なぜ3回に分けるのか
最初から最終株間でまけば間引きは要りませんが、にんじんではそれがうまくいきません。発芽期に隣どうしが土を持ち上げ合って出芽が助けられること、初期は葉が触れ合う程度に混んでいるほうが競い合って立ち上がることが理由です。密にまいて段階的に減らすのが結局いちばん揃います。
一方で間引きが遅れると根が太り始めてから抜くことになり、隣の根を引きずって傷めます。混み合ったまま放置すれば細い根が並ぶだけです。早すぎず遅すぎずの目安が、本葉の枚数です。
今どの回に当たるかは、日数ではなく株の見た目で決まります。次の表で自分の株に近い行を探し、その回の作業から読むと、遅れているかどうかもすぐ分かります。
| 今の株の見た目 | 間引きの段階 | そのままだとどうなるか |
|---|---|---|
| ふたばが並んで触れ合う | 1回目のころ | 伸びが止まり細くなる |
| 本葉が3〜4枚で重なる | 2回目のころ | 根が細いまま並ぶ |
| 葉が隣とぶつかり倒れる | 3回目のころ | 根が太れず互いを押し合う |
| 根の肩が見えて太り始めた | 間引きは終わり | 抜くと隣の根まで傷める |
間引きの判断は日数ではなく葉の枚数で行います。同じ日にまいても、地温と水で生育速度は大きく変わるためです。
3回の間引きの目安
回を追うごとに株間を広げ、最終的にこぶし一つ分にします。五寸系で10〜12センチ、三寸系なら8〜10センチが目安です。狭いと根が太らず、広すぎると割れやすくなります。
| 回 | 本葉の枚数 | 間引き後の株間 | 同時にやること |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 1〜2枚 | 3〜4センチ | 除草・軽い土寄せ |
| 2回目 | 3〜4枚 | 6〜8センチ | 追肥・中耕 |
| 3回目 | 5〜6枚 | 10〜12センチ | 追肥・本格的な土寄せ |
最終間引きは播種からおよそ50〜60日が目安です。これを過ぎると根が太り始め、抜くたびに隣を痛めます。
抜き方の手順
残す株を決めてから抜くのが原則です。なんとなく混んだところを抜くと、結果的に間隔がばらつきます。子葉ではなく本葉の色つやと立ち方を見て、勢いのある株を残します。
- 残す株を先に決める
- 葉が濃く、まっすぐ立ち、軸が太い株を残します。徒長(間のびして弱く伸びること)してひょろ長い株、葉が黄ばんだ株、双葉が奇形の株は先に落とします。
- 根元を押さえて抜く
- 残す株の根元を指で押さえながら、抜く株を横に倒すように引きます。真上に引くと隣の根まで持ち上がって浮きます。
- 抜けにくければ切る
- 根が絡んでいるときは無理に引かず、はさみで地際から切ります。残す株の主根を傷めるより確実です。
- すぐ土を戻して押さえる
- 抜いた跡は穴が空くので、周りの土を寄せて残す株の根元を軽く押さえます。株が傾いたままだと根が曲がって育ちます。
- 間引き菜は食べる
- 本葉3〜4枚以降の間引き菜は葉も細根も食べられます。香りが強いのでおひたしやかき揚げに向きます。
間引きは晴れて土が適度に湿った日に行います。乾ききった土では根ごと持ち上がり、ぬかるみでは残す株の根元が締まりません。
追肥は間引きとセットで
にんじんの肥大が旺盛になるのは播種後70〜80日ごろで、そこへ向けて肥料を切らさないのが太らせる条件です。追肥(育てている途中で足す肥料)は2回目と3回目の間引き直後の二回。株元に直接置くと根が傷むので、条間か畝の肩に置いて中耕で混ぜます。
- 2回目の間引き後
- 1平方メートルあたり化成肥料30〜40グラムを条間にすじ状に置き、軽く土と混ぜながら株元へ寄せます。この時期は葉を育てるつもりで。
- 3回目の間引き後
- 同量をもう一度、今度は畝の肩に沿って置きます。ここからは根を太らせる期間なので、切らさないことが優先です。
- 葉色で判断する
- 葉が黄色く小さければ肥料切れ、濃緑で葉ばかり大きければ効きすぎです。効きすぎは根が細く、葉だけ立派な状態を招きます。
収穫の1か月前を過ぎたら追肥は止めます。終盤の窒素は根の甘みを落とし、裂根や葉ばかり茂る原因になります。
肩の緑化と土寄せ
にんじんは肥大にともなって根の上部が地面から持ち上がります。露出した肩に日光が当たると葉緑素ができて緑や紫がかった色になり、その部分は苦く硬くなります。品質の問題であって病気ではありませんが、見た目も味も落ちます。
防ぎ方は単純で、肩が見えたら土をかぶせるだけです。ただし一度に厚くかけると生長点が埋まって生育が止まるので、葉の付け根が隠れない範囲で少しずつ足していきます。
- 間引きのたびに寄せる
- 間引き後は必ず条間の土を株元へ寄せます。中耕と土寄せ(株元へ土を寄せること)を同時にやると、除草と通気改善も一度に済みます。
- 肥大期は2週間おきに点検
- 根が太り始めると肩の露出が急に進みます。畝を見て橙色が見えていたら、その都度覆います。
- 厚くかけない
- 1回にかける土は1〜2センチまで。中心の生長点まで埋めると葉が出られず、そこで生育が止まります。
- 緑化した根の扱い
- 緑になった部分は厚めに皮をむけば食べられます。捨てるほどではありませんが、次作では土寄せの回数を増やします。
間引き遅れ・間引きすぎの立て直し
間引きを忘れたまま本葉が7〜8枚になっていても、諦めずにやります。細いまま並べておくよりは、傷を承知で間隔を空けたほうが残った株は太ります。抜いた跡は必ず土を寄せて押さえ直します。
- 遅れたときは2段階で
- 一度に最終株間まで減らすと残す株の根まで動きます。数日あけて2回に分け、間に土寄せとかん水を挟むと立ち直りが早いです。
- 抜きすぎたときは
- 株間が20センチ以上空いた場所は、追肥を控えめにします。余裕がありすぎると急に太って裂根しやすくなるためです。
- 収穫時期をずらす手も
- 間引きが遅れて全体に細いときは、収穫を2〜3週間遅らせて肥大を待ちます。ただし遅らせすぎると裂根と硬化が始まります。
間引きの日を決められないなら、播種した日にカレンダーへ三回分の予定を先に入れてしまうのが確実です。
にんじんの間引きに使うもの
間引きで残す株を傷めないことがすべてです。抜くより切るほうが、残す株の根を動かしません。
- 先の細いはさみ探す言葉「園芸 はさみ 細かい作業」
- 規格の目安
- 刃先が細く、刃渡り 3〜5cm のもの。クラフト用のはさみでも足ります。
密に生えたところは、抜くと隣の根まで一緒に動きます。地際で切れば残す株が動きません。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式、長さ 10cm 前後。
間引いた日を書いておくと、次の間引きまでの間隔と、生育の速さを判断できます。
- 手で抜けるうちに間引くなら、はさみは要りません。
- 間引いた芽は食べられる作物が多く、捨てる前に確かめる価値があります。
にんじんの収穫までのコツは作物ページに
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