切ってよい時期は限られる
フィカスは切った後に芽を吹く力が強い樹ですが、それは気温が高い時期に限ります。休眠している冬に切ると切り口から枯れ込み、春になっても芽が出ないことがあります。最低気温が十五度を超え、新芽が動いているのを確かめてから切ります。
暦の月よりも株の動きを優先すると、地域が違っても判断を誤りません。関東の平野部なら四月から六月が中心で、九月以降の剪定は、出た新芽が寒さに当たって傷むので避けます。切るのは全体の三分の一までにとどめます。
| 時期 | 強い剪定 | 理由 |
|---|---|---|
| 3月〜4月 | 最適 | 芽が動き出し、切った後すぐ吹き返す |
| 5月〜7月 | できる | 生育が盛んで回復が早く、形を整えるのに向く |
| 8月 | 軽く整える程度 | 高温期の大きな切り込みは株を消耗させる |
| 9月〜2月 | 避ける | 切り口が塞がらず、出た芽が寒さで傷む |
花や実を待つ植物ではないので、時期さえ守れば毎年切ってかまいません。放っておいた株ほど下葉が落ちて上だけ茂った姿になります。
芽の上で切って枝を分けさせる
フィカスの葉の付け根には必ず芽があります。枝を切ると、切り口にいちばん近い芽が伸びるので、どの芽を残すかで次の枝の向きが決まります。外を向いた芽の五ミリほど上で切れば、新しい枝は外へ広がり、風の通る形になります。
一本の枝を切ると、その下から二本、三本と枝が分かれて出ます。枝数を増やしたいなら、伸びた枝をこまめに切るのがいちばん確実です。切る前に残す太い骨格を三、四本決めておくと、細かい枝の判断は自動的に決まります。
- 外向きの芽を探す
- 残したい方向を向いた葉の付け根を探します。その五ミリほど上で、芽を傷つけないように斜めに切ります。
- 交差した枝を付け根から抜く
- 内側へ向かう枝、他の枝とこすれる枝は長さを詰めずに付け根から落とします。込み合いが取れて光が内側まで届きます。
- 一度に三分の一まで
- 切りすぎても足せません。全体の三分の一までにとどめ、残りは芽が動いてから二回目で調整します。
- 切った枝は挿し木に回す
- 鉛筆ほどの太さの枝は捨てずに挿し木にします。予備の株ができると、思い切った切り方を選びやすくなります。
白い樹液は手袋で扱う
フィカスを切ると、切り口から白い樹液が出ます。これは乳液で、皮膚に付くとかぶれることがあり、衣類や床に付くと乾いて取れにくくなります。作業の前に新聞紙を敷き、手袋をしておくと後始末が楽になります。
樹液はしばらく出続けます。ティッシュで軽く押さえて止め、そのまま乾かします。水で洗い流し続けるとかえって止まりません。小さな子どもやペットのいる家では、切った枝葉をその場に置きっぱなしにしないようにします。
- 皮膚に付いたら乾く前に洗う
- 石けんで洗い流します。乾いてゴム状になると落ちにくく、かゆみが出たら触った手で目をこすらないようにします。
- 切り口は押さえて乾かす
- ティッシュで軽く押さえて止めます。太い枝を切ったときは、乾くまで一時間ほど置いてから鉢を動かします。
- 挿し穂は樹液を洗う
- 挿し木に使う枝は、切り口の樹液を水で洗ってから水に浸けます。固まると水を吸い上げられずに乾いて失敗します。
曲げ仕立てと幹を太らせる
若く柔らかい枝や幹は、針金を巻いて曲げると形が付きます。ベンジャミンやプミラのような細い枝は曲げやすく、三本の幹を編み込んだ姿もよく売られています。針金は半年ほどで幹に食い込むので、跡が残る前に必ず外します。
幹の太さは、葉が作った養分の蓄積で決まります。葉数を多く保ち、明るい場所で生育期を長く取ることが唯一の近道で、肥料を増やしても枝が伸びるだけです。太らせたい数年間は、形を整える程度の軽い剪定にとどめます。
| 目的 | やり方の要点 | 注意 |
|---|---|---|
| 枝数を増やす | 伸びた枝を芽の上で切る | 生育期に限る、一度に三分の一まで |
| 幹を曲げる | 若い枝に針金を巻いて少しずつ曲げる | 半年で外す、食い込むと跡が残る |
| 幹を太らせる | 明るい場所で葉数を保ち、切りすぎない | 室内では一年で目に見えて太ることはまれ |
| 背丈を抑える | 取り木で上部を外し、低い位置で作り直す | 生育期の前半に始める |
| 下葉のない姿を直す | 低い位置まで切り戻して枝を出させる | 四月から六月に限る |
型を変える途中の姿は不格好になります。三年かけて作るつもりで、途中で別の型に切り替えないほうが結局は早く仕上がります。
切ったのに芽が出ないときの原因
剪定したのに芽が動かないときは、時期と光と水の三つを疑います。切ったこと自体が原因であることは少なく、切った後の置き場所と水やりで結果が決まります。葉を減らした株は水を吸わないので、以前と同じ間隔で与えると芽が出る前に根が傷みます。
幹を爪で軽く削って緑が見えれば生きています。茶色く乾いていればその部分は戻らないので、下へ探して緑の見える位置まで切り直します。明るい日陰に置き、二か月は動かさずに待つほうが確実です。
| 症状 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 一か月たっても芽が出ない | 気温の低い時期に切った | 乾かし気味にして暖かくなるまで待つ |
| 切り口が黒く乾いていく | 枯れ込みが下へ進んでいる | 緑が見える位置まで切り直す |
| 細い芽ばかり伸びる | 光が足りていない | 明るい窓辺へ移して様子を見る |
| 芽が出た後に葉が落ちる | 根が働けていない | 鉢から抜いて根の色と土の湿りを確かめる |
| 切った直後に葉が一斉に落ちた | 水を減らさなかった | 乾いてから与えるよう間隔を空ける |
フィカスの剪定・仕立てに使うもの
室内の植物は、切ることで形を保ちます。切った枝がそのまま挿し木の材料になるのも鉢ものの利点です。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 小型 室内」
- 規格の目安
- 刃渡り 4〜5cm。バイパス式(刃が交差するもの)。
生きた枝を切るならバイパス式です。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。
株を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 支柱・ヘゴ棒探す言葉「ヘゴ棒 支柱 観葉植物」
- 規格の目安
- 鉢の深さ + 植物の高さ。つる性のものは水を含む素材の棒が向きます。
つるを這わせる植物は、支えがあると葉が大きくなります。垂らしたままだと葉が小さいままのことがあります。
- 園芸用手袋探す言葉「園芸手袋 背抜き 薄手」
- 規格の目安
- 手のひらにゴムを張った薄手のもの。
切ると白い汁の出る植物があり、かぶれることがあります。厚い手袋だと細かい作業ができません。
- 柔らかい茎なら、指で摘めばはさみは要りません。
- 癒合剤は木の太い枝を切るときのもので、鉢の観葉植物には要りません。
フィカスの上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はフィカスの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。