植え替えの時期と合図
植え替えは根を切る作業なので、切った後に新しい根を出せる時期にしか行えません。最低気温が十五度を超えて新芽が動く四月から七月が適期です。十月以降と冬は根が動かず、切った断面から傷んだまま冬を越すことになります。
二年に一度が目安ですが、鉢の大きさと勢いで変わります。鉢底の穴から根が出ている、水を与えてもすぐ乾く、水が土に染み込まず表面を流れる、新芽が小さくなった、のうち二つ以上そろったら適期を待って植え替えます。
| 状態 | 起きていること | 対応 |
|---|---|---|
| 鉢底の穴から根が出る | 根が鉢を回りきった | ひと回り大きい鉢へ替える |
| 与えた水がすぐ流れ落ちる | 土が減って根の塊だけになった | 根を崩して新しい土を入れる |
| 水やりの翌日にはもう乾く | 根詰まりで土が少ない | 適期を待って植え替える |
| 新芽が小さく数が減った | 根が働けていない | 根を三分の一切って更新する |
| 十月以降に気付いた | 根が動かない時期 | 春まで待ち、水やりの間隔を詰めてしのぐ |
買ってきた株はすぐに植え替えず、ひと月ほど様子を見ます。乾きが遅いようなら、次の四月以降に水はけのよい土へ替えます。
用意するもの
フィカスは水はけを最優先にします。観葉植物用の土に、小粒の軽石か鹿沼土を二割から三割混ぜます。水を注いで数秒で抜ければ十分です。保水性の高い土だけで植えると、室内では乾ききらずに根腐れします。
鉢は根鉢よりひと回り、直径で三センチほど大きいものにします。二回り以上大きくすると土が乾かず、根が回る前に腐ります。水をやりすぎる自覚があるなら素焼き鉢、乾かしすぎるなら樹脂鉢と、素材で失敗の傾向を打ち消せます。
- 土を配合する
- 観葉植物用の培養土に小粒の軽石か鹿沼土を二割から三割混ぜます。数秒で水が抜ける水はけを目安にします。
- 鉢はひと回りだけ大きく
- 直径で三センチほど大きい鉢を選びます。底穴に鉢底網を敷き、その上に軽石を一層入れます。
- 手袋とはさみを用意する
- 根やわき芽(枝の付け根から出る芽)を切ると白い樹液が出ます。はさみは消毒し、手袋をして作業します。
根の整理と植え込み
鉢から抜き、側面と底の古い土を三分の一ほど落とします。固まった根鉢は割り箸で軽くほぐすと、太い根と細い根の区別が付きます。鉢底で渦を巻いた根は残しても働かないので切り落とし、外へ伸びられる断面を作ります。
幹から出る太い根は株を支え養分を蓄えるので残します。切るのは細く絡んだ根と黒く傷んだ根に限り、全体の三分の一を超えないようにします。それ以上切るなら、同じ割合だけ葉も減らして、吸える水と蒸散する水を釣り合わせます。
- 古い土を三分の一落とす
- 根鉢の肩と底を指と割り箸でほぐします。全部落とすと根が傷んで回復が遅れるので、三分の一で止めます。
- 巻いた根と黒い根を切る
- 鉢底で渦を巻いた根と、黒く柔らかい根を消毒したはさみで切ります。白く硬い根はできるだけ残します。
- 同じ深さで植える
- 幹の付け根が前と同じ高さになるよう土を入れます。深植えすると付け根が蒸れて腐ります。
- 植えたら二週間は日陰で
- 鉢底から流れるまで与えたあと、明るい日陰に二週間置き、乾いてから与えます。この間は肥料を与えません。
植え替えと強い剪定を同じ日に行うと負担が重なります。どちらかを先にして、二週間から一か月あけると回復が安定します。
取り木で背丈を詰める
何年も育てると、下葉が落ちて上だけ茂った背の高い株になります。低い位置で切り戻す方法もありますが、上部を捨てずに残したいなら取り木が向きます。枝を付けたまま発根させてから切り離すので、太い幹の株をそのまま作れます。
始める時期は五月から七月です。発根まで一か月から二か月かかるので、生育期の前半に始めないと、切り離す前に寒くなって翌春へ持ち越しになります。上を取ったあとの親株も、残った幹から芽を吹いて低い姿に作り直せます。
- 皮をむく
- 残したい高さの位置で、幹を一周するように幅一センチほど樹皮をむきます。木部が見えるまで削らないと皮が再生して発根しません。
- 水苔を巻く
- 湿らせた水苔で削った部分を包み、透明なフィルムで巻いて上下を留めます。透明にするのは発根を外から見るためです。
- 水苔を乾かさない
- 水苔が乾くと発根が止まります。フィルム越しに茶色く縮んでいたら、注射器などで水を足します。
- 根が回ったら切り離す
- 水苔の中に白い根が回ったら、その下で切り離して鉢に植えます。切り離した直後は明るい日陰に二週間置きます。
植え替え後に元気がないときの原因と直し方
植え替えの後に葉が落ちるのはよくあることで、根を切ったぶん株が葉の枚数を作り直しているだけです。落葉が止まって新芽が出れば成功と考えてかまいません。落ち続けるなら、切った根の量、置き場所、水やりの三つを順に確かめます。
一か月たっても芽が動かず、抜いて根が黒く崩れるようなら植え直します。白い根が出ていればそのまま待つほうが早く戻ります。この時期に肥料を足したり置き場所を変えたりすると、吸う力の落ちた根に負担がかかって悪化します。
| 症状 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 数日で葉が一斉に落ちる | 根を切りすぎた | 葉も同じ割合で減らし、明るい日陰で待つ |
| 葉がしおれて戻らない | 根と土が密着していない | 棒で土を突き直し、水をよく流し込む |
| 土がいつまでも乾かない | 鉢が大きすぎる | ひと回り小さい鉢に植え直す |
| 新芽が出ず幹が縮む | 低温期に植え替えた | 乾かし気味にして暖かい場所へ置く |
| 幹の付け根が柔らかい | 深植えによる蒸れと腐り | 抜いて腐りを切り、浅く植え直す |
フィカスの植え替えに使うもの
植え替えは鉢を大きくする作業ではなく、根と土を新しくする作業です。同じ鉢に戻す選択もあります。
数量は直径 24cm(8 号)の鉢 1 個を単位にしています。号数は直径 cm を 3 で割った数です。
- 鉢(ひと回り大きいもの)探す言葉「植木鉢 8号 スリット」
- 規格の目安
- 直径で 3cm(1 号)だけ大きいもの。スリット鉢は根が鉢底で回りません。
急に大きくすると、根の届かない土が湿ったまま残り、根腐れの原因になります。1 号ずつが原則です。
- 培養土探す言葉「観葉植物 培養土 水はけ」
- 規格の目安
- 観葉植物用、または多肉・サボテン用。水はけ重視の配合。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、6 号鉢で約 3L、10 号鉢で約 15L。
古い土は粒が潰れて水はけが落ちています。土を替えることが植え替えの目的の半分です。
- 鉢底石探す言葉「鉢底石 ネット入り」
- 規格の目安
- 軽石。ネット入りなら次の植え替えでそのまま取り出せます。
鉢底の穴が土でふさがらないようにするためです。ネット入りは繰り返し使えます。
- 根切りばさみ・割り箸探す言葉「根切りばさみ 園芸」
- 規格の目安
- 刃の厚いはさみ。根鉢をほぐすのは割り箸や竹串で足ります。
固まった根鉢は、外側を切ってほぐさないと新しい根が出ません。土をかむので、普通のはさみは傷みます。
- 同じ鉢に戻すなら、新しい鉢は要りません。根を整理して土を替えるだけで十分です。
- 鉢底ネットは、スリット鉢なら要りません。
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