時期ごとに警戒するものが変わる
生育期間が短いぶん、危険は段階ごとにはっきり分かれます。発芽期は鳥、中期は害虫の産卵、収穫期は鳥獣。今どの段階かを押さえれば、無駄な見回りが減ります。
| 時期 | 主な相手 | していること |
|---|---|---|
| 播種から本葉2枚 | カラス、ハト | 種を掘り、芽を引き抜く |
| 草丈50センチころ | アブラムシ | 新葉の裏で増える |
| 雄穂の出現期 | アワノメイガ成虫 | 雄穂に集まり産卵する |
| 穂の肥大期 | 幼虫、カラス、獣 | 茎と穂に食い入る、穂をつつく |
見回りの回数を増やすより、雄穂が見えた日を起点に集中して見るほうが効きます。段階を外すと手遅れになります。
アワノメイガは雄穂に集まる
花粉を出す雄穂の匂いが成虫を呼びます。雄穂やその近くに産卵し、ふ化した幼虫はまず雄穂と葉を食べ、やがて茎の中や雌穂へ潜り込みます。
茎に入られると外から手が出せません。株元に木くずのような粉が落ちていたら、すでに中にいる合図です。だから防除は、入られる前の雄穂の時期に集中します。
- 見るところ
- 雄穂の枝と、その下の葉の付け根。小さな食害跡や粉状の糞があれば、その株はすでに産卵されています。
- 入られた株
- 茎の穴の少し上を裂いて幼虫を取り出すと止められることがあります。折れそうな株は支柱を添えて、収穫まで持たせます。
雌穂の先から糞が出ている株は、中に入られています。その穂は早めに穫って、被害の少ない部分だけ食べます。
雄穂を切る時期の見きわめ
花粉を出し終えた雄穂は、幼虫を呼び込むだけの器官になります。受粉が済んでいれば切って畑の外へ出すのが有効です。ただし時期を誤ると受粉不足を招きます。
- 早すぎる場合
- 絹糸が出そろう前に全部切ると花粉が足りず、粒が歯抜けになります。受粉を確認してからが原則です。
- 残す本数
- 畑全体で5本から10本に1本の雄穂を残せば、残りの株の受粉はまかなえます。残す株は畑の風上側に置きます。
- 切ったあと
- 切った雄穂を畝に放置すると幼虫が育ちます。袋に入れて処分するか、深く埋めてください。
雄穂を切ると背が低くなり、風で倒れにくくなる利点もあります。ただし受粉の確認が先です。
発生時期は地域で変わる
成虫の出る回数は地域で違います。年に何回飛んでくるかを知っておくと、遅まきした株をどこまで警戒すべきか、いつ見回るべきかの判断がつきます。
| 地域 | 成虫の発生 | 警戒の重点 |
|---|---|---|
| 北海道 | 年1回、7月中旬から8月中旬 | 1作の雄穂期に集中 |
| 東北から北陸、関東 | 年2回、5月下旬からと8月上旬から | 早まきと遅まきの両方 |
| 東海以西 | 年3回、5月上旬から9月上旬 | 遅まきほど被害が重い |
遅まきほど世代の重なった成虫に当たります。7月以降にまく株は、被害を前提に本数を多めにしておきます。
薬に頼らない予防の設計
被害を減らす方法は、当てる薬より仕組みで決まります。作付けの時期をずらす、越冬させない、株を丈夫に育てる。この三つで被害の水準が変わります。
- 早めにまく
- 成虫の発生が本格化する前に雄穂期を通せば被害は軽くなります。早まきの利点は収穫だけではありません。
- 残さを残さない
- 収穫後の茎の中で幼虫が越冬します。刻んで畑の外に出すか埋めることが、翌年の発生量を直接減らします。
- 雌穂を覆う
- 受粉が済んだ穂に紙袋やネットをかぶせると、幼虫の侵入と鳥の被害の両方を防げます。株数の少ない家庭菜園でこそ現実的な方法です。
薬剤を使う場合も、散布の適期は雄穂が見えたころです。穂が太ってからでは中の幼虫に届きません。
鳥と獣は適期を知っている
収穫の一日前に食べられるのがこの作物です。カラスもハクビシンも人より早く熟期を見分けるため、穂が太りはじめた時点で対策を終えておく必要があります。
- カラス
- 上面を含めて防鳥ネットで覆うか、畝の上にテグスを数本張ります。目合いは15から30ミリのものが一般的です。
- ハクビシンやアライグマ
- 側面と上面をネットで覆い、裾を地面に密着させます。すき間があれば必ず入るので、押さえの手間を惜しまないこと。
- 守りきれないとき
- 適期の初日に全部穫ってしまうのが最後の手です。一日待って全滅するより、少しだけ早い穂を食べるほうが確実に得をします。
病気と生理障害を症状から切り分ける
葉や穂の異常を見つけたら、まず虫か病気か生理障害かを分けます。食べた跡や糞があれば虫、斑点が広がるなら病気、株全体が同じように変わっているなら水や肥料の側の問題です。
病気で全滅することは多くありませんが、葉の病気は登熟を落とします。連作と過繁茂が条件になるので、区画を変えて風を通すのが基本の手当てです。
生理障害は薬では戻りません。地温や水のやり方を変えれば新しい葉から正常に戻るので、傷んだ葉を取ることより原因を消すことを先にします。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 葉に細長い灰褐色の斑点 | 糸状菌による葉の病気 | 下葉を取り風を通す。連作を避ける |
| 穂が白い塊に変形する | 黒穂病 | 見つけ次第、袋に入れて畑の外へ出す |
| 新葉の裏に小さな虫の群れ | アブラムシ | 初期に洗い流し、窒素過多を直す |
| 苗の葉が紫色を帯びる | 低温でリン酸を吸えていない | 地温が上がれば戻る。追肥はしない |
| 葉先から枯れ上がる | 高温期の水切れ | 絹糸の前後は毎日たっぷり与える |
| 穂の先端に粒が入らない | 受粉不足か肥料切れ | 人工受粉と2回目の追肥で次作に備える |
斑点が出た葉を持ち出すのは風通しのためです。取りすぎると光合成が減るので、下から2、3枚にとどめます。
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