症状から原因を切り分ける
パプリカで起きる不調は、大きく病気、虫、生理障害の三つに分かれます。実の先が黒くへこむ尻腐れと、側面が白くなる日焼けはどちらも病気ではありません。薬をまいても直らないので、まず何が起きているかを見分けてください。
| 症状 | 疑うもの | 最初にすること |
|---|---|---|
| 実の先が黒くへこむ | 尻腐れ(生理障害) | 水切れを直す。その実は取り除く |
| 実の側面が白く硬い | 日焼け(生理障害) | 葉を残し、日ざしをやわらげる |
| 実に穴があり中が空 | タバコガの幼虫 | その実を取って畑の外で処分する |
| 新芽が縮れて硬い | チャノホコリダニ | 先端を切って処分し、葉裏に水をかける |
| 晴れた日に急にしおれる | 青枯病 | 株ごと抜いて処分。土を使い回さない |
尻腐れの原因と手当て
実の先端が黒く水っぽくへこむ尻腐れは、パプリカで最も多い障害です。カルシウムが実の先まで届かないことが原因で、その主な引き金は水切れです。石灰を入れているのに出るのは、水が動いていないためです。
一度出た実は元に戻りません。惜しまず取り除き、残りの実を守ることに切り替えてください。同時に水やりの間隔を詰め、敷き藁で土の乾きをゆるめると新しい実には出なくなります。
- その実を取る
- 黒くなった実は戻らないので取り除きます。残しておくと養分を使い、腐って虫を呼びます。
- 水の間隔を詰める
- 乾湿の差を小さくします。少量を毎日ではなく、乾いたらたっぷりを一定の間隔で続けます。
- 敷き藁を厚くする
- 株元に藁を五センチほど敷きます。土の乾きがゆるみ、水切れの起きる幅が小さくなります。
- 肥料を見直す
- 窒素分の多い肥料を続けるとカルシウムの吸収が妨げられます。追肥(育ちの途中で足す肥料)はバランスの取れたものに替えます。
日焼け果と実の障害
実の日の当たる側が白っぽく硬くなり、へこんで乾いた状態になるのが日焼けです。パプリカは色づくまで長く株についているぶん、日にさらされる時間も長く、ピーマンより日焼けが出やすくなります。
原因は葉の切りすぎがほとんどです。枝の整理のときに外側の葉まで落とすと、実を守る日陰がなくなります。夏の整枝では葉を残すことを意識してください。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 日の当たる面が白く硬い | 直射日光による日焼け | 葉を残す。寒冷紗で日ざしをやわらげる |
| 実が小さいまま色づく | 肥料切れか株の疲れ | 実の数を減らし、肥料を足す |
| 実の表面にかさぶた | 虫の食べ跡か擦れ | 食べられる。枝と実が擦れないよう誘引する |
| 色づきが極端に遅い | 気温が低い | 10月以降は青採りに切り替える |
タバコガとホコリダニ
実に小さな穴が開き、割ると中が食い荒らされているならタバコガの幼虫です。中に入ってからでは薬が届かないので、穴のある実を早く取り除いて、次の実への移動を止めることが最大の対策になります。
夏に新芽が縮れて硬くなるのはチャノホコリダニです。目に見えないほど小さく、葉裏が油を塗ったように光るのが特徴です。病気と間違えて放置すると株の先端が伸びなくなります。
- 穴のある実を取る
- 穴が開いた実は中に幼虫がいます。見つけしだい取って畑の外で処分し、次の実へ移るのを止めます。
- 葉裏の光り方を見る
- 新芽の裏がつやつやと光り、縮れて内側に巻いているならホコリダニです。虫の姿は肉眼では見えません。
- 先端を切って処分
- 縮れた先端から下三節ほどを切り、畑の外に出します。その場に置くとほかの株に移ります。
- 葉裏に水をかける
- 夕方に葉裏へ勢いよく水をかけます。乾燥を好む虫なので、数日続けるだけで数が減ります。
青枯病と疫病
晴れた日の昼に急にしおれ、夕方に一度戻り、数日で枯れるなら青枯病です。土の中の細菌が原因で、薬では治りません。見つけたら株ごと抜いて処分し、その場所には数年ナス科を植えないでください。
疫病は雨が続いたあとに茎や実が黒く腐る病気です。泥はねで広がるため、敷き藁とマルチで土を跳ねさせないことがいちばん効きます。畝を高くして水を溜めないことも同じくらい大切です。
- しおれ方を見る
- 葉が緑のまましおれるなら青枯病、黄色くなってから枯れるなら根の傷みか肥料の問題です。
- 疑わしい株を抜く
- 青枯病が疑われたら惜しまず抜きます。残すと土の中の根を通じて隣の株に移り、被害が広がります。
- 土を覆う
- 敷き藁かマルチで株元を覆います。雨の泥はねを防ぐことが、菌を葉や実へ持ち上げる経路を断ちます。
- 接ぎ木苗にする
- 何年も同じ場所で作るなら翌年は接ぎ木苗を選びます。土の病気に対する備えとして確実です。
薬に頼る前にできること
パプリカの不調は、水の安定と風通し、そして実のつけすぎを避けることでほとんど減らせます。とくに尻腐れと日焼けは薬では直らないので、水と葉の管理でしか防げません。
薬を使うときは収穫前日数と使用回数の制限を必ず確かめます。色づきを待つあいだも実は株についているので、散布の時期は慎重に選んでください。
- 水を一定に保つ
- 敷き藁と定期的な水やりで乾湿の差を小さくします。これだけで尻腐れの大半が防げます。
- 葉を残す
- 枝を整理するときも外側の葉は残します。実を守る日陰がなくなると日焼けが増えます。
- 実を抱えさせない
- 同時に育てる実の数を絞ります。株が疲れると病気にも虫にも弱くなり、後半の収穫まで続きません。
パプリカの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はパプリカの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。