樹の姿で切る時期と強さを決める
サクランボは実がつくのは花束状短果枝と呼ばれる、長さ数センチの短い枝です。長く伸びた枝の先を切っても実はつかず、切り口から枝枯れが広がる病気(胴枯れ病)が入りやすいという特徴があります。剪定は冬に少し、夏に少しの二回に分け、一度に大きく切らないことを守ります。
| 樹の状態 | 剪定時期 | やること |
|---|---|---|
| 植え付け直後の若木 | 植え付け時と七月 | 幹を六十〜七十センチで切り、夏に主枝候補を選ぶ |
| 二〜四年目で枝が伸びている | 七〜八月と二月 | 夏に混んだ枝を間引き、冬は先端を軽く切る程度 |
| 実がなり始めた成木 | 七〜八月と二月 | 夏に強い枝を抜き、冬は枯れ枝と混み枝だけ |
| 大きくなりすぎた | 七〜八月中心 | 夏に太い枝を抜いて低くする。冬の太枝切りは避ける |
太い枝を切ったら、必ず切り口に癒合剤(切り口を保護する塗り薬)を塗ります。サクランボは切り口から病気が入る率が高い果樹です。
冬の剪定は二月に軽く
冬の剪定は落葉期の二月に行います。十二月から一月の厳寒期に切ると切り口が乾いて枯れ込みが深くなるので、寒さが緩む二月下旬が目安です。切るのは枯れ枝、病気の枝、内側に向かう枝、交差する枝までにとどめ、健全な枝の先端は切り戻しても数センチまでにします。
- 枯れ枝と病枝を切る
- 枝先が茶色く枯れた部分、樹脂(やに)が出ている部分を、緑の部分まで戻して切ります。切ったものは病気の元になるので処分します。
- 内向き枝と交差枝を抜く
- 樹の内側に向かって伸びる枝と、ほかの枝と重なる枝を付け根から切ります。内側に光が入ると短果枝がつきやすくなります。
- 長い枝の先端だけ軽く切る
- 一メートル以上伸びた枝は、先端を五分の一ほど切って枝の途中から短果枝を出させます。深く切り戻すと強い枝が出て逆効果です。
- 切り口に癒合剤を塗る
- 直径一センチ以上の切り口には全部塗ります。切ってすぐ塗るほど効果があるので、はさみと一緒に持ち歩きます。
夏の剪定で樹の勢いを落ち着かせる
サクランボは夏に剪定すると、切り口がすぐにふさがり、枝の勢いも落ち着いて実がつきやすくなります。収穫が終わった七月から八月上旬に、上に強く伸びた枝や混み合った枝を付け根から抜きます。太い枝を減らしたいときも、冬ではなくこの時期にします。
- 収穫後すぐに始める
- 六月の収穫が終わって二週間ほどしたら剪定できます。九月に入ると切り口の治りが遅くなるので、八月中に終えます。
- 上に立った枝を抜く
- 垂直に一メートル以上伸びた太い枝を付け根から切ります。徒長(勢いだけ強くて花がつかない伸び方)した枝を残すと、樹が高くなって手が届かなくなります。
- 混んだ部分を三本に一本抜く
- 枝が重なって内側に日が入らない部分は、三本に一本の割合で付け根から抜きます。抜きすぎると日焼けするので、葉で幹が隠れる程度は残します。
- 残す枝を水平に誘引
- 残した枝が立ち気味なら、ひもで引いて水平近くにします。水平にした枝は伸びが落ち着き、翌年に短果枝が並びます。
鉢植えは低く小さく仕立てる
鉢植えでは高さを一・五メートル前後に抑えると、防鳥ネットや雨よけがかけやすくなります。植え付け時に幹を四十センチほどで切り、そこから出た枝を三本から四本、斜め上に開いて主枝にします。毎年の夏剪定で上に伸びる枝を抜き続ければ、低い樹形が保てます。
| 年数 | 冬の作業 | 夏の作業 |
|---|---|---|
| 一年目 | 幹を四十センチで切る | 出た枝から三〜四本を残し、ほかを付け根で切る |
| 二年目 | 主枝の先端を五分の一切る | 主枝から出た強い枝を抜き、ほかは水平に誘引 |
| 三年目以降 | 枯れ枝と混み枝だけ | 上に伸びる枝を抜き、高さを一・五メートルに保つ |
鉢植えは二年に一回、二月に一回り大きい鉢に植え替えるか、根鉢を三分の一ほど削って同じ鉢に戻します。根詰まりすると花芽がつきません。
切り口から枯れ込んだときの手当て
切り口から樹脂が出て周りが黒くなり、枝がじわじわ枯れていくのは胴枯れ病です。冬に太枝を切って癒合剤を塗らなかったときによく起きます。枯れが幹まで進むと樹が失われるので、見つけたら早めに手当てします。
- 枯れた部分を削る
- 黒くなった部分をナイフで健全な白い部分が出るまで削ります。削ったくずは地面に残さず処分します。
- 削った面に癒合剤を塗る
- 削った面全体に癒合剤を厚めに塗り、雨が当たっても流れないようにします。二週間後に見て、はがれていれば塗り直します。
- 枝ごと枯れているなら付け根で切る
- 枝全体が枯れているときは、健全な部分まで戻して付け根で切り、切り口を塗ります。夏に切るほうが治りが早いです。
- 翌年から冬の太枝切りをやめる
- 同じ失敗を繰り返さないよう、太い枝を減らすのは夏だけにし、冬は細い枝の整理にとどめます。
サクランボの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
サクランボの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はサクランボの育て方にまとめています。
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