育てる場所と目的で品種を決める
サクランボは冷涼で雨の少ない気候を好み、関東平野部では梅雨と夏の暑さが壁になります。佐藤錦のような山形の主力品種は関東でも育ちますが、実が熟す六月が梅雨と重なって実割れしやすく、受粉樹も必要です。暖地向きの暖地桜桃は一本で実がなり、五月に熟すので梅雨を避けられます。まず場所と目的を決めてから品種を選びます。
| 育てる場所・目的 | 向く品種 | 受粉樹 |
|---|---|---|
| 関東の庭で確実に実を取りたい | 暖地桜桃 | 不要(一本でなる) |
| 鉢植えで手軽に | 暖地桜桃、矮性台木の佐藤錦 | 暖地桜桃は不要 |
| 大粒で甘い実を目指す | 佐藤錦、紅秀峰、高砂 | 別品種が必要 |
| 受粉樹を植える場所がない | 暖地桜桃か、一本で実がつく品種として売られているもの | 不要 |
| 寒冷地 | 佐藤錦、ナポレオン、紅秀峰 | 別品種が必要 |
暖地桜桃は実が小さく酸味が強めですが、関東の家庭で失敗が少ないのはこの品種です。初めてなら暖地桜桃から始めるのが安全です。
受粉樹の組み合わせを確かめる
佐藤錦などの甘果桜桃は自分の花粉では実がつかず、しかも相性の悪い組み合わせがあります。佐藤錦とナポレオンは相性がよく、紅秀峰も佐藤錦の受粉樹になります。買う前に、その品種の受粉樹として何が挙げられているかを苗の札で確かめます。花の時期がそろわないと受粉できないので、開花期も合わせます。
- 札の受粉樹欄を見る
- 苗の札や販売店の説明に受粉樹として書かれている品種を確かめます。書かれていなければ、佐藤錦にはナポレオンか紅秀峰を合わせると失敗が少ないです。
- 二本の距離を十メートル以内に
- 受粉はミツバチが運ぶので、二本は近いほど確実です。鉢植えなら開花時に隣に並べます。
- 場所がなければ一本の鉢に二品種
- 一つの大きな鉢に二品種を寄せ植えするか、高接ぎで一本の樹に別品種の枝を接ぐ方法もあります。初心者は寄せ植えが確実です。
苗は接ぎ木の一年生か二年生を選ぶ
サクランボの苗は落葉した十一月から二月に出回ります。根が乾いている状態で売られることも多いので、根がしっかり湿った状態で保管されているものを選びます。台木にはアオバザクラやコルトなどがあり、鉢植えには樹が大きくなりにくい矮性台木が向きます。
- 接ぎ口の癒合を見る
- 株元から十センチ前後の接ぎ口が、段差なくなめらかにつながっているものを選びます。接ぎ口がぐらつく苗は避けます。
- 枝の皮を見る
- 枝の皮につやがあり、しわがないものが健全です。皮がしわしわの苗は乾きすぎていて、植えても芽が動かないことがあります。
- 根を確かめる
- 白くて太い根が数本と細根がついているものを選びます。根が黒く、こぶがついていれば根頭がんしゅ病の疑いがあるので買いません。
- 台木の種類を確かめる
- 鉢植えにするなら矮性台木と書かれた苗を選びます。通常の台木は樹高が四メートルを超え、鉢では持ちません。
植え付けは十二月から二月
植え付けの適期は落葉後の十二月から、芽が動く前の二月です。関東なら厳寒期を避けて十二月か二月下旬が扱いやすいです。サクランボの根は過湿を嫌うので、水はけのよい場所を選び、水がたまる庭では高畝にして植えます。日当たりは一日六時間以上が必要です。
- 植え穴を大きく掘る
- 直径六十センチ、深さ五十センチの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土をバケツ三杯、苦土石灰を二握り混ぜます。石灰は二週間前に混ぜておくのが目安です。
- 水はけが悪ければ高く植える
- 雨のあと水がたまる場所では、地面より二十センチほど高く土を盛り、その上に植えます。サクランボは根腐れで枯れる例が多い果樹です。
- 根を広げて浅く植える
- 根を放射状に広げ、接ぎ口が地面より五センチ上に出る深さに植えます。深植えすると根が呼吸できず、生育が止まります。
- 幹を切り戻す
- 植え付け後、高さ六十センチから七十センチで幹を切ります。切らずに植えると根の量に比べて枝が多く、活着が遅れます。
- 支柱を立てて水をやる
- 支柱に八の字で結び、バケツ一杯の水をゆっくり注ぎます。冬の間は雨に任せ、乾きが続くときだけ与えます。
植え付け後に芽が動かないときの見分け
三月下旬になっても芽がふくらまないときは、根の乾きか、過湿による根腐れです。枝を軽く曲げて弾力があれば生きているので待ちます。枝がぽきりと折れて中が茶色なら枯れています。芽が動いたのに五月に急にしおれるのは、根が張る前に葉が水を蒸散しすぎたときで、若木でよく起きます。
| 状態 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 四月になっても芽が動かないが枝は緑 | 根の活着が遅い | 水を与えて五月まで待つ |
| 枝が茶色く乾いて折れる | 植え付け時の乾燥か寒さ | 接ぎ口より上が枯れていれば新しい苗に替える |
| 芽が出た後に葉がしおれる | 根の量に対して葉が多い | 枝を三分の一切り戻し、株元に敷きわらで乾きを防ぐ |
| 葉が黄色く土が常に湿っている | 根腐れ | 水を止め、鉢なら抜いて黒い根を切り植え直す |
サクランボの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
サクランボの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はサクランボの育て方にまとめています。
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