品種ごとの色で食べごろを判断する
サクランボは収穫後に甘くならないので、樹の上で完熟させることが大切です。品種によって完熟時の色が違い、佐藤錦は黄色い地に赤が広がった状態、紅秀峰は全体が濃い赤、暖地桜桃は真っ赤で軸の付け根まで赤くなったころが目安です。同じ樹でも日当たりの差で熟す時期がずれるので、色を見て数回に分けて取ります。
樹の上で完熟したかどうかは、色だけでなく軸の様子でも分かります。軸が緑でぴんとしているうちは酸味が残り、軸の付け根がわずかに黄色みを帯びて実を軽く持ち上げただけで外れるようになれば食べごろです。迷ったら一粒食べてみて、甘みが酸味に勝っていれば同じ色の実を取ります。取り遅れた実は軸がしおれ、実が柔らかくなって鳥に狙われます。
| 品種 | 完熟の色 | 収穫の目安(関東) |
|---|---|---|
| 暖地桜桃 | 全体が真っ赤、軸の付け根まで赤い | 五月中旬〜下旬 |
| 佐藤錦 | 黄色い地に赤が七〜八割広がる | 六月中旬 |
| 紅秀峰 | 全体が濃い赤 | 六月下旬 |
| ナポレオン | 黄色に赤みがさす | 六月下旬 |
色づいてから完熟までは三日から五日です。毎朝見て回り、色の濃いものから順に取ると、味の落差が小さくなります。
軸ごと取り、実を持たない
サクランボの実は皮が薄く、指で持つと跡がついてそこから傷みます。軸(実についている柄)を持ち、軸の付け根で枝からもぎ取ります。軸の付け根には翌年の花芽がついた短果枝があるので、枝を引っ張って傷めないよう、軸を上に持ち上げるように外します。
- 朝の涼しいうちに取る
- 気温が上がると実が柔らかくなって傷みやすいです。朝露が乾いた午前中の早い時間に収穫します。
- 軸をつまんで上に外す
- 軸の根元をつまみ、上に持ち上げるようにして枝から外します。引っ張ると短果枝がちぎれ、翌年の花が減ります。
- 浅い容器に一段で入れる
- 実を重ねると下の実がつぶれます。浅いざるや箱に一段で並べ、直射日光を避けて涼しい場所に置きます。取った実は家に入るまで軸を上にして置くと傷みにくいです。
- 傷んだ実は分ける
- 割れた実、鳥につつかれた実、柔らかい実は別に分けて、その日のうちに食べるか加工します。
日持ちは短いので早めに食べる
サクランボは果物の中でも日持ちが短く、常温では一日から二日、冷蔵でも三日から五日が目安です。冷蔵庫に入れると甘みを感じにくくなるので、食べる一時間前に出して常温に戻すとおいしく食べられます。水洗いは食べる直前にし、洗ってから保存しません。
たくさん取れた日は、その日に食べる分だけ常温に置き、残りはすぐ野菜室に入れます。傷んだ実が一粒混ざると周りの実まで早く傷むので、容器に入れる前に一粒ずつ確かめて分けます。
| 保存方法 | 持つ期間の目安 | 注意 |
|---|---|---|
| 常温で浅い容器 | 一〜二日 | 直射日光と高温を避ける |
| 冷蔵庫の野菜室 | 三〜五日 | 新聞紙に包んで乾燥と結露を防ぐ |
| 冷凍(軸を取って) | 一〜二か月 | 半解凍でシャーベット状にして食べる |
| 砂糖漬け・ジャム | 冷蔵で二〜三週間 | 種を取ってから煮る |
たくさん取れたときの加工
暖地桜桃は実が小さく酸味が強いので、そのまま食べるよりジャムや果実酒にすると使いやすいです。種を取るには、ストローや箸を軸の跡から押し込むと簡単に抜けます。佐藤錦などの甘い品種は、冷凍しておくとおやつとして長く楽しめます。
- 種を抜く
- 軸を取り、軸の跡にストローを押し当てて反対側へ種を押し出します。実の形が崩れないので、ジャムにも冷凍にも向きます。
- ジャムにする
- 種を抜いた実に重さの四割ほどの砂糖をまぶし、水が出たら弱火で二十分ほど煮ます。レモン汁を少し足すと色が鮮やかに残ります。
- 冷凍する
- 種を抜いた実を重ならないように並べて凍らせ、凍ってから袋にまとめます。食べるときは半解凍で食べます。
- 果実酒にする
- 洗って水気を拭いた実を軸ごと瓶に入れ、氷砂糖と果実酒用の酒を注ぎます。三か月ほどで飲めます。
実が小さい・酸っぱい・少ないときの原因と直し方
収穫した実が期待と違うときは、前年からの管理に原因があります。実が小さいのは実の数が多すぎるか五月の水切れ、酸っぱいのは収穫が早すぎるか日照不足、少ないのは受粉の問題です。原因を切り分けて、翌年の作業を直します。
| 失敗の姿 | 主な原因 | 翌年の直し方 |
|---|---|---|
| 実が小さい | 実がつきすぎ、五月の水切れ | 一つの短果枝に三〜五個に摘果し、五月は乾いたら水をやる |
| 酸っぱい、味が薄い | 収穫が早い、内側で日が当たらない | 色が回るまで待ち、夏剪定で内側に光を入れる |
| 実が少ない | 受粉樹がない、開花期の雨 | 受粉樹と人工授粉、開花中の雨よけ |
| 実が割れた | 収穫期の雨 | 雨よけを張り、雨の前に収穫 |
| 実が全部鳥に取られた | ネットの遅れ | 色づく前にネットをかける |
若木は三年から四年は実が少なくて当然です。五年目以降も少ないときに、上の表で原因を探します。
サクランボの収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
サクランボの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はサクランボの育て方にまとめています。
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