警戒するのは秋と春の二山
ソラマメにつくアブラムシの発生は、9月下旬から11月上旬と、3月中旬から6月中旬の年2回に山があります。冬は目立たないので、この二つの時期に見回りを集中させます。
怖いのは吸汁そのものより、アブラムシが媒介するウイルス病です。秋の幼苗期に感染すると株が萎縮したまま冬を越し、春に伸びず、収穫がほぼなくなります。
| 時期 | 警戒するもの | 先に打つ手 |
|---|---|---|
| 9月下旬〜11月上旬 | 飛来とウイルス媒介 | 銀色マルチと防虫ネット |
| 12月〜2月 | ほぼ静か | 見回りは月に数回 |
| 3月中旬〜5月 | 新芽での急増 | 摘心と枝の間引き |
| 5月〜6月 | さや周りの汚れ | 収穫を遅らせない |
秋の対策は苗が小さいうちほど効きます。発芽してから資材を用意するのでは間に合いません。
飛来を減らす設計
- 銀色マルチを先に敷く
- 光を反射する銀色のマルチはアブラムシの飛来を妨げます。飛来が始まる前、種まきや定植の時点で敷いておくのが条件です。
- 目の細かいネットで覆う
- 1ミリ目の防虫ネットをべたがけかトンネルで。幼苗期の秋に覆っておくと、ウイルス病の感染そのものを減らせます。
- 黄色の粘着トラップを吊る
- アブラムシは黄色に集まります。畝の端に数枚吊るすと、駆除というより発生の早期発見に役立ちます。
- 周囲の雑草を絶やす
- 畑の縁に残る越冬雑草が発生源になります。秋のうちに刈っておくと、春の増え方が明らかに穏やかになります。
ネットは開花期には外します。ソラマメは訪花昆虫が来たほうが着莢が安定するためです。
摘心と整枝が防除になる
アブラムシは柔らかい新芽の先端に集中します。摘心(先端を摘んで枝数を増やすこと)はそこを物理的に取り除く作業でもあり、実を太らせる目的と防除の目的が一つの作業で重なります。
だから薬剤を先に考えるより、作業の順番を整えるほうが効きます。整枝(枝の数と向きを整えること)で風を通し、摘心で新芽ごと持ち出し、追肥(育てている途中で足す肥料)を絞る。この三つで春の発生量は目に見えて変わります。
- 摘んだ先端は持ち出す
- 切った芽を畝に落とすとそこから歩いて戻ります。袋に入れて畑の外へ出すまでが作業です。
- 枝を絞って風を通す
- 分枝を6〜7本に整理すると株の内側に風と光が入り、増殖の速度が落ちます。密植の株ほど被害が重くなります。
- 窒素を効かせすぎない
- 軟弱に茂った株はアブラムシを呼びます。追肥は2月下旬と3月下旬の2回にとどめ、それ以上は足しません。
発生初期なら、手袋をした指でしごき落とすだけでも増加を止められます。数が少ないうちに動きます。
ウイルス病は治せないので予防する
葉がモザイク状にまだらになる、株全体が萎縮する、新芽がねじれるといった症状はウイルス病です。薬剤でも回復せず、媒介するアブラムシを近づけない以外に手がありません。
感染しやすいのは秋の幼苗期です。小さい株ほど症状が全身に回り、そのまま冬を越して春に伸びない株になります。春に気づいたときには、原因は半年前にあります。
- 見つけたら抜く
- 症状の出た株は早めに抜き取り、畑の外へ出します。残しても収穫にならず、次の株への感染源になります。
- 抜いた後は手を洗う
- 作業した手やはさみを介して広がることがあります。健全な株を触る前に手とはさみを洗います。
- 秋の被覆に戻る
- 同じ症状が毎年出るなら、原因は春でなく秋の幼苗期です。翌作は種まき直後からの被覆を徹底します。
ウイルス病と肥料切れは見分けにくいものです。葉脈間だけが薄い黄色なら肥料切れの可能性が高いです。
春に出る病気
| 症状 | 考えられるもの | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 葉に赤褐色の小さな斑点 | 赤色斑点病 | 傷んだ葉を除き風通しを確保 |
| 株元が褐色に腐り萎れる | 立枯性の病害 | 抜き取り、連作を避ける |
| 葉の裏に白いかび | べと病の類 | 密植をやめ、朝の過湿を避ける |
| さやに黒い斑 | 収穫遅れや傷み | 早めに収穫して持ち出す |
春の病気の多くは、冬に傷んだ茎葉が起点になります。3月の整枝で古い葉を落とすのが最良の予防です。
見回りの頻度を決めておく
- 秋は週に2回、新芽を見る
- 本葉が出てから11月上旬まで、新芽の先と葉裏を見ます。1株でも見つけたら、その日のうちに周囲全体を確認します。
- 冬は月に2〜3回でよい
- 低温期は増えません。この時期は虫より、霜柱で株が浮いていないか、覆いが飛んでいないかを見ます。
- 春は週に2回、枝先を見る
- 3月中旬から収穫まで、伸びた枝の先端を重点的に見ます。ここで見落とすと、1週間で株全体に回って手がつけられなくなります。
- 葉の裏とさやの付け根
- アブラムシは葉の表より裏、そしてさやの付け根に潜みます。上から眺めるだけでは見つからないので、枝を起こして裏側を確認します。
見た日と株の様子を記録に残すと、翌年の防除を「いつから始めるか」で組み立て直せます。
虫や病気を疑う前に原因を切り分ける
葉の色がおかしい、株が伸びないという不調が、すべて虫や病気とはかぎりません。ソラマメでは肥料切れ、凍害、過湿が似た見た目になります。手を打つ前に、いま何が起きているのかを切り分けます。
- まず葉の裏を見る
- 不調に気づいたら、上から眺めるのをやめて葉を裏返します。虫が見当たらなければ、原因は環境か肥料の側にあると判断できます。
- 株元を指で確かめる
- 地際を指で押し、硬く締まっていれば根は生きています。ぶよぶよと柔らかいときは、虫ではなく凍害か過湿が原因です。
- 直近の作業を振り返る
- 追肥をした直後なら肥料のやりすぎ、寒波の後なら凍害と、原因は日付から絞れます。作業した日と症状が出た日を並べて見ます。
- 戻せる範囲を決める
- 新芽が動いていれば戻せます。生きた分枝が三本以上残っているかを目安にし、足りない株は抜いて畝を空けるほうが確実です。
| 症状 | まず疑うこと | 手当て |
|---|---|---|
| 新芽が縮れてべたつく | アブラムシの発生 | 葉裏を見て、指でしごき落とす |
| 葉がまだらに黄ばむ | ウイルス病か肥料切れ | 葉脈間だけ薄いなら追肥で様子を見る |
| 株元が黒ずんで倒れる | 冬の凍害と過湿 | 地際を押して硬さを確かめ、柔らかければ抜く |
| さやが落ちる | 受粉不足か乾燥 | 水を切らさず、開花期はネットを外す |
一株で判断せず、畝の中で同じ症状が何株に出ているかを数えます。全体に出ていれば環境、点々と出ていれば病害です。
ソラマメの収穫までのコツは作物ページに
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