一年の流れ
四月から七月が作業の山で、植え替えも剪定も挿し木も取り木もこの時期に集中させます。ここを逃すと次は翌春です。八月は高温で株が消耗するため水やりだけに絞り、九月以降は切らずに冬支度へ切り替えます。
開始の合図は暦ではなく株の動きです。新芽がふくらみ、最低気温が十五度を超えたら作業に入ります。寒い年に月だけを見て切ると、切り口が塞がらずに枯れ込みます。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 3月 | 置き場所を明るく戻す、水やりを少しずつ増やす | 芽がふくらみ始めたら |
| 4月〜5月 | 植え替え、剪定、切り戻し | 最低気温が十五度を超えてから |
| 5月〜7月 | 挿し木、取り木、屋外へ出す慣らし | 新芽が動いている間 |
| 5月〜9月 | 液体肥料を二週に一回か置き肥を五月と七月 | 伸びが続いている間だけ |
| 6月〜8月 | 水やりと遮光に絞る、葉水で湿度を保つ | 西日と締め切った部屋の蒸れを避ける |
| 9月〜10月 | 肥料と剪定をやめ、室内へ取り込む | 最低気温十五度を下回る前に |
| 11月〜2月 | 水を大きく絞り、夜の冷えを避ける | 種類ごとの下限温度を保つ |
春の作業
三月は冬に部屋の奥へ避難させた株を、明るい窓辺へ段階的に戻すところから始めます。いきなり直射に当てると、冬の間に薄くなった葉が焼けます。水やりの間隔も少しずつ詰め、新芽が動き出したら生育期の管理へ切り替えます。
四月から五月が植え替えと剪定の中心です。両方やるなら根を先に整え、二週間から一か月あけてから枝を切ります。同じ日にやると負担が重なって回復が遅れます。切った枝のうち鉛筆ほどの太さのものは挿し木に回します。
- 三月に置き場所を戻す
- 冬に離していた株をレースのカーテン越しの窓辺へ戻します。焼けるようなら少し離して段階を踏みます。
- 四月に植え替える
- 鉢底から根が出ている株、水がすぐ乾く株をひと回り大きい鉢へ移します。根は三分の一まで切ります。
- 五月に剪定と肥料を始める
- 植え替えから二週間以上あけて枝を切ります。新しい葉が動いたら液体肥料を二週に一回始めます。
夏の作業
六月から八月は最もよく伸び、水の消費も一年で最大になります。気温が上がると同じ鉢でも乾く速さが倍近くになるので、春の間隔のままにすると水切れで葉が縮れます。鉢の重さで乾き方を測り直します。
午後の直射は葉焼けと鉢の中の高温を同時に招きます。レースのカーテンやすだれで西日を遮るだけで真夏の傷みはかなり減ります。締め切った部屋では扇風機で空気を動かし、土の蒸れとハダニを防ぎます。
| 時期 | 作業 | 注意 |
|---|---|---|
| 6月 | 軽い剪定、挿し木と取り木の適期 | 梅雨は土が乾きにくく、間隔を空ける |
| 7月 | 取り木の最終時期、水やりの間隔を詰める | 秋までに発根する時間を確保する |
| 8月 | 水やりと遮光に絞る | 大きな切り込みはしない、西日を切る |
| 9月 | 肥料の最後の一回、屋外の株を戻す準備 | 強い剪定はやめる |
夏の水切れは半日で起きます。数日家を空けるなら、明るい日陰へ移して大きめの受け皿に置き、乾きを遅らせます。
秋の作業
九月から十一月は伸びが止まり、株が冬に備える時期です。ここで肥料や剪定を続けると、寒さに弱いやわらかい新芽が出てそのまま傷みます。肥料は九月の一回で最後にし、切るのは傷んだ葉を外す程度にとどめます。
屋外に出していた株は、天気予報の最低気温が十五度を下回る日が出てきたら室内へ戻します。実際に冷える夜より一週間早く動くほうが安全です。取り込む前に葉裏と枝の分かれ目を見て、虫がいれば洗い流してから入れます。
- 九月に肥料を止める
- 最後の一回は九月までです。十月以降に与えると軟らかい新芽が出て、そのまま寒さに当たって傷みます。
- 十月に室内へ取り込む
- 最低気温が十五度を下回る前に入れます。一度でも十度を下回ると、暖かい室内に入れても葉を落とすことがあります。
- 十一月に冬の位置へ移す
- 夜の窓ぎわの冷えを確かめ、床に直置きせず台の上へ置きます。水やりの間隔もここから広げていきます。
冬の作業
冬は成長が止まるので、水を絞って休ませます。表面が乾いてさらに三日から五日おき、暖かい日の午前中に常温の水を与えます。十日から三週間に一回が目安ですが、暖房で二十度を超える部屋なら早く乾くので土を触って決めます。
枯らす原因の多くは気温そのものより、冷えた根に水を与えてしまう組み合わせです。低温では根が水を吸えないので、暖かい時期と同じ間隔で与えると腐ります。暖房の温風は空気だけを乾かして葉を落とすので、株に直接当てません。
| 場面 | 作業 | 注意 |
|---|---|---|
| 夜の室温が十五度以上 | 控えめの水やりを続ける | ゆるやかに成長するので葉水も続ける |
| 夜の室温が十度〜十五度 | 水を大きく絞る、肥料は与えない | 成長が止まるが傷まない |
| 夜の室温が十度を下回る | 夜だけ部屋の中央へ移す | ウンベラータは葉が黄色くなり始める |
| 暖房で空気が乾く | 日中に葉水をして葉裏を見る | 夜に葉が濡れたままにしない |
冬に葉を全部落としても、枝が緑で幹に張りがあれば春に芽を吹きます。切り戻しは判断を誤りやすいので暖かくなるまで待ちます。
作業が遅れたときの立て直し
遅れても多くはその年のうちに取り返せますが、低温期へ持ち越すと戻らない作業があります。遅れたと気付いたら優先順位を付け、一つに絞って片付けます。剪定と植え替えを同時にやって取り返そうとすると、株が消耗して逆効果です。
冬に入ってからできるのは、置き場所を直すことと水を控えることだけです。手を出すほど株は弱ると考えてかまいません。寒さに当たって葉が落ちても、幹が生きていれば春に芽を吹きます。
| 場面 | いつまでなら間に合うか | 過ぎたときの代わり |
|---|---|---|
| 植え替えが遅れた | 九月上旬まで | 水やりの間隔を詰めて翌年の四月に回す |
| 剪定が遅れた | 八月まで | 枝先を軽く整えるだけにして春を待つ |
| 取り木が遅れた | 七月まで | 翌年の五月に始め直す |
| 室内への取り込みが遅れた | 最低気温が十度を切る前 | 傷んだ葉を外し、暖かい場所で春を待つ |
| 肥料が遅れた | 九月まで | 与えず、翌春の芽出しから始める |
フィカスの栽培に一年を通して使うもの
鉢ものは、季節ごとに買い足すものがほとんどありません。年に一度の植え替えと、日々の水やりの判断を支えるものだけです。
数量は直径 24cm(8 号)の鉢 1 個を単位にしています。号数は直径 cm を 3 で割った数です。
- 観葉植物用の培養土探す言葉「観葉植物 培養土 水はけ」
- 規格の目安
- 水はけ重視の配合。多肉植物・サボテンならさらに粒の粗い専用土。5〜14L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、6 号鉢で約 3L。
室内では土が乾きにくく、水もちのよい土だと根が傷みます。用途の書かれた土を選ぶだけで失敗が減ります。
- 土壌水分計探す言葉「土壌水分計 観葉植物」
- 規格の目安
- 土に挿して読む針式。乾き・適・湿の 3 段階が読めれば十分です。
鉢ものを枯らす原因の筆頭は水のやりすぎです。表面が乾いていても中は湿っていることが多く、測るのがいちばん確実です。
- 緩効性肥料(置き肥)探す言葉「緩効性肥料 観葉植物 置き肥」
- 規格の目安
- 2〜3 か月効く粒状。土の上に置くだけのもの。
- 数量の目安
- 8 号鉢に 10〜15g を、生育期(春から秋)に 2〜3 か月ごと。
冬は生育が止まるので与えません。休眠中に肥料を置くと、吸われずに土に残って根を傷めます。
- サーキュレーター探す言葉「サーキュレーター 静音 小型」
- 規格の目安
- 小型で首振りのあるもの。植物に直接強い風を当てない置き方ができるもの。
室内は風がありません。空気が動かないと土が乾かず、ハダニやカイガラムシも増えます。弱い風を回すだけで変わります。
- 活力剤は肥料の代わりになりません。肥料を与えているなら急ぎません。
- 冬の間は、肥料も植え替えも要りません。水やりの回数を減らすだけです。
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