開花から収穫までの道のり
株が三十枚前後の葉を出すと、芯から紫色の大きなつぼみ(花苞)が垂れ下がります。開くたびに一段ずつ小さな実(バナナの指)が現れ、これを数段から十段そろえたところで実に育ちます。開花から収穫までは暖かい地域で三か月から四か月、関東では気温が下がるため半年近くかかることがあります。
関東で難しいのは、八月から九月に開花した房が冬を越さないと太らない点です。開花した株は、房ごと室内に取り込める大きさであることが結実の条件になります。
| 時期 | 株の姿 | すること |
|---|---|---|
| 開花初期 | 紫のつぼみが垂れ、上から一段ずつ開く | そのまま。水と肥料を切らさない |
| 開花後2〜3週 | 実の段が五段から八段そろう | 先端の雄花のつぼみを切り落とす |
| 肥大期 | 実が上を向いて太り始める | 房が重くなるので幹に支柱を添える |
| 収穫期 | 実の角ばりが取れて丸くなる | 青いまま房ごと切る |
収穫の見極めは実の角と色
バナナは木の上で完熟させると割れたり落ちたりして味も落ちます。収穫の目安は実の断面の角が取れて丸みを帯び、色が濃い緑からやや薄い緑に変わったころです。一本試しに切って、中が白く粘りがあれば房全体を収穫します。
関東の鉢植えでは、一房の段数が五段から七段、一段に十本前後というのが現実的な収穫量です。市販のバナナより短くて太い実になりますが、これで十分な成果です。
- 角の丸みを触って確かめる
- 実を指でなぞって、稜線がはっきり角ばっていればまだ早く、丸みを帯びていれば収穫期です。上の段から丸くなります。
- 房ごと切る
- 房の付け根の茎を鋸かよく切れる包丁で切ります。房は重いので、下から支えてもらうか、落ちても割れないよう布を敷きます。
- 親株を切り倒す
- 実をつけた株は二度と実をつけません。収穫後は地際で切り倒し、残した子株に養分を回します。切った幹は細かく刻んで堆肥にします。
- 寒くなる前に切る判断
- 霜が来る前に実が丸くならないときは、多少角ばっていても切って追熟を試します。冷えた実は追熟しにくくなります。
切り口から出る樹液は衣類に付くと落ちません。汚れてもよい服と手袋で作業してください。
室内で追熟させる
収穫した青いバナナは、二十度前後の室内に吊るすか新聞紙で包んで置きます。数日から二週間で黄色くなり、皮に茶色の点(シュガースポット)が出たら食べごろです。リンゴと一緒に袋に入れると、リンゴが出すエチレンで追熟が早まります。
追熟中は直射日光に当てないでください。窓辺に置くと皮だけ先に黒くなり、中が固いまま傷みます。台所の棚の上など、二十度前後で暗めの場所が向きます。
| 状態 | 皮の見た目 | 扱い |
|---|---|---|
| 収穫直後 | 濃い緑で固い | 常温で吊るす。冷蔵庫に入れない |
| 追熟中 | 先端から黄色に変わる | リンゴと同じ袋に入れると早まる |
| 食べごろ | 全体が黄色で茶色の点が出る | 房から一本ずつもぎ取って食べる |
| 熟しすぎ | 皮が茶色く柔らかい | 皮をむいて冷凍し、ジュースや焼き菓子に |
十三度以下に置くと追熟が止まり、皮が黒くなって二度と黄色くなりません。冬の玄関や北側の部屋は避けます。
自家製バナナの味と保存
家庭で育てたバナナは市販品より小ぶりで、品種によっては酸味があったり、ねっとりと濃い甘さがあったりします。一房が一度に食べごろになるので、食べきれない分は皮をむいて冷凍します。三尺バナナなどの矮性品種は房が十キロ近くになることもあり、近所に配るのも楽しみの一つです。
- 一本ずつ取る
- 房のまま置くと熟しすぎが進みます。黄色くなった順に一本ずつ取って食べ、残りは新聞紙で包んで涼しい場所に置きます。
- 冷凍で保存する
- 皮をむいて一本ずつラップで包み冷凍します。一か月は保ち、半解凍で食べると濃い甘さになります。
- 未熟な実の使い道
- 黄色くならなかった実は、青いまま皮をむいて煮ると芋のような食感で食べられます。加熱調理に向きます。
実がつかない・落ちるときの切り分け
関東でバナナに実がつかない原因のほとんどは、開花まで葉の枚数が足りないことと、開花後に寒さで肥大が止まることです。品種の問題であることも多く、観賞用の品種は何年育てても食べられる実にはなりません。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 何年たっても花が来ない | 葉の枚数不足か観賞用の品種 | 夏に週一枚の葉を出せているか確かめ、品種名を調べ直す |
| 花は咲くが実が太らない | 開花が遅く寒さで止まった | 株ごと室内に入れて十五度以上を保つ。翌年は開花を早める |
| 実の途中で房が落ちる | 水切れか幹の折れ | 肥大期は水を切らさず、房の重みを支柱で受ける |
| 実が小さく数段しかない | 株の体力不足 | 子株を減らし、翌年は追肥と鉢の大きさを見直す |
開花した株を室内に入れられないときは、房を切り取って追熟を試すより、株の体力を子株に回すほうが翌年につながります。
バナナの収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
バナナの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はバナナの育て方にまとめています。
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