実がつかない原因を花の姿で見分ける
花がたくさん咲いたのに実がつかないときは、受粉できていないか、受粉したのに落ちたかのどちらかです。花が終わってすぐに花ごと落ちれば受粉不良、小さな実になってから五月に落ちるなら養分不足か低温です。まずどの段階で落ちたかを確かめると、対処が決まります。
| 落ちた時期・姿 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 花びらが散った直後に花ごと落ちる | 受粉樹がない、相性が悪い、開花期がずれた | 相性のよい受粉樹を用意し、人工授粉する |
| 小さな実がついてから五月に落ちる | 若木で樹の体力がない、肥料不足、開花期の低温 | 三年目までは実を期待せず、二月の肥料を確かめる |
| 実が大きくなる途中で黄色くしぼむ | 受精が不完全、水切れ | 人工授粉を二回に分け、四〜五月の水を切らさない |
| 花そのものが少ない | 夏の剪定不足で短果枝がない、夜の照明 | 夏剪定で枝を水平にし、夜間照明を避ける |
受粉樹の相性と開花期
甘果桜桃は自家不和合性(自分の花粉では実がならない性質)で、さらに品種同士の相性があります。佐藤錦にはナポレオン、紅秀峰、高砂が合い、ナポレオンと高砂の組み合わせも実がつきます。同じ品種を二本植えても実はつきません。暖地桜桃は自分の花粉で実がつくので、一本で問題ありません。
| 品種 | 受粉樹になる品種 | 開花の目安(関東) |
|---|---|---|
| 佐藤錦 | ナポレオン、紅秀峰、高砂 | 四月上旬〜中旬 |
| ナポレオン | 佐藤錦、高砂 | 四月上旬〜中旬 |
| 紅秀峰 | 佐藤錦、ナポレオン | 四月上旬〜中旬 |
| 暖地桜桃 | 不要(一本でなる) | 三月中旬〜下旬 |
暖地桜桃は開花が早く、佐藤錦とは開花期が合いません。暖地桜桃を佐藤錦の受粉樹にはできません。
人工授粉は晴れた日の午前中に
ミツバチの少ない住宅地や、開花期に雨が続く年は、人工授粉をすると結実が安定します。花が七分咲きから満開のころ、晴れた日の午前中に受粉樹の花粉を雌しべにつけます。花の寿命は三日から四日なので、開花中に二回から三回、日を変えて行うと確実です。
受粉樹が鉢植えで開花がずれたときは、受粉樹の花を摘んで冷蔵庫で保存しておくと三日から四日は花粉が使えます。摘んだ花はふたつきの容器に紙を敷いて入れ、乾かないようにします。開花が早い品種の花粉を取っておき、遅い品種が咲いたら使う、という順番にすると失敗が減ります。
- 受粉樹の花を摘む
- 開いたばかりで、雄しべの先に黄色い花粉が見える花を摘みます。花びらを取り、雄しべだけの状態にします。
- 雌しべの先につける
- 摘んだ花の雄しべを、実をならせたい品種の花の中心にある雌しべの先に軽く触れさせます。一つの花で二十花ほど受粉できます。
- 筆や綿棒でもよい
- 受粉樹の花粉を筆や耳かきの梵天で集め、雌しべに順につけていく方法でもできます。筆は品種ごとに変えなくて構いません。
- 二〜三日おきに繰り返す
- 一度で全部の花が受粉できるわけではないので、開花の間に二回から三回行います。雨の日と午後は花粉が湿るので避けます。
開花期の雨と寒さから花を守る
四月の開花期に雨が続くと花粉が流れ、ミツバチも飛ばないので結実が大きく減ります。遅霜で花が凍ると雌しべが黒くなって実になりません。鉢植えは軒下に移し、地植えは開花中だけビニールや不織布で屋根を作ると、結実が安定します。
開花期の気温が十度を下回る日は、晴れていてもミツバチはほとんど飛びません。寒い日が続く年は人工授粉に切り替えたほうが確実です。花が開いてから四日たって花びらが散り始めたら、その花は受粉の機会を過ぎています。
- 雨よけを開花前に用意する
- 支柱を四本立てて上にビニールを張り、横は開けておきます。横を閉めると蒸れて花が傷みます。
- 霜の予報の夜は覆う
- 最低気温が二度以下の予報なら、夕方に不織布を樹全体にかけ、朝に外します。かけたままにすると受粉できません。
- 雌しべの色を確かめる
- 霜の翌朝、花の中心の雌しべが黒くなっていれば、その花は実になりません。緑の雌しべが残っている花に人工授粉を集中させます。
実がつきすぎたときの摘果と実がならない年の立て直し
サクランボは摘果をほとんど必要としませんが、暖地桜桃や若木で実が枝に鈴なりになったときは、一つの短果枝に三個から五個を残して減らすと、実が大きくなります。逆に何年も実がならないときは、受粉樹、樹の年齢、夏の剪定、肥料の順に見直します。
| 状態 | 見直す点 | 翌年への手当て |
|---|---|---|
| 三年目までの若木で花が少ない | 樹の年齢 | 実を期待せず、夏剪定で骨組みを作る |
| 四年目以降でも花が少ない | 枝が立っていて短果枝がない | 夏に枝を水平に誘引し、上に伸びる枝を抜く |
| 花は多いが実が残らない | 受粉樹の相性か開花期の雨 | 受粉樹を確かめ、雨よけと人工授粉をする |
| 実はつくが小さい | 実の数が多すぎる、水切れ | 一短果枝に三〜五個へ摘果し、五月の水を切らさない |
サクランボの受粉に使うもの
1 本では実らない木があります。自分の木がそれに当たるなら、道具の前に相手の品種が要ります。
- 授粉用の毛ばたき探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたき。梵天と呼ばれる授粉専用のものもあります。
花から花へ軽く触れて回ります。強くこすると花が傷むので、撫でる程度で十分です。
- 授粉用の花粉探す言葉「授粉用 花粉 果樹」
- 規格の目安
- 品種の合う花粉。石松子(増量材)と混ぜて使うものが多いです。
受粉樹を植える場所がないときの代わりです。品種の組み合わせが合わないと実らないので、そこを先に確かめます。
- 綿棒・小筆探す言葉「綿棒 授粉 園芸」
- 規格の目安
- 普通の綿棒か、細い筆。
花の数が少ないときは、1 輪ずつ確実に付けられます。品種を変えるときは新しいものに替えます。
- 1 本で実る品種なら、受粉の道具は要りません。まず自分の品種を確かめます。
- 受粉樹を近くに植えられるなら、人工授粉そのものが要らなくなります。
サクランボの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はサクランボの育て方にまとめています。
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