症状から害虫と病気を見分ける
栗の被害は「芽」「葉」「幹」「実」のどこに出るかで原因が絞れます。実に入る虫は収穫まで気付きにくいので、七月から八月の見回りが要です。まず症状の場所と時期から疑う相手を決めます。
| 症状 | 時期 | 疑う相手 |
|---|---|---|
| 芽の付け根に赤茶色の丸いこぶ | 4〜5月 | クリタマバチ |
| 収穫した実に小さな穴と白い幼虫 | 9〜10月 | クリシギゾウムシ |
| 実の中に糸を引く茶色い幼虫 | 9〜10月 | モモノゴマダラノメイガ |
| 幹に木くずが出て樹皮が浮く | 6〜9月 | カミキリムシ |
| 幹の樹皮が赤茶色に変色し枯れ込む | 通年 | 胴枯れ病 |
| 葉に黒い斑点が広がり早く落ちる | 7〜9月 | 炭疽病などの葉の病気 |
クリタマバチは耐性品種と枝切りで
四月から五月、新芽の付け根に赤みを帯びた直径一〜二センチのこぶができ、その枝は伸びず花も付きません。こぶの中にクリタマバチの幼虫がいます。薬が効きにくい害虫なので、こぶの付いた枝を切って処分するのが基本です。
丹沢・筑波・銀寄など主要品種は、この虫に対する抵抗性を持って育成されています。古い在来種で毎年こぶが多いなら、抵抗性品種への植え替えが根本の対策になります。
- 四月にこぶを探す
- 新芽が伸び始めるころに枝を見て回り、芽のところが丸くふくらんで赤茶色になっているものを探します。正常な芽は細長く緑です。
- 五月中に枝ごと切る
- こぶから成虫が出るのは六月です。それまでにこぶの付いた枝を五センチ下で切り、袋に入れて処分します。庭に落としたままだと成虫が出て翌年に増えます。
- 天敵を残す
- チュウゴクオナガコバチという天敵がこの虫を減らします。殺虫剤を木全体に何度もかけると天敵も減るので、こぶの切除を優先します。
クリシギゾウムシは収穫後の処理で止める
収穫した実に直径二ミリほどの穴が開き、中から白くて丸い幼虫が出てくるのがこの虫です。八月から九月、イガの上から産卵管を刺して実の中に卵を産みます。実が落ちた後に幼虫が育ち、穴を開けて出てきて土に潜ります。
家庭では木への薬よりも、拾った実をすぐに処理するほうが確実です。実の中の卵と幼虫は温湯処理か冷蔵で止められます。木にかける薬は、産卵期に合わせないと効かないうえ、大きな木では全体にかけるのも大変です。
- 拾ったらその日のうちに処理
- 落ちた実を当日中に拾い、水に浮いた実を除きます。浮く実は中が食われているか未熟です。
- 温湯処理をする
- 五十度前後の湯に三十分つけると中の卵と若い幼虫が死にます。温度が高すぎると実が煮えるので、温度計で測りながら行います。
- 冷蔵で止める
- 湯を使えなければ、拾った実を袋に入れて零度前後の冷蔵庫に入れます。幼虫の活動が止まり、二週間以上置けばほとんど出てきません。
- 落ちた実を放置しない
- 地面に残った実から幼虫が出て土に入り翌年の成虫になります。傷んだ実や虫食いの実も拾って処分します。
木に薬をかける場合は、産卵期の八月中旬から九月上旬に、果樹用の殺虫剤を二回が目安です。収穫前の使用制限日数を必ず守ります。
幹の害虫と病気
幹に木くずが出ているときは、カミキリムシの幼虫が中を食べています。放置すると幹が空洞になり、風で折れます。また、剪定の切り口や日焼けした幹から胴枯れ病が入り、樹皮が赤茶色に変色して枝が枯れ上がります。どちらも早く見つけるほど軽く済みます。
| 見た目 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 幹の根元に木くずが山になる | カミキリムシの幼虫 | 穴に針金を入れて刺すか専用薬を注入 |
| 樹皮が赤茶色に変色し陥没 | 胴枯れ病 | 患部を削って癒合剤。ひどい枝は切る |
| 幹の南側の樹皮が縦に割れる | 日焼け | 幹に麻布を巻くか白く塗る |
| 幹に丸い穴と黒い糞 | コスカシバ | 穴を探して幼虫を取り出す |
カミキリムシの成虫は六月から八月に幹に産卵します。この時期に幹を見回り、成虫を見つけたら捕まえます。
薬を使うときの目安
栗は木が大きく、家庭では全体に薬をかけるのが難しいことが多いです。使うなら、時期と目的を絞ります。むやみにかけるとクリタマバチの天敵まで減らして逆効果になります。
- 冬の石灰硫黄合剤
- 落葉後の十二月から二月に、木全体に石灰硫黄合剤を散布すると、越冬する病原菌と害虫の卵を減らせます。芽が動く前に済ませます。
- 八月の果樹用殺虫剤
- クリシギゾウムシの産卵期に合わせて八月中旬に一回、二週間後にもう一回が目安です。ラベルで栗に使えることと収穫前日数を確かめます。
- 使わない時期を決める
- 六月の開花期は虫が受粉を助けるので殺虫剤をかけません。四月から五月のクリタマバチにも薬は効きにくく、枝の切除に集中します。
毎年被害が減らないときの見直し
対策しているのに虫食いの実が減らない場合、庭のどこかに虫の発生源が残っています。前年の落ち葉やイガ、周囲の野生の栗やクヌギ、放置した実などを一つずつ確かめます。
| 状態 | 疑う原因 | 見直すこと |
|---|---|---|
| 毎年実の半分以上に穴 | 落ちた実の放置で土中に幼虫が増えた | 秋の実とイガを完全に拾う |
| 隣の山や公園に栗の木がある | 外から成虫が飛んでくる | 収穫後処理を徹底し木への薬も検討 |
| こぶが年々増える | 在来種で抵抗性がない | 抵抗性品種に更新する |
| 幹の傷から毎年枯れ込む | 剪定の切り口の放置 | 切り口に必ず癒合剤 |
落ち葉と古いイガは、冬に集めて燃えるごみとして出すか、離れた場所で堆肥にします。株元にすき込むと病害虫を戻すことになります。
栗の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は栗の育て方にまとめています。
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