症状から原因を切り分ける
トウガラシの不調は、葉に出るか実に出るかでまず分かれます。葉が縮れるならダニかウイルス、実に穴があるなら虫、株ごと急にしおれるなら土の病気です。原因が違えば手当ても違うので、思い込みで薬をまく前に見る順番を決めておきます。葉の裏まで見て、株の姿から判断してください。
| 症状 | 疑うもの | 最初にすること |
|---|---|---|
| 新芽が縮れて硬くなる | チャノホコリダニ | 先端を切って処分し、葉裏を確かめる |
| 実に穴があり中が空 | タバコガの幼虫 | 穴のある実を取って捨てる |
| 晴れた日に急にしおれる | 青枯病 | 株ごと抜いて処分。土を使い回さない |
| 葉に黄色いまだら | ウイルス病 | 抜き取り、媒介するアブラムシを減らす |
| 実の先が黒くへこむ | 尻腐れ | 水を切らさず、石灰の効きを確かめる |
チャノホコリダニによる葉の縮れ
トウガラシでもっとも多い相談が、夏に新芽が縮れて硬くなる症状です。原因は目に見えないほど小さいチャノホコリダニで、高温乾燥が続くころに爆発的に増えます。葉の裏が油を塗ったように光っていたら、まずこれを疑うのが目安になります。
これを病気やウイルスと思い込んで放置すると、株の先端が伸びなくなり収穫が止まります。見つけたらすぐに被害を受けた先端を切り取り、株全体に水をかけて湿度を上げるだけでも増え方が鈍ります。
- 葉裏の光り方を見る
- 新芽の裏がつやつやと光り、縮れて内側に巻いているならホコリダニです。虫の姿は肉眼では見えません。
- 先端を切って処分
- 縮れた先端から下三節ほどを切り、畑の外に出して捨てます。その場に置くと移ります。
- 葉裏に水をかける
- 夕方に葉裏へ勢いよく水をかけます。乾燥した環境で増える虫なので、これを数日続けるだけでも数が目に見えて減ります。
- 必要なら薬を使う
- 広がるならダニに効く野菜用の薬剤を、葉裏を中心に散布します。使用回数と収穫前日数を必ず守ります。
アブラムシとタバコガ
アブラムシは新芽に群れて樹液を吸い、ウイルス病を運びます。数が少ないうちに指でつぶすか、水で流します。銀色のマルチや反射テープを株元に置くと寄りつきが減ります。
タバコガは実の中に入り込んで食い荒らす厄介な虫です。外から見ると小さな穴が一つあるだけで、割ると中が空になっています。中に入ってからでは薬が届かないので、穴のある実を早く取り除くことが最大の対策になります。
- 新芽を毎週見る
- 先端の柔らかい葉の裏を週に一度のぞきます。群れになる前なら指と水だけで対処できます。
- 穴のある実を取る
- 穴が開いた実は中に幼虫がいます。見つけしだい取って畑の外で処分し、次の実への移動を止めます。
- 反射材を敷く
- 株元に銀色のマルチや光るテープを敷くと、光を嫌うアブラムシが株に降りてきにくくなり、初期の発生を抑えられます。
青枯病と疫病
晴れた日の昼に急にしおれ、夕方に一度戻り、数日で枯れる。これは青枯病の典型です。土の中の細菌が原因で、薬では治りません。見つけたら株ごと抜いて処分し、その場所には数年ナス科を植えないようにします。
疫病は雨が続いたあとに茎や実が黒く腐る病気です。泥はねで広がるので、敷き藁とマルチで土を跳ねさせないことが最も効きます。畝を高くして水を溜めないことも同じくらい大切です。
- しおれ方を見る
- 葉が緑のまましおれるなら青枯病、黄色くなってから枯れるなら根の傷みか肥料の問題です。
- 疑わしい株を抜く
- 青枯病が疑われたら惜しまず早めに抜きます。残しておくと土の中の根を通じて隣の株へ移り、被害が広がります。
- 土を跳ねさせない
- 敷き藁かマルチで株元を覆います。疫病も含め、雨の泥はねを防ぐだけで発生が大きく減ります。
- 植える場所を変える
- 翌年は同じ場所にナス科を植えません。三年ほど空けると土の中の菌が減り、青枯病の出方が明らかに軽くなります。
尻腐れと日焼け
実の先が黒くへこむ尻腐れは、病気ではなくカルシウムが実に届かない生理障害です。土に石灰が入っていても、水が切れると根から運べません。トウガラシでは甘長系や大果種に出やすく、辛味の小果種にはあまり出ません。
日焼けは強い日ざしに実が直接当たって白く変色するものです。葉を切りすぎた株で起きやすいので、夏の枝の整理では葉を落としすぎないようにします。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 実の先が黒くへこむ | 水切れでカルシウムが届かない | 敷き藁で乾きを抑え、水の間隔を詰める |
| 実の側面が白く硬い | 日焼け | 葉を残す。寒冷紗で日をやわらげる |
| 実がねじれて曲がる | 高温と乾き | 実の姿の問題で食べられる。水を整える |
石灰の追加は即効性がありません。すでに出ている尻腐れは戻らないので、その実は取って次の実を守ることに切り替えます。
薬に頼る前にできること
トウガラシの不調の多くは、風通しと水はけ、そして泥はねを防ぐことで減らせます。株間を詰めない、内向き枝を切る、敷き藁をする。この三つを守るだけで、薬を使う場面はかなり少なくなります。
それでも広がるときは野菜用の薬剤を使いますが、収穫直前の株では収穫前日数の制限があります。同じ薬を続けると効かなくなるので、性質の違うものを交互に使ってください。
- 風の通り道を作る
- 混んだ枝を切り、株間を確保します。株の内側に手がすっと入る程度の空きがあれば、風が通って病気が減ります。
- 土を覆う
- 敷き藁かマルチで土を覆います。雨の泥はねを防ぐことが、土の中の菌を葉や実へ持ち上げる経路を断つことになります。
- 残渣を片づける
- 落ちた実や枯れ葉はその場に残さず、畑の外に出して処分します。放っておくと虫と菌の越冬場所になります。
トウガラシの収穫までのコツは作物ページに
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