてください。
| 月 | 作業 | 順調な株の姿 |
|---|---|---|
| 1〜2月 | 室内で最小限の水やり、葉の霧吹き | 葉が数枚残り、株元が固い |
| 3月 | 室内のまま。日当たりの良い場所へ移す | 芯の新葉がわずかに動き始める |
| 4月 | 植え替えの準備、土と鉢を用意 | 新葉が一枚展開する |
| 5月 | 植え替え、屋外へ慣らす。植え付け適期 | 新葉が二週間に一枚出る |
| 6月 | 追肥開始、水やりを増やす | 新葉が週に一枚出る |
| 7〜8月 | 朝夕の水やり、月一回の置き肥と隔週の液肥 | 新葉が四日から五日に一枚、株が急に太る |
| 9月 | 子株の整理、開花した株は花房の手入れ | 葉が二十枚を超えていれば翌年に開花の可能性 |
| 10月 | 追肥を止め、水を減らす。取り込みの準備 | 新葉の間隔が二週間以上に開く |
| 11月 | 室内へ取り込む。屋外は幹を切って保護 | 葉を減らした状態で室内に収まる |
| 12月 | 水は月二回。暖房の風を避ける | 下葉が黄ばむが芯は固い |
春 四月から五月
春は一年の準備期間です。室内で冬を越した株は根が傷んでいることが多く、植え替えで根を整理し、新しい土に替えると夏の伸びが違います。外に出す時期は最低気温で判断し、四月中に出すのは避けます。
- 植え替え
- 鉢から抜き、黒く傷んだ根と古い土を三分の一落として、一回り大きな鉢に新しい土で植えます。株元の子株はこのとき分けられます。
- 外に慣らす
- 五月の連休明けから、午前だけ屋外に出す日を一週間続けてから終日屋外にします。急に直射日光に当てると冬の葉が焼けるので、慣らしを省かないでください。
- 最初の追肥
- 新葉が一枚展開したのを確かめてから、緩効性肥料を鉢の縁に置きます。動く前に与えると弱った根を傷めるので、葉の動きを待つのが順番です。
夏 六月から九月
夏は葉を増やす一本勝負の季節です。水と肥料を切らさず、風で倒れないよう支柱を添えます。二年目以降の大株なら、八月から九月に芯から花房が垂れ下がることがあります。花房が出たら、下のほうの実にならない花(雄花のつぼみ)を切り落として養分を実に回します。
追肥(育ちの途中で足す肥料)は夏に集中させます。九月までにどれだけ葉を出せるかで翌年が決まるので、この期間だけは手を抜かないでください。
- 水やりは朝夕
- 七月から八月は朝と夕方の二回、鉢底から流れるまで与えます。鉢皿に水をためると根が腐るので必ず捨てます。
- 肥料を切らさない
- 月初めに置き肥、二週おきに液肥。葉の縁が黄色くなったらカリウム不足なので液肥の回数を増やします。
- 台風に備える
- 強風の予報が出たら鉢を壁際に寄せ、葉が裂けても気にしません。大鉢が倒れないよう幹を支柱にゆるく結びます。
- 花房の手入れ
- 花房が出て実の段(房)が五段から八段そろったら、先端の雄花のつぼみを切ります。残った実が太くなります。
秋 十月から十一月
秋は取り込みの準備期間です。追肥を止めて水を減らし、株を締めて寒さに備えさせます。最低気温が十度を切る前に室内へ入れることが、この季節の一番大事な作業です。取り込み前の害虫チェックも忘れないでください。
- 追肥を止める
- 十月上旬に置き肥を止め、液肥もやめます。土に残った肥料分が冬の根腐れの原因になります。
- 水を減らす
- 新葉の出る間隔が二週間を超えたら、水やりを二日から三日に一回に減らして株を締めます。
- 取り込みの準備
- 外側の葉を減らし、葉裏と株元を洗って虫を落としてから、最低気温が十度を切る前に室内へ入れます。
十一月に入って取り込みが遅れそうなら、まず夜だけ室内に入れる方法もあります。昼は外、夜は中と往復させると、慣らしを兼ねられます。
その月にやり損ねたときの立て直し
作業が遅れても、多くは翌月に取り戻せます。取り戻せないのは秋の取り込みだけで、霜に当ててしまった株は地上部を切って株元を守り、翌春の再生に賭けます。ほかの作業は表の要領で立て直します。
| やり損ねたこと | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 春の植え替え | 夏に根詰まりで葉の展開が遅れる | 六月までなら植え替えて構わない。七月以降は鉢増しだけにする |
| 夏の追肥 | 葉が小さく黄色くなる | 液肥を週一回に増やし、九月までに回復させる |
| 子株の整理 | 親株が痩せて開花が遅れる | 気づいた時点で切る。夏なら切った子株は挿して増やせる |
| 秋の取り込み | 霜で葉が枯れる | 地上部を切り戻して株元を覆い、翌春の芽を待つ |
バナナの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
バナナの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はバナナの育て方にまとめています。
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