落ちたイガの見方
栗は木の上で完熟すると、イガが自然に割れて実が地面に落ちます。木に付いているイガを無理に取ると未熟で甘みがなく、日持ちもしません。イガの先が茶色く割れてきたら落ち始める合図なので、そのころから毎朝木の下を見て回ります。落ちたイガの状態から、拾ってよいものとそうでないものを見分けます。
| 落ちたイガの姿 | 状態 | 扱い |
|---|---|---|
| イガが割れて茶色の実がのぞく | 完熟 | その日のうちに拾う |
| 実だけが地面に落ちている | 完熟して自然に出た実 | 拾う。傷がないか見る |
| 青いイガが割れずに落ちた | 未熟か虫害 | 拾って処分。中の実は食べない |
| イガが割れて実に小さな穴 | 虫が出た後 | 処分して周囲の実も注意 |
イガは厚手の革手袋か火ばさみで扱います。足で踏んで開くやり方は実を傷付けるので、二本の火ばさみで両側から広げるのが安全です。
拾うのは毎朝
落ちた実を地面に置いたままにすると、一日で虫が実から出始め、乾燥して実の質も落ちます。収穫期の二〜三週間は毎朝拾うのが基本です。朝拾えば前夜に落ちた新しい実だけを集められ、動物に取られることも減ります。
- 朝のうちに見回る
- 落果は夜から早朝に多いので、朝に木の下を一周します。株元だけでなく枝の広がりの外側まで落ちているので、木の枝先の真下まで見ます。
- イガから実を出す
- 割れたイガは火ばさみで押し広げて実を取り出します。割れていないイガは足で押さえ、火ばさみで裂きます。一つのイガに実が一〜三個入ります。
- 水に浮かべて選ぶ
- 拾った実はバケツの水に入れ、浮いたものを除きます。浮く実は虫食いか中身が詰まっていません。沈んだ実を日陰で表面だけ乾かします。
- 木の下を片付ける
- 空になったイガと傷んだ実は木の下に残しません。放置すると来年の害虫の発生源になります。
虫を止める処理
拾った実の中にはクリシギゾウムシの卵や若い幼虫が入っていることがあり、放置すると数日で穴を開けて出てきます。食べる前も保存する前も、まず虫を止める処理をします。温湯と冷蔵の二つの方法があります。
- 温湯処理
- 五十度前後の湯に三十分つけます。温度が上がりすぎないよう温度計で見ながら差し水をします。処理後は広げて表面を乾かし、すぐ冷蔵に移します。
- そのまま冷蔵
- 湯を使わない場合は、拾ったその日に穴を開けたポリ袋に入れて零度前後の冷蔵室へ入れます。幼虫の動きが止まり、二週間ほどで死にます。
- 処理前に食べる分を分ける
- すぐに食べる分は処理せずに調理して構いません。ゆでれば虫も死にます。保存する分だけ処理を分けると手間が減ります。
温湯処理をした実は湿気が残るとかびます。乾かしすぎると味が落ちるので、表面の水気がなくなった時点で袋に入れます。
零度の冷蔵で甘みを増やす
栗は収穫直後よりも、零度前後で二〜四週間置いたほうが甘くなります。低温に置くと実の中のでんぷんが糖に変わり、甘みが二〜三倍に増えるとされます。この時間をかけるかどうかが、家庭の栗の味を大きく変えます。
| 保存の状態 | 日持ち | 味の変化 |
|---|---|---|
| 常温で放置 | 三〜四日 | 水分が抜けて甘みが乗らず虫も出る |
| 冷蔵室(五度前後) | 二〜三週間 | ややゆっくり甘くなる |
| チルド室(零度前後) | 一〜二か月 | 二〜四週間で甘みが最も増す |
| 冷凍(皮付きのまま) | 半年前後 | 甘みは維持。解凍後すぐ調理 |
冷蔵中は穴を開けたポリ袋か新聞紙に包み、週に一度は袋を開けて中の湿気を逃がします。密閉すると結露でかびます。
皮のむき方と品種の違い
栗の鬼皮は、一晩水につけるか熱湯に数分つけると柔らかくなり、底の部分から包丁を入れるとむけます。渋皮は普通の品種では包丁で削りますが、「ぽろたん」は鬼皮に切れ目を入れて加熱するだけで、渋皮ごとぽろっと外れます。
- 鬼皮を柔らかくする
- 水に一晩つけるか、熱湯に五分つけます。冷蔵で保存していた実は、そのままより一度室温に戻してからのほうがむきやすくなります。
- 底からむく
- 実の平らな底の部分に包丁の刃元で切れ目を入れ、そこから上に向かってはがします。指を切りやすいので、専用の栗むき器があると安全です。
- ぽろたんは切れ目を入れて加熱
- 鬼皮に一周切れ目を入れて、電子レンジかオーブンで加熱します。加熱すると渋皮ごと外れます。切れ目を入れないと破裂するので必ず入れます。
実が少ない・小さいときの原因
落ちた実が少ない、小さい、しいなばかりという年は、原因が今年の管理にあるのか、木の状態にあるのかを切り分けます。同じ木で毎年起きるなら仕立てや品種、今年だけなら気候か受粉です。
| 症状 | 疑う原因 | 来年に向けて |
|---|---|---|
| イガは多いが実が小さい | 摘果不足か八月の水切れ | 八月上旬に摘果、乾いたら潅水 |
| しいなが多い | 受粉不良 | 受粉樹の開花期を確認、人工受粉 |
| 去年多く今年ほぼゼロ | 隔年結果(なりすぎた反動) | なった年に摘果し礼肥を確実に |
| 実が半分以上虫食い | 落ちた実の放置 | 毎日拾い温湯か冷蔵で処理 |
| 何年たっても実がならない | 一本しか植えていない | 別品種を足す |
収穫後の十月に礼肥(実をならせて疲れた木に足す肥料)を与えると、翌年の花芽の充実につながります。量は冬の元肥(芽が動く前に入れる肥料)の半分が目安です。
栗の収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
栗の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は栗の育て方にまとめています。
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