収穫の目安は肩の直径と日数
にんじんは地上から根の全体が見えないので、判断材料は土から出ている肩の直径と、まいてからの日数の二つです。肩が4〜5センチになっていれば、五寸系ならほぼ規格の太さに達しています。根の先まで太っているかどうかは、掘ってみるまで分かりません。
日数だけで決めないのは、夏の高温や秋の低温で生育が前後するからです。逆に日数を無視すると、太って見えても実は先が細いまま、ということが起きます。二つを突き合わせて、最後は試し抜きで確かめます。
| 品種の系統 | 根の長さ | 播種後日数 | 肩の直径 |
|---|---|---|---|
| 五寸系(夏まき) | 15〜20センチ | 110〜130日 | 4〜5センチ |
| 五寸系(春まき) | 15〜20センチ | 100〜120日 | 4〜5センチ |
| 三寸系 | 10センチ前後 | 80〜100日 | 3〜4センチ |
品種によって幅があるので、種袋に書かれた収穫までの日数があればそちらを優先します。肩の直径は共通の物差しとして使えます。
試し抜きで確かめる
全部まとめて抜く前に、必ず一本抜いて確かめます。肩は太いのに先が細い、途中で又根になっている、といったことは掘らないと分かりません。1本の情報でその畝全体の予定が決まります。
- 畝の真ん中から抜く
- 端の株は条件が違うので、畝の中ほどにある平均的な太さの株を選びます。いちばん大きい株を抜くと畝全体を過大評価して、細い株まで一緒に抜いてしまいます。
- 先端の形を見る
- 先端が丸く詰まっていれば太り切った証拠です。細く尖ったままなら、あと1〜2週間置くと下まで肥大してきます。同じ肩の太さでも先の形で判断が変わります。
- 割って中を見る
- 縦に割って芯が太く白っぽいなら、まだ若いか肥料が効きすぎです。全体が濃い橙色でそろっていれば食べごろです。
- 予定を決める
- 太っていればその週から順次収穫、細ければ2週間後に再点検と決めます。収穫は一度に全部ではなく、必要な分ずつ抜くのが基本です。
試し抜きの結果は播種日とあわせて記録しておくと、翌年の同じ品種で試し抜きの時期を迷わなくなります。
抜き方と抜けないときの対処
土が乾いて締まっていると、葉だけがちぎれて根が残ります。前日に軽くかん水しておくか、抜けにくい株はスコップを離れた位置に差して土をゆるめてから引きます。
- 葉の根元をまとめて持つ
- 葉先を持つとちぎれます。地際に近い葉柄をまとめて握り、まっすぐ上へ引き抜きます。
- ゆすってから引く
- 軽く前後にゆすって根の周りの土をゆるめてから引き上げると、途中で折れにくくなります。太い株ほど一気に引かないほうが確実です。
- 折れたら掘り出す
- 根が土中で折れたら放置せず、移植ごてで周りを掘って取り出します。残したままにすると土の中で腐り、次作の病気や線虫の温床になります。
- 収穫後すぐ葉を切る
- 葉を付けたままにすると根の水分と養分が葉に吸われ、数日でしなびます。畑で葉を落として持ち帰ります。
切り落とした葉は柔らかいうちなら食べられます。時間がたつと硬くなるので、使うなら収穫したその日のうちに調理します。
遅れるとどうなるか
収穫が遅れた根は、外皮が硬くなったところに雨が来て縦に割れます。割れた根は貯蔵がきかず、切り口から腐ります。さらに置くと芯が硬くなり、すが入って食感が落ちます。
春まきでは遅れの代償が大きく、梅雨に入ると一晩で割れます。冬どりでは寒さで生育が止まるためしばらく持ちますが、春になって暖かくなるととうが立ち、芯が木質化(茎が硬い木のようになること)して食べられなくなります。
畑に置いておける期間は季節で全く違います。春まきは太ったら即収穫、冬どりは2月までに抜き終える、と覚えてください。
冬どりは畑が最良の貯蔵庫
秋冬どりのにんじんは、抜かずに畑に置いたまま必要な分だけ収穫するのがいちばん鮮度が保てます。低温の土の中は湿度が高く温度も安定していて、家庭の冷蔵庫より条件が良いためです。ただし凍結する地域では傷むので掘り上げます。
土の中に置いた根は寒さにあうほど甘くなります。でんぷんを糖に変えて凍結を防ぐためで、冬どりのにんじんが甘いのはこの働きによるものです。急いで全部抜かず、必要な分だけ掘るほうが味の面でも得です。
- 葉を刈って土をかける
- 霜が降りる前に葉を地際で刈り、根の上に土を10センチ以上かぶせます。肩が凍ると溶けたときに黒く傷むので、露出させないことが要点です。
- わらやもみ殻で覆う
- 土の上にさらにわらを敷くと保温になります。場所が分からなくなるので端に目印の棒を立てておきます。
- 寒冷地は掘り上げる
- 土が凍る地域では年内に全部抜き、葉を落として湿った砂やもみ殻とともに箱に入れ、凍らない場所に置きます。
- 春の前に抜き終える
- 気温が上がるととうが立ち始めます。2月までに掘り上げて、残りは冷蔵か加工にまわします。
収穫後の保存
にんじんは水気と乾燥の両方に弱く、濡れたままだと腐り、裸のまま置くとしなびます。泥は軽く払う程度にとどめて乾かしてから包むのが基本で、洗ったものは傷みが早いので先に使い切ります。冷蔵では畑で立っていたときと同じ向きに立てて置くほうが日持ちします。
| 方法 | 下ごしらえ | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 冷蔵(丸ごと) | 泥を落として乾かし、紙で包んで袋へ立てる | 2週間ほど |
| 冷暗所(冬) | 葉を切り、新聞紙で包んで5〜10℃の場所へ | 1週間前後 |
| 土中・砂中 | 葉を落とし、湿らせた砂やもみ殻に埋める | 1〜3か月 |
| 冷凍 | 切るか下ゆでして小分けし密閉 | 1か月ほど |
収穫した日に葉を切っておくのが最大のコツです。葉を付けたまま一日置くだけで、根の水分が抜けて張りがなくなります。
にんじんの収穫に使うもの
穫るときより、穫ったあとに困ります。入れるものと、しまうものを先に用意しておきます。
- 収穫ばさみ探す言葉「収穫ばさみ 野菜」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜7cm のステンレス製。先が丸いものは実を傷つけにくいです。
引きちぎると株のほうに傷が残り、そこから病気が入ります。次の実を穫るつもりなら、切って穫ります。
- 折りたたみコンテナ探す言葉「折りたたみコンテナ 20L」
- 規格の目安
- 20L 前後。使わないときに畳めるものが置き場所を取りません。
袋に入れると重みで下の実が潰れます。積み重ねられる箱なら、そのまま持ち帰れます。
- 鮮度保持袋探す言葉「野菜 鮮度保持袋 有孔」
- 規格の目安
- 厚さ 0.02mm 前後の有孔ポリ袋。葉物用と実物用でサイズを分けます。
穴のない袋に入れると蒸れて傷みます。穴あきの袋は湿りを保ちながら呼吸を通します。
- 新聞紙・保存箱探す言葉「野菜 保存 コンテナ 通気」
- 規格の目安
- 通気穴のある箱。根菜は新聞紙に包んで立てて入れます。
根菜と芋類は洗わずに土を落として乾かし、暗く涼しい場所に置くほうが長くもちます。
- よく切れる普通のはさみで足りる作物は多く、専用の収穫ばさみが要るのは硬い茎のものだけです。
- 真空保存機は、量が出るようになってから考えれば十分です。
にんじんの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はにんじんの育て方にまとめています。
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