品種で育て方が決まる
バナナは熱帯の草で、木ではありません。日本で流通する苗は大きく分けて、実を採るための食用品種と、姿を楽しむ観賞用品種があります。関東で実まで育てたいなら、背が低くて寒さにやや強い矮性の食用品種を選びます。
背の高い品種は三メートルを超え、室内に取り込めません。鉢で管理できる高さかどうかを先に確かめてから買うと、冬に困りません。
| タイプ | 高さの目安 | 向く育て方 |
|---|---|---|
| 矮性の食用品種(三尺バナナなど) | 1.5〜2.5メートル | 大鉢で育て冬は室内へ。関東で実を狙える |
| 耐寒性の強い品種(アイスクリームバナナなど) | 2〜4メートル | 暖地の地植え向き。関東では鉢で株を小さく保つ |
| 観賞用の品種(アカバナナ、斑入りなど) | 1〜3メートル | 葉を楽しむ。実は期待しない |
| バショウ(芭蕉) | 3〜4メートル | 関東で地植え越冬できるが実は食べられない |
バショウはバナナに似ていますが別の植物です。「露地で冬越しできる」と書かれた苗は、バショウのことが多いので確かめてください。
よい苗の見分け方
苗は春から初夏にかけて園芸店や通販に並びます。買うのは、葉が三枚以上あって芯の新葉がしっかり巻いて立ち上がっている株です。葉の縁が茶色く枯れ込んでいる株や、株元がぶよぶよしている株は根が傷んでいることが多く、植えてもなかなか動きません。
- 芯の新葉を見る
- 株の中心から次の葉が筒状に伸びていれば生きて動いている証拠です。新葉が止まって芯が黒ずんでいる株は避けます。
- 株元を触って確かめる
- 株元を軽く押して固ければ健全です。柔らかく水っぽいときは根腐れや芯腐れの疑いがあり、植えても回復しにくいものです。
- 根鉢を見る
- 鉢から抜けるなら底を見て、白い太い根が回っている苗を選びます。根が茶色で少ない苗は活着に時間がかかります。
- 買う時期を選ぶ
- 五月から六月に入荷した苗がいちばん状態がよく、植えてすぐ動きます。秋に売れ残った苗は安くても冬越しから始めることになり、初心者には難しくなります。
植え付けは五月以降の暖かい時期に
バナナが動き出すのは気温が二十度を超えてからです。関東平野部では五月中旬から六月が植え付けの適期で、四月に植えても寒さで根が動かず、かえって株が弱ります。夏の間にできるだけ大きく育てて、冬に備える体力を蓄えさせる考え方です。
鉢はいきなり大きすぎるものにせず、苗の大きさに合わせて段階的に上げます。ただしバナナは根の量がとても多いので、野菜や草花より一回り大きめを選びます。
- 鉢の大きさを決める
- 苗のときは八号から十号、二年目には十二号から十五号、実を狙う年には四十リットル以上の大型鉢や不織布ポットに替えます。
- 土を配合する
- 赤玉土六、腐葉土三、堆肥一の割合に、緩効性の肥料を混ぜます。水はけと水持ちを両立させ、鉢底には軽石を三センチ敷きます。
- 根鉢を崩さず植える
- 根鉢は崩さず、元の土の面が鉢の縁から三センチ下に来る深さで植えます。植えたらたっぷり水を与え、一週間は直射日光を避けて明るい日陰に置きます。
- 日当たりへ移す
- 新葉が動き始めたら一日六時間以上日の当たる場所に移します。風の強い場所は葉が裂けるので、壁際や生垣の風下が向きます。
地植えに挑戦するときの条件
関東平野部でも、南向きで建物に守られた場所なら、耐寒性のある品種を地植えできることがあります。ただし地上部は霜で枯れ、翌春に株元から芽が出るのを待つ育て方になります。実まで到達するには二年続けて地上部を残す必要があるため、地植えで結実させるのは上級者向けです。
| 地域 | 地植えの可否 | 冬の扱い |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 不可 | 鉢で室内に取り込む以外に方法がない |
| 関東平野部 | 耐寒性品種のみ試せる | 株元を厚く覆い、地上部は枯れる前提 |
| 暖地・沿岸部 | 可能 | 幹を保温すれば地上部を残せる年がある |
| 沖縄・小笠原 | 普通に育つ | 特別な防寒は不要 |
地植えは一度根付くと株が広がり、掘り上げるのが大変です。試すなら移動できる大鉢から始めるのが安全です。
植えてから動かないときの切り分け
植え付け後三週間たっても新葉が出ないときは、原因はほぼ温度か水のどちらかです。葉の姿を見て、どちらかを判断します。慌てて肥料を足すのは逆効果で、根が傷んでいるところに肥料が触れて枯れ込みが進みます。
植え付け直後の一か月は、株を動かさず環境を一定に保つのがいちばんの手当てです。あちこち置き場所を変えると根が落ち着かず、かえって遅れます。夜間の冷え込みだけ気をつけて、あとは待ってください。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 新葉が出ず葉の色は濃い | 気温が足りない | そのまま待つ。夜間十五度を切るなら室内へ |
| 葉の縁が乾いて巻く | 水切れか風 | 鉢土が乾く前に水を与え、風を避ける場所へ |
| 下葉から黄色くなる | 水のやりすぎで根が傷んだ | 水を控え、鉢を日なたに置いて土を乾かす |
| 芯が黒く溶ける | 低温期の芯腐れ | 溶けた部分を取り除き、乾かして脇芽の発生を待つ |
バナナの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
バナナの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はバナナの育て方にまとめています。
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